あぶくま駅のネコたちは…

土砂崩れの影響で運休が続いている、宮城県丸森町のあぶくま駅。ここには以前から12匹のネコたちが住み着き、その愛らしい姿を見ようと、全国から多くのファンが訪れるほどだった。
しかし、台風によって状況は一変。あぶくま駅のネコとその世話をする女性を追った。

土砂が流れ出し、宙に浮いた線路。駅のホームには多くの流木や岩などが流れ着き、かつての姿が全く分からないほどに…

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丸森町の阿武隈急行線「あぶくま駅」。そこで私たちが見たものはネコだった。

実は、あぶくま駅には2010年ごろから野良ネコなどが住み着き、人気の“ネコスポット”として、インターネット上でひそかな話題に…

愛くるしいネコたちを一目見ようと、全国から多くのファンが訪れるほどだった。

丸森町産業伝承館 阿部みどりさん:
毎月フリー切符の日に、ネコに会うために訪れる男性もいます

阿部みどりさんは、あぶくま駅の隣にある町の観光施設「産業伝承館」の職員で、ネコたちの世話を続けてきた。

丸森町産業伝承館 阿部みどりさん:
きょうはみんないるかなって…

ーー心配ですか?

丸森町産業伝承館 阿部みどりさん:
心配ですよ!毎日一緒にいた子たちなので

台風の後、産業伝承館は休館に。阿部さんは自宅から毎日1時間かけて、ネコたちの様子を確認しに来ている。

丸森町産業伝承館 阿部みどりさん:
ヒメ、おはよう。ハナもおはよう。おはよう。やっぱ顔見ると毎日なんだけど、安心しますね。きょうもいたなって。元気そうです

ネコは12匹。もとは野良猫や捨てられたネコたち。それでも阿部さんが里親捜しをしながら世話をしているうちに、駅の利用客や住民たちから、人気を集めるようになっていったという。

丸森町産業伝承館 阿部みどりさん:
いないんじゃないかって思って心配だったんですけど、みんないたから。多分台風は怖かったと思いますよ。怖かったと思うんだけど、いてくれたから。みんな無事だった

養蚕が盛んだった丸森町ではネズミからカイコを守るネコを神様として、古くから大切に扱い、町内にはネコの姿をかたどった「猫碑」が至る所にある。

そのため、あぶくま駅のように、野良猫などを住民が共同で飼育・管理するいわゆる「地域ネコ」として育てる文化が根付いている。

丸森町産業伝承館 阿部みどりさん:
バイバイ、またあした。パピもまたあした

台風の影響で、阿部さんがネコと接する時間が格段に減った。

丸森町産業伝承館 阿部みどりさん:
ネコといたいんですよ、ずっと。でもまた明日来るからねって、切ないですよね。いたいんだけど、何もできないから。(復旧)作業する人の邪魔になってはいけないから、帰るしかないですよね

日常とはほど遠い光景が広がる丸森町。願うのは、1日も早い復旧だ。

丸森町産業伝承館 阿部みどりさん:
早く元通りに。元通りにはならないんでしょうけど、元に近い形に戻ればいいなと思います。ずっと一緒にいてあげたい

(仙台放送)

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