避難所は女性に冷たい? 今井絵理子政務官も取り組む「女性に優しい避難所」の検討

カテゴリ:国内

  • 相次ぐ台風被害で改めて重要視される避難所のあり方
  • 避難所で女性や子育て世帯が必要としている環境は?
  • 元SPEED今井絵理子政務官も“防災に男女共同参画の視点を!”

政府が「女性や子育て家庭に優しい」避難所の検討会設置

この秋相次いでいる台風などによる豪雨被害では、被災者が身を寄せる避難所が各地に設置された。その避難所のあり方が今、政府内でも問われている。

もし、あなたが女性、または小さな子供を持つ親だった場合、災害が起こった場合にはどのような支援を求めるだろうか。ミルク・離乳食や女性用品の提供、授乳室の確保など、枚挙にいとまがないだろう。

実は政府は、各自治体が女性や子育て家庭に配慮した避難所の運営を行うよう、指針を策定している。しかし、それが十分に実践されていないケースも見受けられることを踏まえ、女性や子育て家庭の視点を取り入れた避難所運営を徹底させるための検討会を立ち上げた。

男女共同参画の視点からの防災・復興の取組に関する検討会第1回

避難所の課題を検証

内閣府ではこれまでに、東日本大震災後に、避難所運営を担う地方自治体が防災・復興の各ステージにおいて、男女共同参画の視点から取り組むべき内容を示す指針を策定した。その指針に基づき地方自治体に対して「避難所チェックシート」を示している。

この中では、「男女のニーズの違いや家庭等のニーズに配慮することが必要」だと指摘し、「女性や子育てに配慮した避難所の開設」についてのチェック項目として、「異性の目線が気にならない物干し場、更衣室、休養スペース等」「授乳室」「単身女性や女性のみの世帯エリア」「女性トイレ・女性専用スペースの常備」などをあげている。

また、「男女共同参画の視点に配慮した避難所の運営管理」についてのチェック項目として、「管理責任者への男女両方の配置」や、「女性用品の女性担当者による配布」「就寝場所や女性専用スペース等の巡回警備」などをあげている。政府は、こうした指針に基づき、今般の台風19号に際しても、事前に各自治体に徹底を促す文書を発出した。

しかし、この指針も策定から6年が経っていることから政府は、策定後に発生した災害における取り組みや知見、液体ミルク解禁などの新たな動きを踏まえつつ、今年度中に指針を改定することにしたのだ。専門家による検討会を発足させて課題を検証したうえで、改定された指針を改めて各自治体に周知することにしている。

おむつ替えスペースは2割!避難所ごとの格差

そして検討会の初会合は10月28日に開かれ、有識者の1人である東京大学の大沢真理・名誉教授から興味深いデータが提示された。

福島県郡山市の避難所

その1つが各市区町村の「避難所運営指針」に、女性や子供への配慮に関わる具体的な方針や設置の記述があるかどうかを調べたデータだ。

これを見ると、プライバシーの確保については60%超、ペット対策については50%超、更衣室や授乳室の設置に関しても約半数に記述があり必要性が一定程度認知されている一方、おむつ替えスペースの設置や、女性への暴力やセクハラ防止対策については2割程度、避難所内での託児所の設置については1割未満の記述にとどまっている。このように女性や子供に配慮した避難所という観点において、改善の余地がある項目はかなり多いのだ。

「女性」×「防災担当」の連携

では、女性や子どもに配慮した避難所にする自治体と、そうではない自治体の差は一体どこから来るのか。大都市ほど女性・子育て家庭への配慮が充実しているかというと、必ずしもそうではない。差を生じさせる理由の1つとして、防災分野の方針策定の課程に、女性や、役所の男女共同参画部局がどれくらい関与しているかどうかということが挙げられる。

地方自治体に設けられ防災計画の策定などを行う「防災会議」への女性参加比率と各種物資の備蓄状況を照らし合わせたところ、例えば生理用品やアレルギー対応食、洋式トイレの備蓄などについて、女性委員が防災会議に参画していた割合が高いほど、備蓄率も高い傾向にあることがわかる。

「男女共同参画担当」×「防災担当」の連携

また、防災分野に、いわゆる防災部局(防災課など)のみならず、男女共同参画を担う部局が携わっていることも、避難所における女性や子供向けの対応の充実度合いに直結していることがうかがえる。とりわけ、女性への暴力やセクハラ防止対策、おむつ替えスペースの設置などにおいて顕著だ。

近年、防災会議への福祉担当部局の参加は増えているが、男女共同参画を担う部局の参加はまだまだ少なく、改善の余地が大きい。

今井絵理子政務官も参加し指針の改定へ

男女共同参画の視点からの防災・復興の取組に関する検討会第1回 政務官挨拶

指針の改定に向けた検討会の初回、今井絵理子内閣府政務官は「男女共同参画の視点をぜひ取り入れた体制を確立する必要がある」と強調したうえで、「防災、復興にかかわる意思決定の場への女性の参画を進めること」「災害から受ける影響やニーズが女性と男性では違うこと、そして高齢者、また障害者、外国人等の多様性にきめ細かく対応、配慮をして、事前の備え、避難所運営、被災者支援を行うこと」の大切さを訴えた。

内閣府においては今後、同検討会のもと、熊本地震や北海道胆振東部地震などの被災地20か所程度(今般の台風被災地については現場の状況を鑑みながら)を現地調査したうえで、検討を進めていく予定だ。

論点としては、液体ミルクの解禁など近年の政策変化への対応のほか、支援者側における男女共同参画の視点(応援派遣職員やボランティアにも、いかに男女共同参画の理解を促すか)ということなども盛り込むことにしている。

台風による阿武隈川の氾濫

このほかにも論点として、「男性の過度な責任感と過労」「外国人材の増加による多言語対応」など広範なものが挙げられている。現行の指針においても、「避難者にDV、ストーカー被害者がいる場合の個人情報管理徹底」「乳児のいる家庭は他の避難者との関係等から被災した自宅や車内での生活を選択することもあるので留意」など、細かな配慮事項が記載されている。

政府がわかりやすいガイドラインを各自治体に提供することは非常に意味があると感じる。被災地における真のニーズはどこにあるのか、また指針が実践されていないとすれば課題はどこにあるのか、十分な検討に期待をしたい。

(フジテレビ政治部 首相官邸担当 山田勇)

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