「この咳はうつりません」“ぜんそくマーク”で周囲の目は優しくなる? 制作者に聞いてみた

カテゴリ:国内

  • 風邪による咳でないことを知らせる“ぜんそくマーク”が話題
  • 「咳が止まらず、電車の中で申し訳ない気分になる」ことが制作のきっかけ
  • 実際にマークを付けている時の周囲の反応も聞いた

喘息に苦しむ女性が“ぜんそくマーク”を作成

風が一段と寒くなり、少しずつ冬を感じる今日この頃。

気温の変化で、体調を崩している人もいるのではないだろうか? 街中でも、マスクや咳をしている人の姿を見かけることが増えてきたように感じる。

こんな季節になると気になるのが、電車内や室内などでの咳やくしゃみ。不意に隣でされると、「風邪がうつる!」としかめっ面をついついしてしまうこともある。

しかし、咳をするのは何も風邪のときだけではない。気管支の炎症で起こる“喘息”などの場合もある。喘息での咳に関わらず、周囲から白い目で見られた経験のある人もいることだろう。

今、この問題を解消するために、喘息に苦しむ女性が作ったマークが話題になっている。

それがこちら!



「早速カバンに付けてみたw
これでもう、電車の中で咳き込んでても白い目で見られなくて済むかも!?
こんなマークあったっけ?的な視線にはさらされるかもだけどw」

コメントともに添付された画像には、咳をする女性の姿とともに「ぜんそくマーク うつりません」の文字をあしらったバッジ。周囲の冷たい視線に対し「この咳はうつりませんよ」とそっとアピールするものだ。

作ったのは、自身もぜんそくで苦しむNaga(@Naga_3003)さん。この投稿に対し、「あ、欲しいな」「コレいいかもです」などの共感するコメントが並んでいた。

最近では、「マタニティマーク」「ヘルプマーク」など自分の状況を伝えるさまざまマークが登場し、編集部でも取材してきた。
(参考記事:「ヘルプマーク」知ってますか? 浸透してない“SOS”
「“わけ”あって立ち止まっています」…エスカレーターで見つけたこのマーク知ってますか?
こんなものが欲しかった! 癒し系な「アレルギー表示ワッペン」が便利でキュート

こういったマークの課題はいかに周知できるかだが、今回のマークは訴えたいことはわかるので、周囲の反応は変わるかもしれない。
でも実際はどうなのだろうか? 制作の経緯やマークを付けている時の周りの反応などをNagaさんに聞いた。

ぜんそくマーク

きっかけは「咳が止まらず、電車の中で申し訳ない気分になる」

――喘息はいつから?

社会人になってしばらくしてからですので、二十代半ば頃からです。ただ、その頃は喘息だと思っておらず、いろんな内科や耳鼻科を転々として、気管支炎と診断されたりしていました。はっきり喘息だと診断されたのは、発症から数年後でした。そこから、きちんとした喘息の治療を始めてから十年弱くらいですので、現在、発症してから十数年というところです。

――ぜんそくマークを作ろうと思ったきっかけは?

きっかけは、「もう、一日中咳が止まんないので、通勤中の電車の中とか、すごい申し訳ない気分になる…」とツイートしてからですね。



そこから、知人のGOROman(@GOROman)くんや彼のフォロワーさんたちとツイッターでやりとりしているうちに、“ぜんそくマーク”的なものがあったら、誤解も解けて、うつらないことを周りの方達に知ってもらえるんじゃないか?ってことになったんです。

で、私が最初にラフイメージを描いて…。そうしたら、GOROmanくんから「オリジナルバッチをつくって販売したらいいんじゃないか?」という提案があり、それをもとにGOROmanくんのフォロワーさんがカラーリングして画像データを作ってくれたんです。

そのあと、BOOTH(ショップ作成サービス)にオリジナルバッチの商品を出品して、販売を始めました。

Nagaさんが描いたラフイメージ

デザインなどは知人らも協力して作成

――マークのデザインはどのようにして決めた?

とにかく、優しい感じや、かわいい感じのマークがいいな、と思ってました。あまり堅苦しかったり、仰々しいものではなくて、親しみやすいものにしたいな、と思ってラフイメージを描きました。

そのあたりは、フォロワーさんがカラーリングしてくださるときに、気をきかせて、いろいろ配慮した上で作成してくださっていて、個人的にはとても気に入っています。

また、とにかく話が出てから、アイデアが実現するまで、関わってくださった方達の動きがものすごく速くて、あれよあれよという間に実現してしまったって感じなので、私自身のこだわりや想いもそうですけれど、手伝ってくださった方達への感謝でもう心がいっぱいです。

個人的には、気楽につけられて、周りの人達の誤解も解けて、相互理解が進む…っていうことを第一に考えて、そういったマークになればいいなと思って有志で作らせていただいた感じです。

こちらは子ども用の喘息マーク

――マークの販売を紹介した時のユーザーの反応は?

「買いました!」「こういうの欲しかったんです!!」みたいな反響をたくさんいただきまして、それは本当に作成に携わったものとして、嬉しくて嬉しくて、本当に作ってよかった!!って思いました。

それ以外にも、なんかもう、すごくいろんなご意見を頂戴してしまいまして…。

・子ども用にパステル調で動物デザインのがあったらいいな
・英語バージョンがあると良い
・花粉症用のもないの?
・発作のとき助けてもらえるような要救助のマークも欲しい
・遠目でも目立つようなデザインのやつが欲しい
・マスクそのものにプリントされてるのが欲しい
・ストラップ型のが欲しい
・首から下げられるようなのあるといいよね
・おじさんでも付けられるデザインのもあると良い
・ピクトグラム化したタイプのが欲しい 
などなど…。

とにかく、本当に様々なご意見がありました。でも、全部に対応するのは無理なので、もし個人的に実現したいものがありましたら、実現に前向きな方達のご協力を得ながら、また一つずつ商品化していけたらいいな…なんて思っています。

現在、フォロワーさんに助けてもらいながら、アクリルキーホルダータイプのマークも準備中です。

アクリルキーホルダータイプのマーク

実際に付けて「なんとなく効果はありそうかな」

――マークを実際につけてみて、咳をした際の周囲の反応は変わった?

私は、通勤カバンに付けて毎日会社に通っているのですが、やっぱり、「あ、なんか付けてるな」とか「ん?なんだろ?」みたいな、チラッとした視線を感じることはあって、なんとなく、効果はありそうかな?とは思っています。

なるべくカバンの目立つところに付けて、咳き込んだときに人から見られた際に、同時に視線に入るといいなと思っています。

マークに気づいてもらえたからかはわかりませんが、今のところ、咳き込んだときでも、露骨に嫌な顔をされて席を立たれたりだとか、睨まれて車両を移動されたりしたようなことは一度もありません。…まだ付け始めて2週間くらいしか経ってないんですけど(笑)。

ただ、患者側も周りへの配慮は必要だと思っていて、マスクは必ずつけていますし、咳き込むときはなるべく人がいない方を向いて、うつむいたりしながら、マスクを手で押さえるなどして咳き込むよう心がけています。

――話題になったことをどう思った?

もともと自分が欲しくて、親しい人に協力してもらって、試しにつくってみたというところです。「もし他にも欲しい人がいたら、簡単に手に入れられるように…」という感じで、ほとんど利益も乗せない形で割と軽い気持ちで販売を開始したのですが、こんなに話題にしていただいて、正直なところ、つくった本人が一番ビックリしています(笑)。

ですので、もともと、そんなに気合を入れて「このマークの普及を推進するぞ!」みたいな感じでは全然なかったんです。

どちらかというと、このマークそのものを広めていくというよりも、みんなが気軽にマークをつけられて、互いに認識し合える文化だったり、考え方だったり、価値観だったりが広まっていけばいいなと思っています。

私としては、特に何か配慮して欲しいというよりは、単に「喘息の咳は、うつらないんだよー」「安心してね!」っていうことを知っていただき、周囲の方達への誤解を解きたいということから始まっています。

そのような感じで、「そうだよね、みんなそれぞれ抱えてる事情があるよね、それが一目見てわかるのっていいよねー」くらいの感じで広まっていってくれたら嬉しいです。


“ぜんそくマーク”は、缶バッジ1個780円。
マークがいらない寛容な社会がいいとは思うものの、季節によっては狭い空間での咳はちょっと気になるという人も多いと思うので、周囲への誤解を解きたい人にとってこのマークはありかもしれない。