日本といえば、侘び、寂び、静寂…。
特に「侘び・寂び」は1990年代にアメリカ人ライター、レナードコーレン氏によって日本特有の美意識として外国人に広く知られています。よって、多くの外国人がもつ日本のイメージとはお寺や自然の中の静寂かもしれません。
ところが日本の生活の中には意外に音が多いことに気づかされます。
そこで、外国人の耳にとまる音の数々を3段階に分けて挙げてみました。
「音楽みたいなものだね」レベル
駅のホームの音楽
鳥の声やメロディーなど駅によって多様ですが、取り入れている駅が多いです。
ピヨピヨ…と1年中同じ鳥の声が聞こえるのは不思議な気分になりますが、気分的にはリラックスできそうです。
午後5時を知らせる音
もともとは終業や子ども達がおうちに帰る時刻を知らせる役目の音でした。
今は多くの人にそのニーズが当てはまるかは疑問ですが、現在でも5時を知らせるチャイムやメロディーが流れます。
「馴れてしまえば気にならない」レベル
エスカレーターに乗るときのアナウンス
ひたすら「手すりにおつかまりになり…黄色い枠より内側に…」と繰り返しています。
1列に並んで乗ることがマナーではなくなったことにより、最近では「1列にならずにお乗りください」というアナウンスに代わっていますね。
麺をすする音
食事をすする音はマナー違反と教わってきた外国人も日本ではOKと知り、おおいに試しているかもしれません。
トイレの音消し音
女子トイレでは一般化しているザザザーという音の出るトイレ用擬音装置(流水音)。
1つなら許せるでしょう。ところが、場所によっては1つの個室に2つ設置されている場所があり、某空港には最多の3つ。
しかもどれも正常に作動しており…ここまでくると「騒音」レベルです。
それなりに理由があるのでしょうが、2つも3つも要らないことは確かです。
「耳栓がほしい」レベル
セミの鳴き声
夏の風物詩であるセミの声ですが、意外にも外国人の中には「うるさい」と嫌う人がいるのです。
セミの声を許容できるかどうかが日本の夏が好きになれるかにかかっているといっても過言ではないかもしれませんね。
店舗でのBGM+呼び込みの声
お店の販売促進アナウンス+BGM+店員の客呼び込みの声は強烈です。あたかも叫び声にも似た騒音の3重奏。
セール時期、呼び込みの激しい店舗には近寄らないそうです。
イベントキャンペーンのトラック
都内繁華街などに突如現れるイベントキャンペーンのトラックや大音量で宣伝する広告のトラックにはまさしく耳をふさぎたくなるでしょう。
他にも日本の生活音として代表的な家電の音、騒音となり得る音にはヘッドホンからの音漏れや低周波騒音と呼ばれる空調室外機の音やヘリコプターの音などは不快となり得る音です。
人はその音に不快感をもてば「騒音」と感じます。かつて、溢れ過ぎた照明のせいで「光害になり得る」といわれたように、溢れ過ぎた音のせいで「音害になり得る」といわれないようにしたいものです。音に鈍感になりたくはないですね。
「音のないところ」を「音」で表現
日本人は独特の音の感性があるといわれています。それは、欧米人にはない「音のないところ」を「音」で表現する感性です。
例にあげると、「静寂」を「しぃ~ん」と表現したり、「ししおどし」という音を立てる道具を用いることで静けさをより強調するという発想のことです。
静寂をも音で表現する日本人は古来より音が好きといえるのかもしれません。
騒音を取り除いて「音」と上手に付き合い、日本らしい感性を大事にしたいですね。
参照:
・at home 教授対談シリーズこだわりアカデミー
https://www.athome-academy.jp/
・身近な「音」について知るための音響学 山下充康氏