「刺されると6時間痛みが…」水族館のクラゲ飼育員の“体張りすぎ”レポートが気になる

カテゴリ:国内

  • 志摩マリンランドで展示している「飼育員の体験談」が“攻めすぎ”と話題
  • クラゲに刺された痛みや傷、味についてのレポートが…
  • 飼育員「真似はしないようにお願いします」

どうしてこうなった…飼育員の“クラゲレポート”

たくさんの動物たちが暮らす動物園や水族館は、日常から離れて過ごせるスポット。
そんな空間を支えているのが、日々動物たちのお世話をする飼育員たちの努力だ。

編集部では以前、水族館のクラゲ展示の“知られざる努力”について取り上げたが、繊細な生き物を取り扱う飼育員の奮闘っぷりには多くの賞賛が寄せられた。
(関連記事:「飼育員が“がんばらない”と地獄絵図? クラゲ水槽には知られざる努力があった」)

そんな、飼育員たちの努力に関する話がまたひとつ飛び込んできた。
それが、三重県にある志摩マリンランドの、クラゲにまつわる「飼育員の体験談」という展示だ。
いくつかその内容を見てみたい。

提供:志摩マリンランド

【ミズクラゲ】
4~8月ごろに多く出現。刺された感想は少しかゆみを感じるくらいの軽い症状が2~3分ほどでした。痛みよりもヌメヌメしていることが気になります。

【タコクラゲ】
7~10月ごろに多い。毒を持ってはいるのですが…私はあまりかゆくなったことはありません。人体には効果が弱いのかもしれません。

【ハナガサクラゲ】
5月ごろに多い。夜になると動き出します。かなり危険です。指先を少し刺されただけで、腕全体に鋭い痛みが6時間ほど続きました。刺された場所は火傷のような傷跡が残りました。

【カブトクラゲ】
10~3月ごろに多い。クラゲと名前がついていますが、刺胞を持たないため、毒はありません。食べたら生臭かったので、毒は無くても食用ではありません。


最初から「刺された感想」が飛び出した上、最終的に「食レポ」までがつづられているこの展示。
「刺されてもあまりかゆくない」というものから「鋭い痛みが続いた」「傷跡が残った」など、本当に大丈夫なのだろうか…とハラハラしてしまう体験談に、SNSでは 「飼育員さんアグレッシブすぎません?」 「猛者ですね」「拍手喝采」とのコメントが続々寄せられた。

「体験談」が置かれているクラゲコーナー(提供:志摩マリンランド)

まさか、この展示のためだけに、飼育員の方々は体を張ってクラゲに刺されにいったのだろうか?
危険なにおいのする体験談の中に「よく動きます。マッシュルームみたい」「海に流されたタマネギと見間違えます」と、和み系の解説が混ざるのも楽しいが、さっそくこの展示を作成した、志摩マリンランドの担当者にお話を伺った。

「自分から刺されてみたこともあります」

――「体験談」を展示しようと思ったきっかけは?

ハナガサクラゲというクラゲに刺された時に激しい痛みを感じたのがきっかけです。
小さい時から海水浴などでクラゲの毒に触れる機会はあったのですが、今まで感じていた痛みよりも強かったため、「せっかく経験したことだから体験談として知ってもらうことができないか」と考えたのがきっかけです。


――わざと刺された?うっかり刺された?体験談はどのようにして生まれた?

子供のころから海水浴などでよく刺されているものや、水槽の掃除中に傘からはずれ、ブラシに引っ付いていた触手に当たってしまったり、水槽内で泳いでいるクラゲに触れてしまったりした時です。
「ハナガサクラゲ」には自分から刺されてみたこともあります。1度目は偶然でしたが、2度目は痛みの体験を記録するために自分から刺されています。

展示のきっかけとなった“かなり危険”な「ハナガサクラゲ」(画像はイメージ)

――展示されているのはひとりの体験談?

私一人の体験談です。※体質や個人によって感じ方や症状が異なります。


――カブトクラゲはどうやって食べた?そもそもどうして食べてしまったの?

カブトクラゲを採取しに海へ出かけた時に、大量のカブトクラゲを発見しました。触感は普段から飼育しているので知っているのですが、食感については触感と同じ感じなのか以前から気になっていました。
カブトクラゲは刺胞と呼ばれる毒の袋を持たない種類の生物ですので、生でもいけるのではないかと思ったのがきっかけです。
試した食べ方は生食のみです。カブトクラゲは体が柔らかいのと、ほとんど水分でできているので私は調理することは諦めました。

食べると生臭いらしい「カブトクラゲ」(画像はイメージ)

6種類ものクラゲに刺された経験談の多さからして、複数の飼育員のエピソードを集めたものかと思いきや、実はこれは全てひとりの体験談。
「鋭い痛みが6時間続いた」という、かなり痛そうな「ハナガサクラゲ」に刺されたことをきっかけに始まった展示だが、うっかり刺されてしまった経験だけでなく、中には「自ら刺されにいった」という、かなり体当たりなエピソードも混ざっていた。


――ちなみに、イチオシのクラゲは?

いろいろな水族館や海で見ることができる「ミズクラゲ」です。クラゲといえばこの種類を思い浮かべる方が多いと思います。
まだまだクラゲ飼育の経験は浅いですが、マリンランド内でミズクラゲを繁殖することができるようになってきたので、マリンランド生まれのミズクラゲのゆっくりとした泳ぎを見ていただきたいです。

展示されている「ミズクラゲ」(提供:志摩マリンランド)

――今後「体験談part3」が追加される予定は?

マリンランド周辺で比較的簡単に採取できるクラゲたちは書き終わったので、珍しいクラゲや以前触れてしまったが痛みを感じなかったクラゲたちを別の形で体験談として加えられたらいいなと思っています。

「真似だけはしないように!」

話題となった「体験談」をはじめ、様々な展示が楽しめる志摩マリンランド。
見どころを聞いてみると、「マンボウの水槽には壁にぶつからないようにシートを張っていたり、各水槽では魚達が隠れるためのサンゴや岩が入っていますが、隠れすぎて魚が見えなくなってしまわないようにしている所など、生き物以外の部分も見学していただけたらと思います」とコメントしてくれた。


――「体験談」の反響について…

私が感じたことを書いただけの物に驚いてくださる方がいてとてもうれしいです。
せっかく経験したことですから何かに活かせないかと思い、体験談を作成して良かったと思います。ただ、真似だけはしないようにお願いします。


――「体験談」を見て興味を持った人に一言…

季節ごとに一部のコーナーを模様替えしたり、漁師さんなどから変わった生物が持ち込まれることもありますので、来館いただいた際は1周で終わるのではなく2周目も見学していただいて、1周目とは違った所を観察していただけたらと思います。

食用に加工されたクラゲは鮮魚コーナーなどで販売されていることがありますので、味が気になった方は鮮魚コーナーを探していただけたら見つかるかもしれません。絶対に海で見つけたクラゲをそのまま食べようとはしないでください。

「クラゲの豆知識」の展示も(提供:志摩マリンランド)

興味をそそられる体験談の中には「刺されても少しかゆみを感じるくらい」などの比較的軽度なものもあったが、クラゲコーナーには他に、毒の危険性を解説した「豆知識」の展示もある。
「クラゲを見つけても触ったり、そのまま食べようとしないでください」と強調されたように、好奇心が湧いてしまった人も、安易な真似は危険!
まずはぜひ水槽越しに、飼育員たちの“知られざる努力”を感じつつ、いきものの奥深さを楽しんでみてはいかがだろうか。

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