基地移設の見直し阻むアメリカの厚い壁

普天間基地の名護市辺野古への移設計画に反対を訴える為訪米した沖縄県の玉城知事。アメリカ議会への訴えに一定の成果はあった一方、政府関係者の反応は冷ややかなものだった。現地を取材すると、移設計画の見直しを阻む厚い壁が見えてきた。

来年の大統領選に向けて政治的な関心が高まるアメリカ国内。

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普天間基地の辺野古移設阻止を訴えるため訪米した玉城知事だが、アメリカ政府関係者との面談は実のあるものとはならなかった。

玉城知事:
軟弱地盤の問題ですとか活断層の問題ですとか、「どの時点で日本政府から説明を受けましたか」と聞いたところ「恐らく私の前任者が説明を受けているのではないか」という感じでした

普天間基地の移設問題でアメリカ政府が辺野古にこだわる背景には、政策決定に大きな影響力を持つ「知日派」の存在がある。

戦略国際問題研究所・CSISは外交・安全保障分野を研究するシンクタンクで、歴代の代表者はアメリカ政府の対日政策に深く関与した人物だ。

日米外交を専門とするニコラス・セーチェーニ副部長はアメリカ軍再編計画において、普天間基地の移設先の決定には3つの要素が必要だと話す。

CSIS セーチェーニ日本部副部長:
地元の負担軽減、普天間基地の閉鎖、沖縄の経済発展に向けた土地返還の為に(辺野古移設)は最善策だ。米国関係者が玉城知事の話を聞いたとしても、移設方針に変更はありえない

その方針は駐留経費を理由に一時、在日海兵隊の撤退に言及したトランプ政権でも同じだという。

CSIS セーチェーニ日本部副部長:
あれは彼の政治的なレトリックで、基本的に米国民は日本を同盟国と認め日米同盟の重要性を理解している

沖縄県内の根強い反発によって、移設計画が20年以上停滞している現状を指摘すると反論した。

CSIS セーチェーニ日本部副部長:
地元に不満があることは承知している。しかし、辺野古移設を取り下げることはあり得ない。もしやり直すのであれば、さらなるプロセスが必要になります。そうなれば米軍は普天間を使用し続けるだろう

玉城知事は今回の訪米行動の大半を連邦議員との面談に費やして、移設計画の検証を働きかけ、一部議員からは前向きな回答を引き出した。

一方、セーチェーニ副部長の説明からはアメリカ国内における知日派が議会の意思決定にも深く関与する実態が浮かび上がる。

CSIS セーチェーニ日本部副部長:
2012年と2015年に我々CSISは議会の依頼で米国のアジア戦略に関する独自調査を行いました。私たちは両方の調査で辺野古移設計画が最善だと結論付けました。議会はこれを受け入れ、賛同しています

こうした知日派の姿勢は、日米両政府の沖縄に対するそれと重なる。

CSIS セーチェーニ日本部副部長:
地域の安全環境を巡る議論で必ずしも沖縄の人たちを納得させる必要はないだろう。日本周辺の安全環境はさらに重要となってくる

今回の訪米で、県の考えを各方面に伝えられたとする玉城知事だが、辺野古移設阻止の実現にはこうした知日派の動向を踏まえた戦略も求められる。

(沖縄テレビ)

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