「要冷蔵食品の“常温配送”はダメ」フリマアプリ利用者に消費者庁が注意喚起…双方のリスクを聞いた

カテゴリ:国内

  • 消費者庁が"要冷蔵食品の常温配送"の危険性を訴えるリーフレットを制作
  • フリマアプリなどを通じて、要冷蔵食品を常温配送している事例を数十件確認
  • 担当者「『売らない、買わない』を徹底していただきたい」

消費者庁がリーフレットを作成し注意喚起

「要冷蔵」と注意書きのある食品をついうっかり出しっぱなしにしてしまい、傷めてしまったという経験は誰もが一度はあるのではないだろうか。

そんな、取り扱いに気をつける必要がある「要冷蔵食品」について今、消費者庁がある“注意喚起”をしているのだ。

まずはこちらを見てほしい。

「フリマアプリ等を利用される皆様へ 要冷蔵食品の常温配送は危険です!!」

という文言とともに、「送った側に法律上の責任が問われることがあります。送る側は要冷蔵・要冷凍食品は常温では送らない」「買う側は常温発送と表示されている要冷蔵食品は買わない」などと、要冷蔵食品における常温発送への注意をうながす言葉が並んでいるのだ。

このリーフレットは、消費者庁が「要冷蔵食品を常温配送することの危険性について、食中毒防止の観点から注意喚起を行うこと」を目的として制作した。

10月24日の会見で、伊藤明子消費者庁長官は、複数のフリマアプリなどを通じて、要冷蔵食品をクール配送ではなく、常温配送している事例が存在することを指摘。保冷剤の使用や真空パックをされている場合でも、細菌が増殖して重大な食中毒を引き起こす恐れがあるとした上で、アプリの運営者に対して注意喚起への協力要請を実施したと明らかにした。このリーフレットもその一環だという。

伊藤長官はさらに、年末のお歳暮商戦に向けて、全国一斉に食品表示の取り締まり強化を図る「食品表示年末一斉取り締まり」において、全国154の地方自治体と協力し、消費者への注意喚起を行う予定だと発表。具体的な内容は11月末に公表するとのことだ。

消費者庁は要冷蔵食品の常温配送を大きな問題と受け止めていることがわかるが、そもそもなぜフリマアプリの発送者は「要冷蔵」の食品を常温発送してしまうのだろうか?
そして何が一番の問題なのだろうか? 消費者庁の担当者に話を聞いた。

9月末の時点で数十件の常温配送を確認

担当者によると、この問題は今年9月末に情報が寄せられたことから分かったという。消費者庁で事実関係を確認したところ、大手フリマアプリやオークションアプリにおいて、9月末の時点で要冷蔵の食肉製品、魚介類加工品、乳製品などの常温配送の事例が数十件見つかった。

フリマアプリに掲載されていた、要冷蔵食品の常温配送の例

続けて、こうした事態が起こってしまう理由として

1. 安全性に関する知識の欠如(真空パックされているから大丈夫、保冷剤を入れるので大丈夫といった誤解)
2. インフラの問題(クール配送では匿名配送が使用できない、クール配送では配送料が高額になる)

の2点を担当者は指摘。

また、常温配送については、「外気温に大きく左右される保冷剤などで一時的に温度を下げても、配送完了までの間、食品全体の保存温度を通常担保することはできません。一旦温度が上昇してしまうと細菌が急激に増殖するおそれがあり、大変危険」と、その衛生面の不足を挙げている。

そのような環境下に置かれた食品を口にした場合、一体どんな害が及ぶのかについては、真空パックのような酸素のない状態で増殖する嫌気性菌のボツリヌス食中毒をはじめ、細菌増殖による食中毒リスクが予想されるという。

もちろん食品メーカー側もこのような状況をただ放置しているわけではない。例えば日進ハムは、こうした食品が購入者の健康を害する恐れがあることを説明した上で、「そのような販売方法により食品が購入されたことによって食中毒その他の問題が発生したとしても、弊社としては一切対応いたしかねます」と、ホームページ上で注意喚起をしている。

食中毒を起こした場合、発送者が法的責任を問われることも

現時点では、消費者庁には食中毒被害について現段階では報告を受けていないという。しかし、個人間でのやり取りの場合、食中毒被害として顕在化されないおそれがあったり、なかなか消費生活センターにトラブルを相談するということがないのではないかということも踏まえた上で、今回の注意喚起を行ったという。

では、食中毒発生といった事態に万が一起きた場合、アプリ運営側や発送者側はどのような責任を負うことになるのだろうか?

消費者庁の担当者は、運営者には「プラットフォームを提供する社会的責任」、発送者には「食品衛生法、食品表示法、民法等の法的責任」がそれぞれ問われる場合がある、としている。

要冷蔵食品の常温配送の例。掲載ページには、「新聞紙で包みジッパー付きの袋に入れ封筒で発送」とあった。

発送者と購入者ができることについても聞いた

最後に、消費者庁がどのような対策に動いているのか、といった点についても、詳しく話を聞いた。

フリマアプリなどの運営者に対しては、利用者に対しての注意喚起のほか、あるいは表示された保存方法と異なる方法で配送されることがないよう、利用規約の見直しを依頼したという。

発送者と購入者ができることを尋ねたところ、「発送者は"保存温度を遵守した配送を選択する”、購入者は"保存方法などの表示内容を確認する”」必要性を挙げた後、食中毒のリスクがあることを踏まえ、要冷蔵食品を常温配送するような商品は『売らない、買わない』ということを徹底していただきたいと考えます」と、改めて注意喚起をした。

年末のお歳暮シーズンに向けて、今後もネット上で活発な食品売買が予想される。価格の安さに惑わされることなく、発送方法などをよく確認した上で購入するよう、十分気をつけてほしい。