「ドローンで牛追い」の動画話題

空撮を始め、農薬散布や測量、物流など現在ではさまざまな場面で活用されているドローン。小型サイズもあることから、実際に操作したことがある人も多いかもしれない。

そんなドローンについて今、意外な使い方をしているとしてある動画が話題となっている。まずはこちらを見てほしい。


多くの牛が寛ぐ広大な草原を上から眺める視点で動画はスタート。これはドローンに搭載されたカメラからの視点だ。

この記事の画像(5枚)


動画には、ドローンが牛に近づいていくと、寝転んでリラックスしている牛がおもむろに立ち上がり、次々と牛舎まで歩き出す様子が映っている。

投稿者は北海道・十勝で農家を営んでいて、どうやら夕方の搾乳のために牛を戻すため、ドローンを使って牛たちを起こしているようなのだ。


夕方の搾乳前の牛追い。ドローンで寝てるやつを起こす。とにかく起こす。
みんな起きたら、あとは勝手に牛舎まで歩き出す(・∀・)
(3倍速)


このコメントとともにTwitterに投稿された“牛追いドローン”の動画に、ユーザーからは「こんな広い農場を牛追いせんで良くなったんだからドローン様々」「ドローンがこのように活用されているとは!!」など驚きの声が。約2万7千件のリツイート、約7万6千件のいいねがつくなどと大きな反響となり、動画は160万回再生を超えている。(11月7日現在)

“牛追い”と言えば、人間か牧羊犬の仕事のはず。なぜドローンを使おうと思ったのか? そして、なぜ牛たちは起きて、自ら牛舎に向かうのだろうか? 思い浮かんだ疑問点を投稿者に伺った。

放牧地はデコボコして、人間が牛を追うのは大変

――牧場には牛が何頭いる?

現在110頭を飼育しています。動画に映っている牧区には60頭ほどです。


――なぜドローンを使おうと思った?

平らに見える放牧地ですが実際にはデコボコしていて、バイクで牛追い中に転倒し鎖骨にひびが入ったり、草に隠れた段差でつまずき腰を痛めたりする事があったのでドローンで牛追いをしようと思いました。


――このためにドローンを買った?

ちょうどその頃、折り畳み式のドローンが発売されたので(それ以前のモデルは大きくて購入意欲が湧きませんでした)多分いけるだろう…と思い購入して使ってみたら予想通り上手くいきました。


――ドローンを使う前はどうやって牛追いをしていた?

牛追いは僕一人です。

ドローンを見た牛は最初は驚いて走った

――ドローンを近づけると牛はなぜ起きて牛舎に向かうの?

毎日決まったタイミング、同じルートで牛追いをしているのでドローンでもバイクでも徒歩でも牛追いすれば牛舎まで歩きます。

追われるのが初めての若い牛が群れに入っても、古い牛の後について牛舎へ戻ってきます。たまたまドローンの画がすごいので皆さんびっくりしたんだと思いますが、僕としては毎日の飼養管理の結果で生まれた「信頼?行動付け?」なのではないかと感じています。


ドローンが近づき急いで立ち上がる牛
ドローンが近づき急いで立ち上がる牛


――最初は牛が動いてくれないこともあった?

いえ、むしろ驚いて走りました。1週間ほどで慣れて落ち着いて歩くようになりました。


――牛を起こすコツはある?

牛は起きるときに1歩前に出るので、ドローンを牛の鼻先へ飛ばすとぶつかる恐れがあります。


――羊など他の動物でもこのやり方は有効だと思う?

多分いけると思います。


牛追いの時間がおよそ半分程度に短縮

――草原はどのくらいの広さ?

約7ヘクタールです。


――ドローンを使って牛を起こすことによって時間はどの程度短縮された?

およそ半分程度だと思います。朝夕それぞれ20分くらいです。


――ドローンの運転は難しい?

簡単です。

――雨の日はどうしてる?

傘をさして徒歩で追います。


――反響はあった?

多くて困っています。


この牛追いは、酪農家の経験とドローンというテクノロジーが組み合わさったことで生まれたものだった。農家が農薬散布、酪農家が牛追い…。他の産業でも、ドローンを活用することで効率化を図れる可能性はいろいろありそうだ。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。