創業100年超の山本製粉…『ポンポコラーメン』の名前に込めた想い
コンビニやスーパーなどで売られている袋麺。売り場をよく見てみると、中にはその地域でしか売られていない「ご当地袋麺」があることも…
愛知県の東三河地域ではお馴染みの『ポンポコラーメン』もその1つ。隣の名古屋市でもあまり見かけない商品だ。そんなポンポコラーメンの製造・販売を手掛けている会社を取材した。
ポンポコラーメンを製造・販売しているのは、大正5年に創業した愛知県豊川市の「山本製粉」。北は青森から南は沖縄まで袋麺やカップ麺、乾麺など約100種類の商品を製造している。
昭和39年に発売されたポンポコラーメンは、発売当初から味は変わらず、年間約85万食も売れているロングセラー商品だ。
独特で記憶に残る商品名に、愛らしいイラスト。その商品名の由来を聞いた。
山本製粉 営業部部長 鈴木利延さん:
お腹いっぱい食べてもらいたい。狸がおなかを叩いているイメージでこの商品名になりました
通常の袋麺は5食入りで販売されている商品が多いのに対して、ポンポコラーメンは6食入り。この“6食入り”という点も、商品名と同じ思いが込められていて、創業当時から引き継がれている。
誕生から約50年…変わらず愛され続けるその味は
現在販売されている味は、みそ、しょうゆ、塩、やきそばソースの4種類。
作り方はもちろん、他の袋麺とほぼ同じだ。
沸騰させたお湯の中に麺を入れ、ほぐしながら約3分煮込み、火を止める間際に粉末スープを入れて軽くかき混ぜる。そして、最後に丼などの器に移して、お好みの具を乗せれば完成。
麺が他の袋麺よりもモチモチツルツルした食感で、しょうゆ味のスープはベーシックな感じだが、少し濃く、どこか昔懐かしい味だ。
1枚の長い板状の生地が麺に…「ポンポコ」の製造ライン
発売当時と変わらぬ味で懐かしさを感じるポンポコラーメン。現在、東海地方ではカップラーメンと袋麺の両方を製造する会社は少ないという。その製造ラインを見せてもらった。
最初に目にとまったのはとても長い機械。調合された粉が練られ、ローラー式の機械で1枚の板状の生地にしていく。
次に、複数のローラー機械に引き延ばされた生地をカット。みるみるうちに、ちぢれ麺のようになっていく。
その後、高温で蒸して1袋分の量に形を整えて揚げたあと、時間をかけて冷却・乾燥させる。
最後に、それぞれのパッケージに梱包されて完成!1つの袋麺が完成するまでにかかる時間は約1時間。
この工場では人が行う作業もあるが、ほとんど機械でオートメーション化されている。使用している機械は、麺を依頼する企業からの要望に応えるため、すべてオリジナルの機械だ。
営業部長の鈴木さんは山本製粉の強みについて「機械に対するこだわりが、数多くのメーカーが麺の製造を依頼する理由の1つではないか」と話す。
ご当地麺は海を越え…今では8か国で8商品を販売
山本製粉は、10年ほど前に『たぬきおやじの逸品シリーズ』で海外に進出。今では、アメリカや中国などにも販売を広げていて、今後はオーストラリアやタイなどにも展開を広げていく予定だ。
海外でも山本製粉が受け入れられた背景には、宗教や食品輸入の規制がある。
山本製粉は、畜肉フリーや乳・卵などのアレルギー対応の商品を製造できるため、食品輸入の規制にも対応ができ、海外での販売を広げている。
例えば、山本製粉の『豚骨』はあくまで豚骨“風”。本物の豚肉が使用されていない、本物そっくりの豚骨風ラーメンだ。
山本製粉 営業部部長 鈴木利延さん:
なるべくお客さんの要望に沿いたいという思いからニーズを聞いていたら、ここまで来ていましたね
皆さんが海外で食べた麺。実は山本製粉が製造した麺だった…ということもあるかもしれない。
(東海テレビ)