立ち見の参加者も・・・ 憲法集会に約1000人が参加

 
 
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10月18日。
強い雨が降る金曜の夜にもかかわらず、和歌山市内にあるホテルが異様な熱気に包まれていた。

自民党が二階幹事長のお膝元・和歌山で大規模な憲法集会で開催したのだ。

「自衛隊の明記 憲法改正」と書かれたのぼりが幾つも立てられた会場内は、準備された750席に対し約1000人の県民らが詰めかけ、立ち見スペースを見つけるのも難しいほど人で溢れていた。

「皆さんの意識の高さ、大変力強い憲法に対する状況を拝見し、心強く思うと同時に、期待にしっかり応えて立派な憲法を作っていくために、これからも努力を惜しんではならないと心に誓います」

熱気に満ちた光景を目の当たりにした二階幹事長は感慨深げに語った。

「みんなで考えるその精神があって初めて、国の発展につながる。本当に大事な憲法を、みんなで考えるという姿勢で取り組んでいきたい」

二階幹事長の意気込みに対し、会場からは割れんばかりの拍手が起こった。

「必ずや成し遂げる」 安倍首相がビデオメッセージ

安倍首相からのビデオメッセージ
安倍首相からのビデオメッセージ

そして、この日の盛り上がりがピークを迎えたのは、安倍首相からのビデオメッセージだ。映像を映し出すスクリーンが下りると、会場は静まり返った。

「これからどういう日本を作っていくのか。国の基本を形作り、そして次の時代への道しるべとなるのが、まさに憲法であります」

こう語り始めた安倍首相は、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義という憲法の基本理念は揺らぐことがないと強調した上で、

「現行憲法の制定から70年余が経過し、時代にそぐわない部分は、改正を行っていくべきではないでしょうか」と力強く訴えた。

さらに、国会では野党が議論に応じていない現状を挙げ…
「参議院選挙の結果、自民党は国民の皆様から議論を前に進めるべきとの力強い支持をいただきました。各種世論調査でも、『議論すべき』という回答が多数を占めています」
「野党各党においてもそれぞれの案を持ち寄っていただき、憲法審査会の場で国民の期待に応える活発な議論を行っていただきたい」
と述べ、議論は政治の責任だと強調した。

「憲法改正への挑戦は決してたやすい道ではありませんが、必ずや皆さんとともに成し遂げていく決意です」

安倍首相は強い言葉で自らの決意を示し、
「自民党は今後強いリーダーシップを発揮し、全国津々浦々で国民的な議論を深めていきたい」と締めくくった。

 
 

このあとも、下村前憲法推進本部長が約30分間、資料を手に自民党の目指す憲法改正について説明するなど、熱心に聞き入る出席者は最後まで途絶えることがなかった。

終了後、出席者からは
「なんともしても憲法改正をやらないといけないと、改めて思った」
「党の決意の強さを感じさせられる会だった」
などと熱のこもった声が多く聞かれた。

アピール合戦?安倍首相も二階幹事長に「心より敬意」

二階幹事長
二階幹事長

自民党は今後も、このような大規模集会を各地で行い、改憲機運を高めたい考えだが、今回二階氏が先陣を切った形となった。背景に何があるのか?

9月の内閣改造・党役員人事発表後、安倍首相は、
「新しい体制の下で、長年の悲願である憲法改正を党一丸となって力強く進めていきたい」
と述べ、挙党体制での改憲議論加速化を改めて打ち出した。

これを受けてか、これまで憲法改正には慎重な立場とみられていた二階氏も、9月24日の記者会見では、「憲法改正は他のいかなる事案よりも重要だ」と述べるなど、これまでの「賢明な対応をしていきたい」といった言いぶりに比べ、大きな変化が見られた。

今回の開催について、安倍首相はビデオメッセージの中で、
「二階幹事長が憲法改正にむけた議論を進める先頭に立たなければならないとの強い決意のもと、ご地元であるここ和歌山で集会を開催していただいたことに改めて心より敬意を表します。この県民集会が好機となり全国で集会が開催されることを期待しています」と持ち上げてみせた。

一方で、「ポスト安倍」の一人である岸田政調会長も、10月28日の埼玉県を皮切りに、憲法をテーマとする地方政調会を各地で開催する。

幹部らのこうした動きについて、自民党内からは「総理へのアピール合戦だろう」といった冷ややかな見方もある。

自民党は、憲法改正に向けて、今の臨時国会での国民投票法改正案の成立を「第一歩」として目指しているが、“挙党体制”の本気度が試されることになりそうだ。

(フジテレビ 報道局政治部 与党担当 坂本 舞)

坂本舞
坂本舞

元フジテレビ 報道局 政治部