業者が私道封鎖、通行料要求 「生命に関わる!」住民側と法廷闘争へ【長崎発】

カテゴリ:国内

  • 日々通行する生活道路を、業者が私道として封鎖
  • 高齢者の多い住民側は「生命に関わる」問題と
  • 住民は「一刻も早いバリケード撤去」求め、法廷闘争へ

50年間通行できた、生活に欠かせない道路が…!

テレビ長崎 松永悠作記者;
このオレンジの線より先が私道です。道路がバリケードで封鎖されてから2週間が経ちました。未だに車は通れない状態。

長崎市青山町の団地内の道路を、所有者の福岡県の業者が封鎖している問題。
私道が通る団地とその周辺には、65歳以上の高齢者が多く住んでいて、「命に関わる問題」との声もあがっている。

住民の男性(81歳);
別の場所に駐車場を借りた、そこまで歩いていくのに15分かかる。命に関わる。

住民の犬塚勝利さん;
一番困るのが、毎日病院にタクシーで通われている人。あるいは介護サービスの送迎を受けられていた人。車が入ってこれないので困ったことになっている。

一部のタクシー会社は、団地内への配車を断っていて、郵便・宅配の業者などはバリケードの外側に車を停め、歩いて中に入らざるを得ない。

これまで50年間、当たり前に通っていた道路がある日、通れなくなる。
なぜ、こうした問題が起きたのだろうか。

これまでの経緯を振り返ると…
はじまりは、2018年の11月。私道部分の土地の所有権が、これまでの所有者から福岡県の不動産管理会社に移ったことだった。

業者は 一旦、長崎市に土地の「譲渡」を提案するが、取り下げる。
その後、地元の自治会に「土地を3千万円で買わないか」と持ちかけるも、拒否されていた。

そこで、業者は「私道の通行料」として
・車を持つ世帯は月1万円
・持たない世帯も月3千円

…を支払うよう求めたが、住民側が拒否。

9月に入ってからは「私道に不法に侵入すると法的措置をとる」と通知し、10月2日、ついにバリケードが設置され、道路が封鎖されてしまった。

業者側は、通行料を求める理由について、「万が一 交通事故が起こると責任問題が浮上する」「車両の通行で道路が劣化すれば、修繕費がかかるため」としている。

これに対抗する形で住民側は、「通行妨害の禁止」や「バリケードの撤去」を求める仮処分を10月3日、長崎地裁に申し立てた

住民側 山本真邦弁護士;
一部ではこれまで『厚意によって』他人の土地を通っていたんじゃないか、という話がありますけども、元々購入した時点での開発業者から、通行地役権という権利として(通行できる)設定を受けている。

住民側 岡田雄一郎弁護士;
土地を買い取って、(お金を)請求してきて(通行を)止めると、完全に足元をみてやっているだけ。悪質といえる。

裁判所側は「できるだけ早い判断を」との姿勢を示しているが、住民からは「一刻も早くバリケードの撤去を」との声が挙がっている。

このようなケースは他にもあり得るのか?

今回のトラブル、そのポイントを整理すると…

1.私道になったワケ
なぜ家の前の道路が他人の「私道」になりうるのか?
一般的に「団地」は、 まず開発業者が土地を購入し、住宅団地として分譲するために区画割りする。
分譲後、宅地部分は個人などが購入することで所有権を得るが、宅地以外の道路などは業者所有の「私道」となる。
ほとんどの場合、団地内の道路は自治体に譲渡され「公道」となるが、「私道」のまま放置されてしまうケースも。
今回の青山町のケースもこのパターンで、自治体に譲渡されないまま所有者が変わり、去年、福岡の業者の所有となっている。

とはいえ、今回の青山町では去年まで、私道部分の整備は住民自身が(補助金を受けながら)お金を出し合ってやっていて、道路が公道ではないことを知らなかった人も多かったようだ。

2.私道の譲渡は簡単じゃない?
今回のケースでは、福岡の業者は一度、長崎市に私道を寄付しようとしているが、辞退している。
理由は「金銭面」だった。
長崎市では「長崎市道として認定できる私道」についてのみ、寄付を受け付けている。
その条件は、
*原則として幅員4.0m以上
*道路側溝の構造がコンクリート3面張り
*ガードレールや側溝蓋の設置 など

今回の私道に関して、長崎市の条件に合うように整備しようとすると、業者にとって数百万~数千万の費用がかかる可能性があった。
また、長崎市が業者に対し「9割の助成金が出ること」を伝えていなかったことも要因との指摘もある。

3.団地内に私道が走っているケースは他にもあるのか?
実際はかなりあり、「古い団地」に多い。なぜなのか。
「都市計画法」という法律がポイント。
この法律は、1971年度以降に開発が許可された団地の道路について、自治体(たとえば長崎市)が原則管理すると定めている。
逆に言えば、1971年より前に作られた団地は対象外なので、私道のまま残っているケースが多いという。

青山町の団地も、1960年代に開発されたので対象外だった。
特に古い団地に住んでいる人は気になることだが、自分の家の前を通る道路が私道なのか公道なのか、確認する方法はあるのか?
例えば長崎市の場合は、市のホームページ上で「長崎市道・県道・国道」を記した地図が公開されている。 担当者によると、「長崎市道として認定できる私道」の3条件に該当していない道は、ほぼ「私道」だという。
他の自治体でも同様に公開しているところがある。また、各自治体の道路を管理する部署に尋ねる方法もある。

(テレビ長崎)

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