「災害対応の体制は今のままでいいのか」 石破茂氏が訴え続ける「防災省」の実現可能性は?

カテゴリ:国内

  • 「災害対応は今のままでいいのか」・・・石破氏が主張する問題点とは?
  • 石破氏が訴え続ける「防災省」新設。実現の可能性は?
  • 派内からは「石破会長が提案したから、意地でも現政権ではやらないと思う」との声も

「災害対応の体制が本当に今のままでいいのか。改めるべき点は改めていかないといけないと思う」

記録的な大雨をもたらした台風19号のあまりにも甚大な被害。不明者の捜索や被災地の復旧作業が続いている。
こうした中、自民党の石破茂元幹事長は、10月17日、自身が会長を務める派閥の会合で、現在の政府や自治体の取り組みに敬意を表しながらも、今の防災体制の改善を訴えた。
石破氏が目指しているのは「防災省」の新設だ。

茨城県那珂川の氾濫

石破氏が主張する「防災省」とは?なぜ必要なのか?

「全国知事会から防災省をつくるべきだという提案が出ているが、政府としては(この提案を)とらないという姿勢だ」

会合で石破氏は、持論である「防災省」に消極的な政府に対し、不満をにじませた。
では、なぜ石破氏は、「防災省」が必要だと主張するのか。

「全国47都道府県1718町村ある中で、正直、災害対応は自治体により、ものすごくばらつきがある。非常に意識が高く職員も精通しているところは、機敏に的確に対応できる。それに対し、色々な理由でそうでもないところは甚大な被害が発生する。地域でばらつきがあって本当に良いのか」

石破氏は、地方自治体ごとに差がある対応能力を向上させるためにも、防災省を新設すべきだというのだ。

自身が会長を務める派閥の会合(10月17日)

今の防災体制の3つの問題点とは?

現在、日本で災害が起きた場合、政府の中で災害対応の中心となって担当するのは、内閣府の防災担当チームであり、防災対応全般を専門とする省庁は存在しない。
石破氏は、この日の会合で、現状には3つの問題点があると主張した。

1つ目は、“内閣府・防災担当の人数”についてだ。
石破氏は、「百数十人の体制で、本当にこの今の日本の状況に対応できるかと言えば、なかなか難しいのではないか」と指摘した。

2つ目は、“防災への準備”についてだ。
石破氏は、「これだけ災害が続くと、その対応に精一杯で、(防災の)企画立案をどうやるのか」と疑念を示した。

3つ目は、今後の災害対応につなげるための“災害事例の共有・伝承”についてだ。
「災害のたびに、良い事例、良くなかった事例など報告されるが、それが本当に共有・伝承されているのか。(内閣府は)いろんな省庁から人がやってきて、2、3年したら戻り、また新しい人がやってくる。そのシステムが本当に良いのか」
国土交通省や経済産業省など各省庁から内閣府の防災担当に職員が出向しても、数年で人が入れ替わるので、災害対応の引き継ぎなどが十分に行われるのかと石破氏は疑問を投げかけた。

そして、こうした理由から、災害対応を専門的に扱う防災省を新設すべきだというのだ。

石破氏は、「防災省新設の必要性」については、地方創生担当大臣を務めていた2016年、熊本地震の後から訴えてきた。自民党幹事長や閣僚などを歴任し、全国行脚してきた経験から、防災省設立への思いが人一倍強いのだという。
昨年行われた自民党の総裁選挙でも重要政策の柱として掲げた。

長野県千曲川の氾濫

「防災省」実現の可能性は?

石破氏が主張する防災省新設に対し、菅官房長官は昨年7月、記者会見で否定的な見解を示した。菅長官は、米連邦緊急事態管理庁(FEMA)のような統一的な中央省庁の創設について政府が2015年に「積極的な必要性は直ちに見いだしがたい」と結論付けたことを会見で紹介した。
その一方で、菅長官は、防災関係の職員育成、国と地方自治体の連携強化の重要性を指摘し、「今後とも必要な体制の検討と実践を重ね、万全の危機管理の体制を確保することが重要」とも語った。

菅官房長官

はたして防災省は、実現の可能性があるのだろうか。
石破派の幹部は、「有事の備えは平時にしかできないにも関わらず、現政権の中枢から、“防災省を作って平時はどうするのか”という声が聞こえる。防災省の役割が発災後の人命救助や復旧復興に限られるという古くさい誤った考え方だ」と不満をもらす。
また、「石破会長が提案したから、意地でも現政権ではやらないと思う」と語る石破派幹部もいる。

自然災害が相次ぐ日本において、どのように「防災」と向き合っていくべきなのか。防災省新設を悲願とする石破氏の問題提起をめぐる議論にも注目していきたい。

フジテレビ 政治部・与党担当 森本涼

取材部の他の記事