11月1日、2020年に導入が予定されていた大学入学共通テストの英語民間試験導入の延期が発表された。立憲民主党など統一会派と共産党が導入の延期法案を衆議院に提出する中、プライムニュースでの萩生田文科相の「身の丈」発言がSNSで取り上げられ、それを追いかけるよう野党が批判を展開していた。

今回の放送では、自民・立憲・共産・維新各党の幹部を迎え、臨時国会の焦点である大学入試英語科目への民間試験導入問題と、憲法改正についての各党の姿勢を検証した。

英語民間試験導入の延期決定、その背景は?

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反町理キャスター:
政府の方針で2024年に延期と決まりましたが、なぜ延期にしたのかという点を確認したい。

下村博文 自民党選対委員長 元文科相:
これは、公正公平という視点からやむを得ない。経済的な観点からの配慮が必要だと要請してはいたが、本当にこのまま来年実施できるのかについて、萩生田大臣が難しいと判断して延期になりました。今までは大学入試センターが関わらず個々の大学が試験を行っていたから、全国一律にという配慮の必要はなかったが、今後センターが関わるならば公正公平を期さなければなりません。
ただし、センターと関係なく、英語4技能(読む・聞く・話す・書く)について教育の中で子どもたちの力を高めるという意味では、民間試験導入は行うべきです。

今回の延期について、各党幹部はどう考える?

長妻昭 立憲民主党代表代行 選対委員長:
現状でも、予備校に通える経済的な余裕があるかという点など、受験生間に格差があります。民間試験を入試に使うことの議論の中で、これについてどう考えるかという意識がない。その中で萩生田大臣の「身の丈」発言。これは失言ではなく、本質がよくわかる本音の発言です。
全然反省がない。下村さんの発言を聞いていると腹がたちます。

下村博文 自民党選対委員長 元文科相:
受験会場が明確でない、試験料が高い、安くしてくれと文科省が要請しているがそんなに安くならない。これらの点については問題だと思います。

小池晃 日本共産党書記局長:
予備校に行けるかどうか、参考書を買えるかどうかではなく、入試制度そのものの中に経済格差が持ち込まれるのがよくない。英語4技能を強めることは大事だが、テストではなく授業でやるべきです。入試の公平性と引き換えにやるべきではありません。本当に英語技能4技能を身につけさせるための英語教育の充実のためにお金を使うべきです。

馬場伸幸 日本維新の会幹事長 選対本部長:
今回の問題は制度設計にあります。7種類の試験があり、受験料が25,000円と高額である。さらに地方では都市部に比べ試験場も少ないなど、いろんな問題がある。これらにもう一度視点をおいて、受験料の助成とか、地方受験場確保のため公共施設を貸し出すとか、いろんな具体的なことをもう一度検討していただきたい。

記述式試験導入の是非は?

小池晃 日本共産党書記局長:
国語と数学の記述式試験導入も、見切り発車すべきではない。アルバイトが採点することもあると民間業者も国会で発言していますし、公平性が担保できません。止めましょう!

反町理キャスター:
記述式という制度自体に関しては、このまま進めるんですよね?

下村博文 自民党選対委員長 元文科相:
その予定です。従来のマークシート式では、本当の思考力や判断力・想像力が育まれない。その点で記述式は必要です。しかし記述式を導入したとして、一斉に50万人受けたら試験官は100万人も必要です。そこで本当に公平公正に採点できるのかという疑念については、今後つめていく必要があります。

憲法改正議論にあたってのCM規制について

長妻昭 立憲民主党代表代行 選対委員長:
まず、改憲の手続きにおける国民投票法について、CM規制を入れないと大変なことになると考えています。改正法案にCM規制の話が入っていないので、我々はCM規制を入れて与野党で議論し法律を成立させよう、という議論を求めています。自民党は、CMの上限規制を確実に行うと断言できるんですか。

下村博文 自民党選対委員長 元文科相:
それは今後の議論。最初から規制という前提で議論するのはおかしい。テレビだけではなく、インターネットも規制できるのかという問題もあります。CM規制法と国民投票法は別で、CM規制法については議論しましょう。改憲の中身についての自由討議は、現場の憲法審査会に任せようと。国民投票法についても中身についても、両方うまく組み合わせて行っていくべきというのが現場の意見です。

反町理キャスター:
この国民投票法改正案と改憲の中身の話を並行するのかという話については、馬場さんの立場からするといかがでしょう。

馬場伸幸 日本維新の会幹事長 選対本部長:
まず同時にやるべきです。国民投票法の改正案はさっさと採決するべきだと思います。一方で、この中で大規模な住民投票を経験された方はいないと思いますが、大阪都構想の例を見てもCMの打ち合い、印刷物などの規模はすごいものがあります。ですから、一定の規制の検討は必要でしょう。

小池晃 日本共産党書記局長:
改憲の必要はなく、国民投票法の手続きも必要ありません。どんな世論調査を行っても、国民にとっての改憲の優先度は低くなっています。今国民が求めているのはそうではない。

(BSフジ「プライムニュース」11月7日放送分より)