【解説】ハザードマップは万全ではない? 水災から免れるために私たちが今知るべきこととは?

カテゴリ:国内

  • 千曲川の氾濫は長野市が作っていたハザードマップがほぼ浸水被害と一致
  • 福島県いわき市のハザードマップは、予想されていなかったところに浸水被害が
  • 土地の特性も加味した新しいハザードマップの作成を早急に

被害を想定するハザードマップ

過去、大雨が降った時の情報や地形、さらに堤防の高さなどを計算し作られた“ハザードマップ”

今回、台風19号の被害に遭った長野市のハザードマップには千曲川流域に2日間で396ミリ、周辺の河川に1000年に1回程度の雨が降ることを想定した千曲川周辺の浸水被害予想が記載されていた。

果たして、ハザードマップはどれくらい正確に予測できているのだろうか?実際に浸水してしまった地域と比較してみると…

ほとんど一致していることが分かる。「直撃LIVEグッディ!」は、ハザードマップで浸水が想定されていた地域を取材した。

千曲川の堤防が決壊した場所からすぐそばに位置する長野市長沼地区。ハザードマップによると、この地区はピンク色のエリアで、想定される浸水の深さは最大10m~20mだった。実際に浸水の被害にあった家の中を見せていただくと…

千曲川から流れ込んだ水によって壁が変色している。住民の方によると2メートル以上浸水したそうだ。

幸いにも、この家の住民は避難指示が出る前に早めの避難をしていたため、無事だった。事前にハザードマップを確認していたうえ、電柱に貼られていた注意喚起などもあり、比較的早く避難を決断できたという。

一方、夏井川の堤防が決壊し大きな被害が出た福島県いわき市中平窪では…

ハザードマップはどこまで正確?

決壊した堤防から約2キロ離れていたにも関わらず、約2メートルの高さまで水が押し寄せてきたという。なぜここまで水が来たのか?ハザードマップはこの被害を想定していたのか?スタジオで解説した。

倉田大誠アナウンサー:
ハザードマップは特に決まりはないそうなんですが、福島県いわき市の夏井川水系のハザードマップではピンク色の部分は、浸水したときに2メートル以上水が来ますよというところ。青色の部分は1~2メートル未満の高さまで水が来ることを表しています。そのほかにも赤い丸は避難可能な施設、青い丸は浸水区域内ですが2階以上は避難可能な施設など、ハザードマップにはいろんな情報が含まれています。夏井川の堤防が決壊したところから、約2キロ離れたところで高さ2メートルまで水が来ました。土屋さん、なぜ決壊した場所から約2キロ離れた場所で浸水したのでしょうか?

土屋信行氏(リバーフロント研究所 技術参与):
昔から“水がつく”という言葉があります。水がつくという言葉は低いところに水が流れていく、たまるのは低いところという意味を含んでいます。氾濫した水はそこにとどまってくれません。必ず低いところを探して、低いところにどんどん溜まっていきます。ハザードマップでは低い部分も色が濃くなっているわけです。氾濫した箇所だけではなく、もっと広いエリアで、低い場所にいらっしゃる方は逃げるということを心がけなければなりません。

安藤優子:
つまり決壊場所からの距離だけではなく、高低差を頭に入れないといけないということですね。

倉田大誠アナウンサー:
ハザードマップの作り方を見てみましょう。

・国や県などの川の管理者が飛行機などを使い、レーダーを当てて地表面の高さを計測
→水面と地表面を比べて浸水が想定される区域を予測している

倉田大誠アナウンサー:
そのため、ハザードマップは距離だけではなく、距離が離れていても浸水すると表記されるということです。

土屋信行氏(リバーフロント研究所 技術参与):
測量もどんどん進んでいまして、今は飛行機やヘリコプターだけでなくドローンなども使って、地表面の高さを測っていきます。精緻に測っていくので、「水がついた」場合には水深がどれくらいになるかというのはほとんど正確にわかるようになっています。

倉田大誠アナウンサー:
ただ、このハザードマップも完璧なわけではないんです。

倉田大誠アナウンサー:
宮城県・丸森町のものなんですが、左側のハザードマップでは中央のあたりが真っ白です。色がついていませんので、浸水の被害はないとされているんですが、実際には2メートル近く浸水しました。

土屋信行氏(リバーフロント研究所 技術参与):
実はこの阿武隈川には国土交通省がどのくらい雨が降った時にどこが沈むのか記した浸水予想図というものがあるんです。150年に1回くらいの大雨、250ミリくらいの雨が降った時は白い部分も浸水するという地図がすでにできています。できてはいるんですが、新しい浸水予想図は先ほど言ったように精緻な測量をして出していて、つい最近出たんです。それを元にハザードマップを作った市町村もありますが、まだ間に合っていない自治体もあって、浸水図では沈むんだけどハザードマップではまだ沈まないという表現になっている。全国の自治体の方には、最新の浸水図で直ちにハザードマップを作り直していただきたいと思います。

倉田大誠アナウンサー:
他にも、ハザードマップには弱点があります。水ジャーナリスト橋本淳司さんによると「ハザードマップは土地の高低差をもとに作成しているので、水のたまりやすさなど土地の特性は分からない」そうなんです。そこで皆さん、ハザードマップ以外にこういった地図も知っておいてください。

・国土地理院のホームページで見ることができる「治水地形分類図
・「旧河道があり、周囲よりも長時間浸水する」など、土地の特性や成り立ちがわかる

倉田大誠アナウンサー:
ハザードマップに加えてこうした地図を見ていただくと、よりその土地について知ることが出来ると思います。

安藤優子:
自治体によってハザードマップは作り方も違うんですよね。

土屋信行氏(リバーフロント研究所 技術参与):
残念ながらハザードマップは統一の基準はありません。いろいろな創意工夫を盛り込むこともできるので、私が作ったのは漫画をたくさん入れて、分かりやすさを目指しました。何枚もハザードマップがあるところもあるんですが、私は統一させて、どんな時でも一つのハザードマップを見ればいいという作り方もしております。分かりやすさを目指して作っていただきたいですね。

安藤優子:
分かりやすく、そして最新のデータを元に作っていただきたいですね。そこまで精魂込めて作られたハザードマップは、私たちも絶対に見なくてはいけないなと思います。

(「直撃LIVE グッディ!」10月17日放送分より)

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