鉄橋崩落で“孤立集落”となった福島県矢祭町…生活のため線路を歩く住民に今本当に必要なものとは?

  • 台風19号により福島県矢祭町で84mの鉄橋が崩落“孤立集落”に
  • 住民は必要物資を手に入れるため、現在不通となっているJRの線路を歩くことに…
  • 冬を前にした今、住民に本当に必要なものはなにか? 要望書に書かれていることとは?

通行できない鉄橋を歩く人々、JR東日本も「やむを得ない」

台風19号の上陸からきょう(16日)で5日目。
「直撃LIVEグッディ!」は今なお孤立状態が続く、福島・矢祭町にある集落を取材した。

手にクーラーボックスや荷物を持ち、歩く人々。本来ここは、人が通行できない、列車専用の鉄橋だ。
なぜ人々は、ここを歩いているのか?

このすぐ近くには、街の中心部へとつながる橋があったのだが…。

橋は、台風19号の影響で崩落。今は、JR水郡線の鉄橋が外に出る唯一の道となっているという。
ここを走る列車は台風の影響で運休が続いているため、JR東日本は住民が鉄橋を使うことをやむを得ないとしている。

水とガスの欠乏に苦しむ住民たち

きょう、ボランティアで集落に物資を届ける男性に同行したが…。

歩いている場所は、大人2人が並んで歩くのがやっとぐらいの幅だ。
集落には高齢者も多く、橋の崩落によって生活に必要な物資を買いに行くことが困難で、“孤立状態”になっているという。


倉田大誠アナウンサー:
孤立状態が続いている福島県の矢祭町。台風の影響で、84mほどの橋が崩落しました。橋にあった水道管も破損してしまったため、断水状況にあります。住民の方が今一番危惧していることは水がないことと、こちらの集落ではプロパンガスを使って生活されています。ですから、ガスの燃料がいつ切れてしまうのか、生活に非常にかかわってくる問題を現在抱えています。現地と中継を結んでみます。

木下康太郎フィールドキャスター:
こちらの集落には、赤ちゃんから高齢者まで11世帯30人が暮らしています。橋が崩落してしまったため、外に出るために線路を使っているんですが…。この線路に上るのも、線路から下りるのも、この急きょ設置されたはしごを使っているんです。

木下康太郎フィールドキャスター:
このはしごが大変不安定で、物資などを運ぶ方も揺られつつ、バランスをとりながら必死の思いで上り下りしている姿が見られました。きょうの午後1時半から、住民側と町役場が今後の対策について協議しました。今回、住民の方は役場にこういった要望書を提出しています。孤立した地区に住む60代男性の要望書を特別にお借りしてきました。

木下康太郎フィールドキャスター:
一番最初に“今現在一番必要なのは「生活の確保」”と書かれています。下には、現在困っていることがいくつか挙げられています。

木下康太郎フィールドキャスター:
入浴や洗濯について書かれている他、“ガスがなくなるのではないかと心配”と書かれています。こちらの集落では、ほぼ全てのご家庭がプロパンガスを使用していますが、このプロパンガスはおよそ50kgあり大変重いものです。ガスを使い切ってしまった後、補充するために業者の方が重いプロパンガスを持ってはしごを上って、線路を歩いて来てくれるのか? そういったところは大変不安だと話していました。このあたり、朝晩は大変冷え込み、10℃前後になります。しかし皆さんはそういった中でもヒーターを使うのを控え、お風呂に入るのも控えている。とにかくガスがなくならないように節約していて、「今は寒さとの戦いなんです」と話している方もいました。

仮の橋の作成には数カ月、本橋には2~3年かかる見込み

<要望書より一部抜粋>
鉄橋も霜が降りればツルツルで、歩くのも危険で、夜は暗く足元が見えません。雨や雪の日はさらに危険度は増すことから、冬の間は安全確保第一かと考えます。(死者を出してはいけないと思います)

木下康太郎フィールドキャスター:
夜は、周辺が真っ暗になります。線路は足場も悪く、さらに明日の朝は霜の注意報が出ていて、滑りやすくなる可能性があります。“死者を出してはいけないと思います”と書くほど、皆さん悲痛な思いで暮らしていらっしゃいます。今後、仮の橋がいつかかるかもわからない、そういった中で「どうやって生きていけばいいか、日々本当に不安なんです」と泣きながら訴える住民の方もいらっしゃいました。

住民は「仮の橋でもいいのでつくってほしい」と訴えているが、矢祭町役場の担当者によると「仮の橋の作成には数カ月、本橋の作成は2、3年かかる見込み」と話している。


安藤優子:
和田さん、一本だけの橋、一本だけの道路、これが寸断されたことによって、これまでの生活が全くできなくなるというリスクを抱えているところが、まだ他にもあるんじゃないかと思えてきますね。

和田隆昌氏(災害危機管理アドバイザー):
そうですね。すでに数カ所で孤立している村や集落があると聞いています。これは各市町村では対応ができないと思うので、行政・政府ですね。自衛隊も含めて仮の橋脚を作るようなシステムもありますが、今回はかなり距離があるので、仮橋脚は難しいかなと思います。短い距離で、ある程度条件がそろえばそういったシステムもあるんですけど。

安藤優子:
そうですか。土屋さん、何かいい知恵はないものですかね。物資を運んだり、高齢者の方がなんとか行き来できる方法が欲しいということですが。

土屋信行氏(水害専門家・リバーフロント研究所技術参与):
最近はあまり使われませんが、山間部ではロープを渡して、荷物だけでも運ぶというのは、まだやっているところはありますね。

安藤優子:
ロープに渡して滑らせる形のものですね。ただプロパンガスは50㎏くらいあるっていう話だったので、ちょっと難しそうですね…。

高橋克実:
2、3年って…橋を造るのってそんなにかかるものなんですか。

土屋信行氏:
両サイドが崩落していて地盤も緩んでいるので、まず土台から作り直さなければいけない。そのあたりの造成に時間がかかるんです。他の橋脚が壊れたところも数年かかると言われているところがほとんどです。その間に災害が起きてしまうと、また一からやり直しになります。

(「直撃LIVE グッディ!」10月16日放送分より)

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