「バイト&遊びすぎて留年」が就活の強みに!? “しくじり採用”サービスの狙いを聞いた

カテゴリ:国内

  • 就職めぐり「しくじった経験」がある人専用の就職支援サービスが登場
  • 陶芸にハマりすぎ、サッカー観すぎ…しくじりエピソードは何の役に立つ?
  • 「バンド経験者はエンジニアに向いている」理由は…

過去の「しくじり」を就職に活かす?

人生を大きく変えるかもしれない、就職活動。
面接・選考の解禁前には、多くの就活生たちがエントリーシートの記入、自己分析、面接の練習…とざわめき始める。

特に「新卒はゴールデンチケット」とも言われるように、たった1年、1回のチャンスに全てを賭ける姿勢で臨んでいる、という学生も少なくないだろう。

そんな就活に向けて、自分を表現する具体的なエピソードを必死に思い出している人もいると思うが、「面白いエピソードはあるけど、就活のプラスにはならないな」と、それをいかに自己アピールにつなげるかは悩みどころだ。

こうした中、一見マイナス要因に思えるエピソードを持つ人たちを支援する「しくじり採用」なるサービスが登場した。

ITベンチャーであるコラボテクノ株式会社が受け付けているこの「しくじり採用 エンジニア編」は、その名の通り、現在求職中で過去に「やりすぎた・しくじった」経験を持つ人と企業をマッチングさせる就職支援サービス

応募要項は「大学中退・留年OK」「現役会社員OK」「ニート・フリーターOK」「就職経験なしOK(30歳までの男女)」「第2新卒OK」と、かなり緩めになっている。
「エンジニア編」とあるが、これはエンジニアとしての経験がある人を募集している、というわけではなく、今後エンジニアとして活躍したい人向けのサービス、ということだ。

では、どんなエピソードを持つ人が対象かというと、公式サイトには

・陶芸にのめり込みすぎて就活ができなかった
・マンガ家を目指すもデビューできず就活で苦戦した
・アルバイトと遊びの予定でスケジュールが埋まってしまい就活ができなかった
・海外サッカー中継を見すぎて留年した
・YouTubeに動画をアップしすぎて働く気がなくなった

などが並んでいる。

これらの例は実際に就職に成功した人たちの実話ということで、「陶芸にのめり込みすぎて就活ができなかった」人は現在「某スタートアップ企業の営業として活躍中」。「海外サッカー中継を見すぎて留年した」という人は「某アパレル企業のECサイト立ち上げのSEとして活躍中」など、今はそれぞれぴったりの仕事を見つけることができたという。

とても興味深いが、一般的にマイナス評価となりそうな「趣味に没頭しすぎる」「留年経験がある」などのしくじり経験を持つ人たちをなぜ支援するのか?そして、そういう人たちだからこその社会に出たときの強みとは何なのか?
「しくじり採用」を企画した、株式会社アドヴァンテージに詳しくお話を伺った。

「しくじった経験」から強みを見つける

――サービス開始のきっかけは?

実際の世の中で“やりすぎ”て“しくじる”となかなかシンドイ時代。一般的には"しくじり"や"やりすぎ"はマイナス要因かもしれませんが、せっかくの貴重な経験をプラスに転換できれば十分に就職に有効に働くと、私たちは考えております。

世の中の常識では考えられない集中力を持っている“やりすぎた”皆さんや、人生やキャリアに“しくじった”皆さんの強みを見つけ、新しい可能性を引き出すことで、ひとりひとりの特性にピッタリな企業との出会いを全力でお手伝いしたいという思いから、サービスを開始いたしました。


――就職までどんな支援をしてくれる?

まずは「しくじり採用 説明会」にご参加いただき、説明会の中で開催されるトークタイムにおいて、自分のセールスポイントを再確認いただきます。
その後は、就活の場でその自分の強みを最大限に生かせるように、面談の指導やスキル確認を行い、スキルが足りない場合はそこを補填しながら、最適な企業を複数ご提案→面談→内定→企業からの課題取り組み→就職といった流れを想定しております。


――「しくじり」はマイナスのイメージですが…

例えば、学校を留年するような経験は一般的に考えるとマイナス要因かもしれませんが、私たちは留年してしまったことよりも「なぜ留年したのか?」に注目すべきと考えています。
実際に私たちが支援したスタッフの一例となりますが、その方は学費を稼ぐのに接客のアルバイトを始め、現場での働きが評価されリーダー的な役割を任せられた事で10人ほどの学生アルバイトをまとめてきた経験をお持ちでした。

結果的に学業がおろそかになって留年したようなケースの場合、視点を変えると、

(1)接客をこなしていたことで人とのコミュニケーション力がつき、言葉遣いなどの教育もされている
(2)リーダーとしてメンバーをまとめ売り上げに関しても貢献していたため、マネージメント力が養われ、数字管理や売り上げ目標に対する意識もすでに身についている

など、社会人として持っていてほしいスキルが既に身についている人材であるとみることが出来ます。このように、すでに身についているスキルや強みを見つけアピールすることで、採用企業に対してプラス評価に働くと私たちは考えています。

「アルバイトしすぎ」もプラスになる可能性が(イメージ)

アドヴァンテージによると、面接指導などの他にも、無料でビジネスマナーやプログラミング言語を学ぶスクールを受講できる、就職後は専門スタッフが悩み相談に応じてくれる、また「入社初日に一人で就職先に行くのが不安…」という人にはスタッフが同行してくれるなど、手厚すぎるサービスが揃っている。

「しくじり採用」は奇抜なエピソードやユニークなキャラクターを持っている人を集めたいわけではなく、“隠れた強み”を見つけ手厚くフォローしてくれるサービスだった。

「バンド経験者はエンジニアに向いている」?

――例にあった「陶芸にのめり込みすぎた」「サッカー中継を見すぎた」というエピソードからはどんな強みを見出した?

陶芸の方の場合、モノ作りがとても好きなだけでなく、コミュニケーション力がとても高かったため、作り手であるエンジニアに仕事をとってくる営業を紹介したところ、エンジニアとクライアントの両サイドから高評価をいただく営業として活躍されています。

サッカー中継の方の場合は、海外サッカー中継をネットで観戦していた経験から、そもそもwebのお仕事に興味があったため、その興味を活かせるエンジニア職を紹介しスキルの習得を支援したところ、みるみるとスキルを身つけ、今ではエンジニアとしてバリバリと活躍されています。


――どんなしくじりをした人がどういうタイプの仕事にマッチングする?

一概には言えませんが…例えば学生時代からバンド活動に力を入れていた方は一つの曲を演奏するのに、それぞれの役割があり、その役割をきちんと果たさないと良い音は出ませんよね。

システム開発の現場でも同じことが言えますので、自分の役割を認識し実行してきたバンド経験は開発エンジニア向きとも言えますよ!


――たとえば「面接が苦手で就職に失敗した」など、しくじりエピソードが特別個性的なものでなくても参加できる?

いわゆる一般的なしくじりエピソードをお持ちの方でも、もちろんご参加いただけます。
特にとがったしくじりエピソードをお持ちでなくとも、いろいろな事に悩んでいる方や、自分が思うように生きられていないと感じている方などにも、ぜひご参加いただきたいと考えております。

この企画に参加いただければ、同じように悩んでいた先輩方から人生の困難や悩みを乗り越える極意を伝授してもらえますし、参加いただいた方の強みを見つける企画などもご用意しております。

「自分が生かせそうな仕事には挑戦すべき時代」

「しくじり採用」は今後、エンジニア以外の他業種でも実施を検討中。
「エンジニア編」の説明会は2019年11月17日(日)と11月24日(日)の2回で、どちらも13:00~17:00。参加希望者は公式サイトから申し込みをしてほしいとのことだ。


――就職は一度きりの一大イベント、というスタイルは今後どう変わる?

今後、確実に終身雇用は無くなっていくと私たちは考えております。
納得いかないところに何年も我慢していることはベストと思いませんが、一通りやってみないとそれが自分に合うか合わないかは分からないとも思います。

ただ出来ないから、やりたくないからというような視点で仕事を変えるのはもちろん良いとは言えません。ですが、より自分が生かせそう、非常に興味がある、とてもやりたい、など前向きな気持ちがあれば、今は挑戦すべき時代ではないでしょうか。

やってみないと分からないことは沢山あって、やったから気づくこともたくさんあります。良い意味で前向きに行動することをお勧めするとともに、そんな皆さんのお手伝いが少しでもできればうれしいと考えております。



最近はメイクや髪型など、就活生の個性を生かした採用スタイルを打ち出す企業も多くなっているが、働き方が多様化する中で「しくじり採用」のような失敗を経験したタフさも、これからの社会を生き抜く強みとなっていくのかもしれない。