東日本を中心に広範囲で甚大な被害をもたらした台風19号。
15日現在、亡くなった方は全国で70人にのぼり、さらに25人が行方不明になっている。

そして今回の台風は、都市部にも大きな被害をもたらした。交通網の混乱だけではなく、人気のタワーマンションでも緊急事態が発生。住民たちの生活に深刻な影響が出ている。

武蔵小杉では生活に深刻な影響が

首都圏屈指のターミナル駅で1日約13万人が利用(2018年度)する、川崎市のJR武蔵小杉駅。
15日午前8時ごろ、その付近は駅に並ぶ人で大行列となっていた。

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駅構内に続く道には乾いた泥が残り、掃除に使用したとみられるモップが立て掛けられている。

台風19号の影響で、横須賀線口の新南改札は水浸しとなった。

武蔵小杉駅では午前7時、台風の影響で水没していた改札が仮復旧。午前7時時点では大きな混乱は見られなかったが、その30分後には、改札口に並ぶ行列が数十メートルに。

さらに30分後の午前8時には、改札口への行列が約200メートルにまで伸びていた。

行列が伸びた理由は、駅への入場規制だ。駅構内では、エスカレーターやエレベーターが浸水で使えなくなったことから階段に人が集中。混乱を避けるために入場が規制され、利用客の中には、普段は5分程度の構内の移動に約30分かかったという人もいた。

タワマンではトイレ問題

大混雑となったJR武蔵小杉駅の横須賀口周辺は、タワーマンションが立ち並ぶ人気エリア。
台風直撃時の様子を捉えた映像では、交差点の水が風で波打ち、マンションの地下2階にも茶色い水が押し寄せていたが、翌日には復旧して、住民は普段の生活を取り戻しているという。

その一方、いまだ普段の生活を取り戻せていない住民もいて、「電源は当分復活しません」「住戸のトイレは使用しないでください」という貼り紙が貼られたマンションもある。

そして、男性が特に困っていたのが...

特に深刻な状態となっているのが、人気のタワーマンション。
47階建てマンションに住むこちらの男性は、エレベーターが停電のため使えず、階段を使って上り下りしている。蛇口をひねっても、水道から水は出ないという。

47階建てマンションの住民:
汚水処理がうまくいってないから、水の使用は控えるようにと。だからトイレも使えないんですよ。

マンション内で排水の処理ができなくなっているため、トイレが使用禁止となっていた。

「災害後肺炎」とは?

そして15日、JR武蔵小杉駅周辺で目に付いたのが、マスクをして歩く人の姿。
街ゆくマスク姿の人からは「空気中は何が飛んでいるか今は分からないですよね。だからちょっと怖いといえば怖いかな」という話も聞こえた。

現場では砂ぼこりとなって舞い上がっていたが、実はこの砂ぼこりが危ない。台風で出ていた泥水は下水などの汚泥が固まったももなので、汚泥などをそのまま吸い込むと非常に危険という。

コスギコモンズクリニック・高木誠院長:
(砂ぼこりには)細菌とかも多く含まれているというふうに言われているので、吸い込むことで肺炎を起こしたり、アレルギー疾患を起こしたりすることが考えられます。

これからの台風への対策とは?

加藤綾子キャスター:
私も14日、長野県に取材に行ったんですけれども、VTRを見て、それぞれの地域でそれぞれの被害の形があるなという印象を受けたんですが、別所さんは今回の台風というのは。

別所哲也さん:
僕は実家が静岡なんですけど、避難勧告が出ている地域とどうしたらいいんだろうと迷ってる地域と横の連携がなかなか...うちの80を超えた親たちも、情報をどうとるか。情報難民になってしまっているっていう状況があって。また都市部は都市部で、電源なんかが地下にあるマンション、タワーマンション非常に多いですから、1回まひしてしまうとなかなか動きが取れない。そして、今後の対策としては次の被害、健康被害を受けないようにするにはどうすればいいのか非常に重要ですね。

風間晋解説委員:
都市部であれ、地方であれ、被災した方たちの話を聞くと「まさかこんなことになるとは思わなかった」とか「こんなの初めてだ」という声が共通項なわけですよ。つまり、私たちの経験に基づく判断を覆すような災害が、日本各地で毎年のように起こっているというのは本当に、まさにそういう形になっていると思うので。今までの災害に対するマインドセットというのを、ここでやっぱり変えていかなきゃいけないんだなと思いますね。

加藤綾子キャスター:
気象現象の変化とともに、私たちの対応というものもやはり変えていかないといけないですよね。

(Live News it! 10月15日放送より)