写真を送るだけで教えてくれる

あなたは粗大ごみを捨てる時に、いくらかかるか知っているだろうか?

例えばイスの手数料と言われても、即座には答えられず、調べるのも時間がかかる人がほとんどだろう。
でも、もしあなたが横浜市に住んでいたら手数料を調べるのはとても簡単

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まず、横浜市の「粗大ごみインターネット受付サイト」でチャットを起動しスマホのカメラで捨てたい物を撮影

すると、送信した写真を自動的に認識し、簡単な質問に答えるだけで手数料が表示される
イスの写真を送ってみると、「いす(応接用いすを除く。)の手数用は、200円だよ」と教えてくれた。

これは、9月2日から横浜市が導入したチャットボットの機能。
パソコンからでも使うことができ、画像認識AIで粗大ごみの種類を判別して料金や捨て方を教えてくれるのだ。
オークネット・アイビーエスが提供するディープラーニングを利用した粗大ゴミの画像認識サービス「SODAI Vision API」(ソダイ)を活用。中古車データを活用した車両画像識別システムの技術を応用したという。

これまで粗大ごみの料金を調べるためには、ネットなどで公開されている分類表の中から探し出すか、電話やメールで問い合わせるという方法が一般的だった。
しかし、探す手間がかかったり、電話が混み合ってつながらなかったり、メールで答えるまで時間がかかったりするなど、様々な問題もあった。
それがAIチャットボットなら、24時間いつでも好きな時に写真を送るだけで、すぐいくらか分かる

チャットボットのキャラクター「イーオ(左)」と「ミーオ」 出典:横浜市
チャットボットのキャラクター「イーオ(左)」と「ミーオ」 出典:横浜市

横浜市はAIチャットボットの導入に積極的

実は、横浜市はAIチャットボットの導入に非常に積極的に取り組んでいる。
2017年8月ごろには、ごみの分別に特化したチャットボットの返答が面白いと話題になり、編集部でも取り上げた。
(参考記事:「夫を捨てたい…」ごみ分別案内の回答がすごい!

「イーオ」というチャットボットに捨てたいものの名前を伝えると、燃える燃えないなどのごみの分類を教えてくれるのだが、「人生」や「恋人」などを入力するとウィットに富んだ答えを返してくれるという。

試しに「夢」と入力すると、こんな答えが返ってくる。

イーオ:「夢を捨てるとき、この世は存在しなくなる。」ってウィンストン・チャーチルが言ったそうだよ。もう一度考えてみたら、どうかな

ミーオの返答も負けていない

今回、粗大ごみ画像認識に対応したチャットボットのキャラクターは「ミーオ」という。
試しに「ミーオ」に対して「夫」と入力すると、こんな答えが返ってきた

ミーオ:「人間は判断力の欠如によって結婚し、忍耐力の欠如によって離婚し、記憶力の欠如によって再婚する」ってアルマン・サラクルーの作品で言っていたよ。

ミーオ:忍耐力を鍛えてみたら、どうかな。


こちらも同じようなウイットのセンスを持ち合わせているようだ。
ちなみに、月曜から土曜の朝8:30から17:00は人間のオペレーターを呼び出すことも可能だが、チャットボットのような含蓄のある答えをしてくれるかは不明だ。

ちなみにミーオは、粗大ごみとしてよく見かける家具類をはじめ、ローイングマシンなどちょっと珍しいものまで全部で225項目を見分けることが可能。
さらに、バイクやコインなど粗大ごみ以外も判別することができ、どうやって捨てればいいかアドバイスしてくれるという。

これがローイングマシン
これがローイングマシン

それにしても、なぜ横浜市はAI導入に積極的なのか?
最終的にどんなチャットボットを目指しているのだろうか?担当者に聞いてみた。

月12万件超の問い合わせの負担を減らしたい

――チャットボットに画像認識AIを導入した理由は?

横浜市は人口が多いこともあり、粗大ごみ受け付けはとても混み合っています
電話では、申し込みだけではなく、「この粗大ごみの手数料はいくらですか」という質問が非常に多いので、その負担を減らしたいという思いがありました。
そんな状況の中、契約した企業に出していただいた提案の中に画像認識AIがあり、ぜひやってほしいということで導入に至りました。

――大変ってどのぐらい?

9月の1か月間にいただいたお電話は、約12万5千件。
ネットでも約5万件のお問い合わせをいただいています。

――AI導入で業務は楽になった?

まだ動かしたばかりなので、現在は検証する状況にありません。
今のところAIは粗大ごみの手数料をお答えすることしかできませんが、申し込みの処理までできて初めて負担が減ったと言えます。
そのタイミングでリリースを発表しようと思っています。

――ゆくゆくは、申し込みができるよう改良している?

そうしたいです。
今は試行期間的で、その裏で着々と準備を進めている状況です。

粗大ごみを捨てるのには、予約が必要だったり、チケットを購入したり、様々な手間が必要でいろいろ時間がかかるものだった。
手数料の問い合わせを自動化する試みは小さな変化かもしれないが、私たちの生活を便利にしてくれそうだ。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。