「国会の花形」予算委員会が臨時国会でスタート

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小泉進次郎環境大臣の本格的な国会論戦デビューなど、注目が集まる予算委員会での質疑が衆議院で10日から始まった。

これまでも与野党の激しい攻防が繰り広げられてきた予算委員会は、全国にテレビ中継される機会も多く、まさに「国会の花形」と位置づけられている。

その予算委員会だが、大臣の失言や不祥事などを野党が追及しているイメージが強く、肝心の「予算」についての討論が交わされている印象は薄いのではないだろうか。ではなぜ「予算」以外が討論の議題になることが多いのに、なぜ「予算委員会」なのか。

「予算」話し合うことが少なくても、ナゼ予算委員会?

予算委員会は、衆院参院それぞれに17個ずつ設置された常任委員会の1つである。それぞれの委員会の役割については、衆参両院の規則に記されていて、例えば厚生労働委員会については「厚生労働省の所管に属する事項」とされ、農林水産委員会は「農林水産省の所管に属する事項」と定められている。つまり「厚労省のことは厚労委員会で、文科省のことは文部科学委員会で議論しましょう」といったように、基本的には、各省の課題にそれぞれ対応する委員会が設置されているということだ。

では、予算委員会について規則ではどう定められているかと言うと、実は他の委員会と違い、「予算」という漢字2文字しか書かれていないのだ。しかし、この「予算」という「2文字」に込められた意味にこそ「予算委員会」を紐解くカギがある。

国のお金の使い道を決める「予算」は、必然的に国政の在り方を決めるものとなっていて、日本国憲法73条でも行政を担う内閣の役割として「予算を作成して国会に提出すること」と定められている。

そのため予算委員会では、予算の内容を議論するのは勿論だが、予算を「作成」して「執行」する内閣全般のあり方に対しての質疑が行われることとなる。その結果、予算委員会では「閣僚の資質」など、内閣や国政に関わるあらゆる問題や課題についての審議が行われているのだ。

さらに、国会の冒頭に開かれることの多い「基本的質疑」などは総理大臣と全閣僚が原則出席しテレビ中継も行われるため、野党はここぞとばかりに時の政権の政治姿勢を徹底的に追及することとなる。

今回の国会でも立憲民主党をはじめ野党側は、予算とは直接的には関係なさそうな、関西電力幹部らの金品受領問題や閣僚の資質などをめぐり政府を追及する構えだ。

「国会の花形」を取り仕切る秘訣とは?

この「国会の花形」である予算委員会を取り仕切るのが予算委員長だ。国会の各委員会の委員長の役割としては、委員会のスムーズな議事進行が重要だが、委員会を開催するには委員の半数以上の出席が必要なこともあり、与野党問わず所属する委員から一定の信頼と理解を得ることが必要となる。

そうした中でも予算委員会は国政全般を扱うため、予算委員長は特別な存在であり、閣僚経験者が「閣僚級委員長として別格」と指摘する通り、非常に重要なポストと言える。

今の国会で連続3期目となる予算委員長を務めている、金子原二郎参院予算委員長に話を聞いた。自民党所属の金子氏は、参院予算委員長としての在職日数の最長記録を現在更新中でもある。(10月10日現在で743日)

金子原二郎参院予算委員長
金子原二郎参院予算委員長

「予算委員会は野党にとっての見せ場だからね

自らが自民党という与党の立場ながら、金子氏は予算委員会をこう表現して見せた。
そして、野党の質問に対して答弁を行う首相や閣僚について「的確な答弁ではない時がありますね。要は前置きが長い。首相や閣僚に、聞かれたことに対してだけ答弁するよう促すこともあります」と話すなど、委員長としては「野党の立場」に立って、「野党目線」の議事進行がスムーズな委員会運営には不可欠だと強調した。

一方で野党に対しては「内容によっては省略して質問してくることがあるので、そういうことはちゃんと注意する」とも指摘する。

ただ、「委員会全体の流れとしては、与党に寄せることはできませんよね」と、委員長としては野党側に配慮する機会が少なくないと自らの考えを苦笑い交じりに話してくれた。

「スターは大きな舞台になれている」小泉新大臣の答弁は?

そして最後に、これまで多くの閣僚答弁を間近で見てきた金子氏に、予算委員会でも答弁が注目される小泉環境相について聞いてみた。

金子氏は「彼はスターだから大丈夫でしょう。スターは大きな舞台には慣れているものですから」としながらも、「ただ、聞かれたことを端的に答えるということ、相手に分かるようにするということは大変ではありますよね」と、発言内容を巡って注目が集まる「小泉節」にはチクリと釘をさした。

フジテレビ政治部 自民党担当 福井慶仁

福井 慶仁
福井 慶仁

フジテレビ 報道局社会部 元政治部