北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさんがきょう55歳の誕生日を迎えた。

めぐみさんの親友たちに残る大事な思い出

1977年11月15日。
めぐみさんは中学1年生、13歳の時に新潟市で拉致され、来月で42年が経つ。
めぐみさんにとっては普段通りの部活の帰り途中に人生が一変した。
当時一緒に過ごした友人たちは今でもめぐみさんのことを思い、帰国を待ち続けている。

55歳の誕生日を迎えた横田めぐみさん
55歳の誕生日を迎えた横田めぐみさん
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「まさかこんな海の向こうに行ってしまうなんて」

めぐみさんの親友、真保恵美子さん。
めぐみさんの母、早紀江さんも出席する政府主催の拉致集会には、ボランティアとして参加している。

真保恵美子さん:
たぶん一番最初の国民大集会からお手伝いしている。そういうことしかして差し上げられないので。
また今年も取り返すことができなくてまたこの集会をしなければいけないということがとても悲しくて。
繰り返し、繰り返し、繰り返すたびに悲しくなります。

めぐみさんの親友・真保恵美子さん
めぐみさんの親友・真保恵美子さん
めぐみさんと海に向かって「海は広いな」をいつまでも歌っていた
めぐみさんと海に向かって「海は広いな」をいつまでも歌っていた
めぐみさんの親友・真保恵美子さん
めぐみさんの親友・真保恵美子さん

先月下旬、真保さんは、めぐみさんと同じ時を過ごした思い出の地、新潟市にいた。
めぐみさんとは小中学校の同級生。
中学では同じバドミントン部に所属し、2人はお互いを「ヨコ」・「ぼんぼさん」と呼び合う仲で、部活の帰り道には、別れ際に話し足りず、鞄をおいて、話し込んだという。

真保恵美子さん:
しゃべり足りなくてしゃべり足りなくていつも一緒に歩いていましたね。
他愛もないことしか話してなかった気がする。きょうの練習厳しかったねとか。
バドミントン部のうまい先輩方、憧れだったのでかっこよかったよねとか。

休みの日には真保さんがめぐみさんを誘い、日本海を望むサイクリングロードにも遊びに来ていたという。

真保恵美子さん:
めぐみさんがとっても歌が好きだったので、海に向かって海は広いな~とか歌を歌い出してしまって、そうすると2人で歌い出していつまでも歌っているんですよね。

「まさかこんな海の向こうに行ってしまうなんて思わないですからね・・・」と真保さん
「まさかこんな海の向こうに行ってしまうなんて思わないですからね・・・」と真保さん

ノートに残る可愛らしいめぐみさんのメッセージ

真保さんはめぐみさんとの大切な思い出の品を見せてくれた。

「もし同じ組になってもならなくても一緒に遊ぼうね」
小学校卒業の時にめぐみさんが真保さんにあてたメッセージとめぐみさん直筆のイラスト。
イラストは色あせ、長い歳月の経過を物語っていた。

めぐみさんが真保さんにあてたメッセージ
めぐみさんが真保さんにあてたメッセージ
めぐみさんが描いたイラスト 黄ばんだ紙が年月を物語る
めぐみさんが描いたイラスト 黄ばんだ紙が年月を物語る

真保恵美子さん:
これをずっと写真立てにたてて、「早く帰ってきてね」って思っていたので、もう真っ黄色に黄ばんでしまって。
まさかこんな海の向こうに行ってしまうなんて思わないですからね。

また、真保さんが学校を休んだ時にはメッセージカードをくれたという。

真保恵美子さん:
私が体調を崩して学校を休んだ時に、郵便ポストに入れてくださった。
一声かけてくれれば起きてきたのに、寝てると思って心配してくださったのか、「早く元気になってね」ってそれだけ書いて置いていってくれて本当に優しい女の子だった。

めぐみさんへの近況報告をバースデーカードに

めぐみさんの同級生でもう一人の親友、山田くに恵さん。
めぐみさんの誕生日には、自身の近況も記したバースデーカードを送っています。

山田くに恵さんは、めぐみさんの誕生日にはバースデーカードを書くという
山田くに恵さんは、めぐみさんの誕生日にはバースデーカードを書くという

ヨコ、55歳の誕生日おめでとう!!早いものだね。
最後に一緒にお祝いをしたのが13歳の時だから、もう42年経つんだね。
今年はどんな風にお祝いしているのかな?

「今年はどんな風にお祝いしているのかな?」めぐみさんに問いかける
「今年はどんな風にお祝いしているのかな?」めぐみさんに問いかける

カードは、めぐみさんの両親にあてた手紙と一緒に同封しているといいます。

山田くに恵さん:
自分も娘がいますし、母も最近亡くなったのですが、母もいますので、自分自身も母親と引き離されるつらさ、もし娘がいなくなったらという辛さの両方が分かる。
いつか近いうちに再会できたらいいなという思いで書いています。

山田さんには、再会したいという思いと共に、新潟で過ごした同級生にしか感じられない複雑な胸の内が交錯している。

めぐみさんの同級生・山田くに恵さん
めぐみさんの同級生・山田くに恵さん

「自分の代わりにめぐみちゃんが連れて行かれたのかもしれない」

山田くに恵さん:
自分が拉致されていたかもしれない、ひょっとしたらめぐみちゃんじゃなく自分の家が海の方に近かったら、あの日あの時あのぐらいの時間にあそこらへんを歩いていたらとか、ひょっとしたら自分の代わりにめぐみちゃんが連れて行かれたかもしれない、
そういう贖罪の気持ちみたいなのが、皆のどこか片隅にあるんじゃないかなという気はするんですよね。

ーーめぐみさんが帰ってこられたら何をしたい、どういう言葉をかけたい?

山田くに恵さん:
まずはご家族と一緒にゆっくり、のんびり過ごされるということが一番だと思いますし、そのあとに落ち着いたら私たち友人で集まって本当に北朝鮮の話とかはしないで、めぐみちゃんがいない間に日本ではこういうことがあったよとか、近況を話したりとかそういう和やかな場にしたい。

幼かった少女たちは、成人し、母親の気持ちがわかる世代にもなった。
家族とともに同じ時を過ごした友人たちも、めぐみさんと再び会える日を待ち続けている。

社会部
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今、起きている事件、事故から社会問題まで、幅広い分野に渡って、正確かつ分かりやすく、時に深く掘り下げ、読者に伝えることをモットーとしております。
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