小泉大臣「セクシー発言」ナゼ炎上?説明は野暮?記者とのやりとりの全容を検証

カテゴリ:国内

  • 「セクシー」発言と、「野暮な説明いらない」発言はどんな経緯で出た?
  • 「セクシー」発言は、同席者の発言の引用だった
  • 「セクシー」はアメリカでどういう意味?政治の場で使う?

“セクシー発言”実は…やりとりを検証

ニューヨークを訪問中の小泉環境相(9月22日)

「気候変動のような大きな問題は楽しく、クールで、セクシーに取り組むべきだ」

国連の気候行動サミットに出席するためニューヨークを訪問した小泉進次郎環境大臣の発言が物議を醸している。

突如飛び出したように見えるこの発言だが、真意は何なのか?あまり伝えられていない、この発言の前後や、その後の記者会見の詳細から検証してみる。

記者会見の詳細でわかる発言の「引用」

この発言は、小泉大臣が22日、現地で出席する最初のイベントとして環境関連の会議に出席した後、主に海外メディア向けに英語で記者会見した際のものだ。小泉大臣の隣には、国連気候変動枠組み条約のクリスティアナ・フィゲレス前事務局長が座り、2人が記者の質問に答えていた。そこで飛び出した「セクシー発言」の全容の日本語訳を以下に記す。

小泉環境相と国連気候変動枠組み条約のクリスティアナ・フィゲレス前事務局長

記者
「今回大臣として初めての出席ですが、このイベントでどのような議論をし、他の参加者からどういう反応がありましたか?」

小泉環境相
「これが訪問中、最初の会議だが、とても刺激的な会議でした。ある会社の人が最後に口にしたコメントが私は気に入りました。彼はこう言ったんです。『この問題(環境問題)に取り組むことは楽しいことなんです』と。そして彼女(フィゲレス氏)はこう付け加えたんです。『セクシーなことでもあるわ』と(小泉大臣とフィゲレス氏ら笑う)。私は全面的に賛成ですね。政治には多くの課題があり、それは時に退屈です。でも、気候変動のような大きな問題は楽しく、クールで、セクシーに取り組むべきです」

つまり、会見に同席していたフィゲレス前事務局長の発言を引用する形で、小泉大臣が述べたものであることが分かる。ちなみにフィゲレス氏は以前から環境問題を語る際に「セクシー」という言葉を度々使っていたという。

そして同日、小泉大臣のこの発言を大手海外メディアのロイター通信が「日本の新しい環境大臣が気候変動との戦いを『セクシーに』と発言」と報じたことで、大きな話題となった。

ロイター通信HPより

日本のネット上では「恥ずかしい」「政治家なら具体的な案を示してほしい」などと批判が起き、「単なる言葉遊びはやめた方がいい」という意見も出るなど、波紋が拡大した。

さらに気候行動サミットに合わせ、石炭火力発電を推進している日本に抗議する 「脱石炭デモ」を主催していたアレックス・ドゥーカスさんは、この「セクシー発言」について、「僕に言わせると、脱石炭をしないとセクシーにはならないと思う」と指摘し、この発言も、多くのメディアに取り上げられることとなった。

「脱石炭デモ」の主催者のアレックス・ドゥーカスさん

記者会見で激しいやり取り そして「野暮な説明はいらない」

そして、翌日の小泉大臣の記者会見の場で、この「セクシー発言」の真意についての質問が飛んだ。

記者
「海外プレスとの会見で大臣がセクシーであるべきだ、楽しくあるべきだとの発言がかなり海外メディアにもかなりインパクトをもって発信されたが、このあたりについても、発信力が海外にも広まったとお考えなのか、またどういった意味で楽しくクールでセクシーな対策であるべきか、お聞かせください」

小泉大臣
「それをどういう意味かと説明すること自体がセクシーじゃないよね」

(ニューヨーク・9月23日)

記者
「英語の会見だったので。日本語だと・・・」

小泉大臣
「(英語だと)だとわかりますでしょ」

記者
「クールというのはわかるんですが、『セクシー』は、なかなか会見で聞き慣れない言葉ですが」

小泉大臣
「だから、それを説明すること自体がセクシーじゃないよね。わかると思いますよ。しかもあれはね、私と一緒に共同記者会見をやって同席してくれた人はクリスティアナ(フィゲレス)国連気候変動枠組条約の前事務局長です。大変この気候変動の取り組みの中では重要な人物で、あたたかい方でした。まるで私の守護神のような。隣で海外プレスとのやり取りを、時に支え、見守ってくれましたけど、その会合の中で出た言葉の一つがそうだったんです。だから、野暮な説明はいらないですね」

小泉大臣は「セクシー発言」はフィゲレス前事務局長の発言を引用したものであることを強調し、「セクシーな環境対策」についての具体的な言及は避け、それ以上の説明は「野暮だ」とした。

波紋は永田町にも・・・

この「セクシー発言」は、永田町でも話題となった。共産党の小池書記局長は、次のように発言を批判した。

共産党・小池書記局長の会見(9月24日)

「気候変動に求められるのは楽しいことでもクールでもセクシーさでもなく、具体的で実効性ある計画を立てること。(16歳の環境活動家の)グレタさんは『よくそんなことが言えますね』と世界の指導者に言いましたが、この言葉は直接小泉環境大臣に向けられるべきだと。よくそんなことが言えますねと。そんな発言だったと思います。小泉環境大臣の資質、資格に関わる重大な発言だと。そのことを含めて臨時国会で問題になっていくのではないか」

一方、菅官房長官は記者会見で、「反響が大きかったのは私も承知している。小泉大臣の発言については、クリスティアナ・フィゲレス前国連気候変動枠組条約事務局長の発言を引用しながら述べたと思う」とコメントした。

国連の舞台で怒りのスピーチを行った環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(16)

“セクシー” 英語では・・・

そもそも「セクシー発言」が、ここまで物議を醸したのは、アメリカと日本における「セクシー」のニュアンスの違いが根底にあるようだ。

「セクシー」というと、性的な意味合いが強い印象を持つが、アメリカでは、違う意味合いを持つこともあるそうだ。

現地で暮らす20代のアメリカ人スタッフによると、「政治の世界で『セクシー』という言葉は『クール』とほぼ同じ意味合いだ」と解説する。「参加することがカッコいい」というニュアンス。分かりやすく言うならば、「イケてる」に近い意味のようだ。そう考えると、英語の表現としてはそれほど問題ではなく、日本人が誤解して受け止めている部分があるということになる。

一方で、「セクシー」は政治の場で多用される表現ではないし、公の場、特に会見で使われることは少ないということで、その違和感がロイター通信の報道につながり、波紋を広げたという面もありそうだ。

言葉がひとり歩きし、拡大していった「セクシー発言」騒動。国民からの注目度と発信力の高い小泉大臣であり、また就任間もないにも関わらず閣僚としての評価と言動への賛否が交錯するという特殊な環境下だったからこそ、一言が大きな波紋を呼んだといえる。

一方で、これまでにない形で環境問題に注目が集まる形となっただけに、今後、小泉大臣が具体的な政策をどう打ち出していくかに、さらなる注目が集まる。

(フジテレビ政治部 佐藤友紀 ニューヨーク支局 中川眞理子

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