岡田武史氏と髙田延彦氏が対談

サッカー元日本代表監督の岡田武史氏(FC今治オーナー)と、元総合格闘家の髙田延彦氏(髙田道場主宰)が対談。スポーツで子供たちの未来を語る、2人の「チャレンジ」とは。

髙田延彦氏:
すごくいい眺めですね

瀬戸内の多島美の風景「しまなみ海道」を眺めながら語る髙田延彦氏。対談が行われたのは岡田武史氏がオーナーを務めるFC今治の拠点で人口16万人の愛媛県今治市。岡田氏は2014年のオーナー就任以降、東京と今治を行き来する活動を続けている。

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髙田氏が愛媛県を訪れたのは9月7日。自身が主宰する髙田道場が14年前から行っている体育教室「ダイヤモンド・キッズ・カレッジ(DKC)」を松山市で開催したためだ。レスリングを基礎にした体育教室には多くの小学生が参加し、思いきり体を動かし汗を流す。岡田氏はこのイベントに参加し、子供たちの心を引き込む高田道場の指導を体感した。翌日、今度は髙田氏がFC今治のホーム戦を視察。地域の人たちが参加した試合前のイベントブースや地元サポーターの熱い声援に驚いた。

スポーツを通じて「地域」をいかに元気にし、未来を担う「子供たち」をどう育てるか。同じ思いを持つ2人が熱く語った。

内面的な人間性の土台作りのため体育教室を開催

岡田武史氏:
髙田さんの体育教室(DKC)は今回101回目ですが、始めたきっかけは何だったんですか?

髙田延彦氏:
一番大事な小学校の時代に外で体を動かしてほしい。体を動かしたら疲れるし、疲れれば腹が減るし、腹が減ればメシがうまいし、疲れたら余計な事をせずに布団に潜り込むし。その繰り返しがこれから15、18、20歳になった時に、嫌なことや苦しいことがたくさんありますよ、でも前に倒れても立ち上がって歩いていく、前に進んでいく、そういう内面的な人間性の土台を作るにはこういうことをやっていかなければだめなんだなと。

岡田武史氏:
おっしゃる通りで、今我々が作ってきた“豊かだと言う社会”は、便利で快適で安全で、AIができて、もっと便利、快適、安全になって、人間何もしなくても生きていけるようになって、こんなに守られてていつ強くなるんだと。だんだん何もしなくても生きていける“豊かだと言う社会”の中で、みんなどんどん弱くなっている気がする、ぼくもそういう思いがあって活動している。僕も髙田さんの活動見て素晴らしいなと思いましたよ。

岡田氏がFC今治を率いて今年でシーズン5年目。今季J3昇格を目前にJFLで優勝争いをしているが、岡田氏は冷静にその先を見据え、着実に前進している。その夢とは。

J1で優勝するようなチームを

岡田武史氏:
FC今治はJFLなんですけど、何とかJ3(Jリーグ)にあがって、J2、J1にあがって行って、J1で優勝するようなチームをつくりたい。普通J1で優勝するには60億くらいいるんだけど。ここ今治で60億の規模の会社はできないんで、でも“岡田メソッド”を使って下から育成することで外人選手とかに高い金払わない。そうしたら30億くらいでJ1で優勝してアジアでチャンピオンになるようなチームを作りたい。それとともにJ2に行くには1万人のスタジアムを作らないといけない。ただ夢語ってるだけじゃだめだけど、リスク犯して一歩踏み出した時に、絶対無理だといわれてた5000人のスタジアムを作った。今治で5000人満杯にするの無理だといわれた。満杯になりました。今の時代だからこそ夢が必要なんじゃないかと思いますね。

必要なのはストーリー

さらに「夢の実現」には周囲を巻き込むストーリーが必要だと語る。

岡田武史氏:
ストーリーが必要なんですよ。これからAIが発達してきて、人間は自分で何も判断しないでAIにすべて丸投げするようになる。今、ナビってそうでしょ。カーナビで『俺はまっすぐだ』と思っても渋滞情報は入ってナビは『右に曲がれ』と、みんな判断せずに曲がるでしょ。そうなったときに人間て何なんだと、その時に(人間は)人間性を取り戻そうとする。そのレジスタンス基地を今治に作るんだと、俺はそこまでホラを吹いている。バリヒーリングビレッジを作って、今治に来たら人間性を取り戻せる。例えば東京のITや金融で傷ついた人が今治に来たら人間性を取り戻して生き生きする。スポーツがやれて温浴施設があったり、ヒーリングできるところがあったり、そういうところを作るんだと。

夢に挑戦し「常に動いていないと気が済まない」という、岡田氏と髙田氏。
2人が描く「夢へのチャレンジ」を聞いた。

イベントがきっかけで何か変わってくれたら

岡田武史氏:
髙田さんが目指す先は何ですか?

髙田延彦氏:
1回でも多くDKCを積み重ねていきたい。目標は200回。ハードルは高いけど。あそこからレスリング始めていいとこまでいった選手もいるし、あれがきっかけでサッカー始めたとか野球を始めたとかバドミントン始めたとか、スポーツはいいなと、あのイベントがきっかけで何か変わってくれたらいい、親の意識も子供の意識も、これを1回でも多く積み重ねていきたい。あとは総合格闘技のイベントもやってるんで、諦めずに世界に誇れるような総合格闘技のイベントに育て上げたいというのが今の目標。

髙田延彦氏:
岡田さんの今後の目標は?

岡田武史氏:
サッカーにおける目的は自立した選手を育てること。具体的にはJリーグに行くことなんだけど。僕らも次世代のことが一番で、自分も3人の子どもがいてこの子供たちにどういう社会を残すんだろうと思った時に、サッカーの活動や子供の冒険教育とかが重要になってくる。髙田さんの話を聞いてたらその根っこに子供たちに対する危機感を持ってるんだなと感じる。

髙田延彦氏:
うちも子供が2人いますけど、40年後50年後どうなってるのか。

岡田武史氏:
今の日本人は絶滅してしまうような気がして(笑)。だから少しでもタフな人間にしていかなくてはいけない。是非お互いがんばりましょう。

2人の対談の模様はテレビ愛媛(フジテレビ系)にて、9月29日(日)正午~「チャレンジ!岡田武史×髙田延彦」の特別番組で放送される。

(テレビ愛媛)

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