「それって、ホント?」と言いたくなるマナー、多くありませんか?
新入社員のキャトウさんも、そんな“もやもやマナー”に悩まされるひとり。

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大事な会議、遅刻は絶対にNG!
「5分前行動を徹底!」と教えられた人も多いだろうが…そもそも時間ピッタリじゃなくて「5分前」がベスト?10分前、いや1時間前から待機していたい!という心配性な人は、実はマナー違反?

SNSでは、ビジネスシーンに限らず「5分前なんて怖い!15分前行動を心がけてます」「約束の時間に30分以上早く着くのは逆にNGと聞いた」などなど、時間に関する投稿がたくさん。

そこで今回のテーマは…

何となく「5分前訪問」は大丈夫な気がするが、例えば約束の10分以上前に訪問するのは相手が他の仕事をしている中で、ホントは迷惑だったりしないのか?

さっそく、国内外の企業や大学などでのマナーコンサルティングや人材育成などのマナー指導を行っている、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんにお話を聞いた。

今回は、会議のため取引先の会社を訪問する場合について考えてみたい。

西出氏:
まず、約束の場所に早く到着することは良いことです。ただし、相手様の都合も考慮し、そこで時間調整をすることが大事になってきます。

ビルの入館手続きをし、それから訪問先の会社のある階へ移動という場合は、ビルの大きななどにもよりますが、約束の時間の15分前にビルに到着し、10分前に入館手続きをし、移動すると遅刻せずに安心です。

一方、ビル内から直接目的の会社へ行ける場合は、ビルに10分前には到着し、身だしなみなどを整え、先方の会社には3~5分前に訪問をすると、ほかの仕事をしている先方のお時間に割り込むことはないでしょう。

先方の会社のビルなどへの到着時間と訪問時間は異なるということですね。店舗など、時間調整をする場所がない場合は、その近くまで到着しておき、すぐに訪問できる場所で時間調整をすることとなります。



西出氏によると、基本的には「約束の時間の10~15分前に目的地に到着」し、そこからは入館手続きなどを済ませたり、身だしなみを整えたりなどに時間を使い、「約束の時間の3~5分前に訪問する」のがスムーズだそう。

「5分前行動」は正しいけれど、目的地に到着する時間はもう少し余裕を持っていた方がいいようだ。エレベーターの混雑具合や待ち時間で目的のフロアに行くまで時間がかかったり…と、慣れない場所では思わぬ時間がかかってしまうものだし、身だしなみを整える時間も取っておきたい。
そういったロスタイムを想定に入れ、自分が何分前にどのような行動をすれば先方に迷惑をかけないのか、と考えることが大切になってくるだろう。




西出氏:
しかし、相手によっては、あまりにもギリギリすぎると、道に迷っているのでは、などの心配もあるでしょう。ですから、5分前行動でももちろん、良いと思います。訪問者が早く到着しても、担当者は約束の時間に行けばよいわけです。「お待たせして悪い」ということにはなりません。訪問者も待っている時間に商談資料の準備をしたりできます。

訪問される側が、早めに到着した訪問者に申し訳ないと思い気になさる場合は、到着後、どのようにすればいいのかを事前に伝えて差し上げれば問題ないでしょう。
私の場合は、時間ぴったりにお越しいただきたいタイプですので、約束の日時・場所が決定し、それを伝える際に、例えば「早めにご到着の場合は、受付前ロビーソファにお座りになり、お約束のお時間になりましたら、電話で呼び出してくださいますよう、お願い申し上げます」と、約束の時間に連絡をしてください、とアナウンスしておきます。そうすることで、訪問する側も悩まずにどうすれば良いかが明確になります。

もちろん、早めに到着していただいて対応できる場合は、「早めにご到着なさった場合は、遠慮なくその旨受付にお申し出ください。ご対応させていただきます」などのアナウンスをするのも良いですね。

早すぎ訪問は相手の負担にも…

しかし、もっと早めに到着しておきたい…という心配性な人もいるはず。そしてせっかく早く到着したなら、早めに仕事に取り掛かりたい!という人もいるかもしれない。そんな場合に10分以上前でもマナー違反にならない訪問のボーダーラインはあるのだろうか?

そして、逆に取引先がこちらに早めに到着した場合に、実は他の仕事をしているのでちょっと待って欲しい時もあるだろう。そんな時に、自分のデスクに来てしまった…この場合はどういう対応をすればいいのだろうか?

西出氏:
具体的な時間は、その人のその日の状況に応じて変わることですから、一概に何分とは言えませんが、皆さん、忙しく時間に追われながらお仕事をなさっているでしょう。
先方のことを考え「忙しくて準備ができていないかも」と思えば、約束の時間の3~5分前に訪問するのが、遅刻もしていないですし、先方に負担をかけさせないかと思います。さらに、前述のとおり、早めに到着しても、訪問される側は、約束のお時間に行けば良いのですから、気にしないことです。

そして、訪問側も自分が勝手に早めに到着したわけですから、約束の時間までは相手が来ないことを理解することです。マナーはお互い様ですし、特にビジネスマナーとして「Time is money」の意識は大切です。

訪問者として大切なことは、遅刻をしないように、余裕をもって、その約束の場所に到着をすること。そこで時間調整をし、その環境に応じて、臨機応変に対応すること。

親しい間柄であれば、「早めに到着し、今、1階におります。ご都合よろしければ、早めに伺うことも可能でございます」などのメールなどをしてみてもよい場合もあると存じます。
そうすると、先方も、「早めで助かります。どうぞおあがりください」との返答がくるかもしれません。もちろん、メールは相手が読むかどうかわかりませんから、読まない場合は、それはそれで、約束のお時間に訪問すればいい話です。

西出氏:
普通はあまりないシチュエーションとは思いますが、もし約束の時間より早く、お客様が直接デスクにやってきてしまった…という場合、切り上げても問題のない仕事中であれば、「いらっしゃいませ。どうぞこちらへ」といって、お話のできる場所へご案内するのが良いでしょう。

締め切りが迫っていて「どうしても今終わらせないといけない」という仕事中の場合は「いらっしゃいませ。申し訳ございません。あと10分程度、お待ちいただいてもよろしいでしょうか」と断り、同僚に別室などへご案内いただきます。ご案内いただける同僚が不在の場合は、自身でご案内をし、お待ちいただくのが良いでしょう。



「こんなに早く来るなんて困る!」というボーダーはその日その日の状況次第。
とはいえ、あまり早すぎる訪問は相手の準備の都合もある。

もし「まだお客様を迎える準備が整っていない!」という時に予定外の“電撃訪問”があれば、約束の時間までお客様に待っていただく…という対応が必要になるだろうし、気心の知れた相手にならば「約束の時間よりも早く始めませんか?」という提案もできるかもしれないが、相手の都合を無視した早すぎる訪問はプレッシャーにもなってしまうだろう。
訪問する側は「遅刻をしない事」を大前提に、基本はやはり3~5分前の訪問を心がけてはいかがだろうか。


西出氏:
「こうしなければいけない」「こうしなければ失礼」ということは、相手との関係性や状況、また相手の考え方や好みなどに応じて異なるということです。どうすればいいのか、悩んだり心配するお気持ちもよくわかりますが、考えてもわからないこともあります。
そういうときは、遠慮せずに、事前に先方に確認をとったり、伺ったり、コミュニケーションをとることで解決することはたくさんあります。
立場上、それが難しい場合は、先輩や上司に伺い、会社として、何分前に訪問するのが良いのかなどの指示を仰ぐ社内コミュニケーションも大事なことですね。そうすることで、安心感を得られるのではないでしょうか。


今回の“もやもやマナー”は、基本の「5分前」から調整して。
早く着きすぎても…背後に立つ前に連絡を!キャトウさん!

(漫画:さいとうひさし)

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。