10月に迫った消費税の10%への引き上げ。制度が複雑で心構えができていない方も多いのではないだろうか。今回、消費税の引き上げにあわせて、消費の冷え込みを防ぐために「ポイント還元制度」が始まる。
クレジットカードやペイペイなどのスマホで決済する「キャッシュレス決済」であれば、中小の商店などでは購入金額の5%、外食チェーンなどでは2%が、利用者にポイントやキャッシュバックなどの形で還元される。
しかし、当の店側はキャッシュレス対応の準備は進んでいるのだろうか?名古屋の商店街で取材した。
商店街の「パズル販売店」キャッシュレス決済導入「若い人いろいろ考えている」
名古屋市北区の大曽根商店街にある「時遊館」。珍しい「ジグソーパズルの専門店」だ。色鮮やかな動物や、昭和のスターが描かれた懐かしいものまで、なんと1300種類ものパズルが並ぶ。
この記事の画像(10枚) この店は数か月前、スマホで決済ができるキャッシュレスの加盟店になった。
時遊館 加藤さん:
今はね、クレジットをやっています。最近でいえば、話題のペイペイに加入しました。政府がどこの“ペイ”もポイント還元ということをやるみたいで
お客さんの支払いにも、変化を感じている。
時遊館 加藤さん:
ペイペイは今、(使った人が)3人、4人くらいおみえになったかな。若い方でクレジットを使われる方が多くなりましたね。現金で払うよりは、クレジットのポイント集めということで、いろいろ若い方は考えていらっしゃると思いますよ
増税後、キャッシュレス決済をしたお客さんがポイント還元される対象店となるよう、すでに申請を行っているという。
進まぬ導入…落ち込み防ぐためのポイント還元
増税される10月以降、国は、中小の商店や飲食店の売り上げの落ち込みを防ぐために、コンビニなどより高くポイントが還元される制度を導入する。キャッシュレス決済が条件になるので、国は事業者に導入を促しているが…。
名古屋商工会議所 小澤さん:
実はですね、なかなか正直マスコミ等では盛り上がっていますが、事業者からは、なかなか声があがってきていないのが正直なところで、こんな状況で10月を迎えたら危ないのではないかと危機感がありました
なかなかキャッシュレスの導入が進まないようだ。商店街をめぐると、様々な理由が見えてきた。
導入に気が進まない…手数料5%への不安
大曽根商店街のサンドイッチ専門店「朝日屋」。ショーケースには色とりどりのフルーツサンドが並んでいる。
たっぷりの生クリームとイチゴやイチジクなど、大きな果物をはさんだフルーツサンドは、色鮮やかな切り口がかわいらしいと大ブームだ。
実はフルーツサンドは、ここ朝日屋が発祥ともいわれていて、その味を求めて全国からお客さんが集まる人気店。
店は、年季の入った電卓でお会計。今は「現金のみ」の取り扱いだが10月以降は…。
朝日屋 尾関さん:
うちはレジがないもんですから、従来通りということで。普通の現金商売で。新しいケータイとかでやるやつとかね、そういうのあるけど、どうも…。(手数料が)5%か、そこらとられるとやっぱり大きいと思いますね
「手数料」とは、客がキャッシュレスで決済した料金の数%を、店側が決済業者に支払うお金のこと。
来年6月までは国がこの一部を補助するが、その後は店側の負担となるケースもある。この手数料が利益を圧迫するのではと懸念されている。
朝日屋 尾関さん:
衣料品店みたいに高額商品でしたら、ある程度は(手数料を定価に)入れられると思いますね。どうしても値上げせざるを得ない。会計の時は、お客さんとのコミュニケーションで一番楽しい時間だと思います。当分の間はこれで守っていきます(笑)
将棋界のスター・藤井聡太七段も愛するお好み焼き店…導入しない理由は「面倒くさい」
さらに同じ商店街にある、お好み焼き店「まつ葉」。ふわふわの生地にたっぷりとソースがかかったお好み焼きは、将棋の藤井聡太七段もファンだという。この店の「キャッシュレス化」は…?
お好み焼き まつ葉 店主の鈴木さん:
もう面倒くさいですし…結局面倒くさいんですよね。システムわからないので、一応用意はしてあるんですけど
事業者とは契約したものの、送られてきたキャッシュレス決済の端末などは、段ボールの中に包装されたまま…。
お好み焼き まつ葉 店主の鈴木さん:
本当は断りたかったんだけど、時流にのらないかんかなと思って…半分は思ってるのね
せっかく契約したのに3カ月も放置。もうお手上げだ。
まもなく始まる消費増税。ポイント還元をめぐる対応も、順調とはいえない。
(東海テレビ)