消費税の税率が10月1日に8%から10%に上がる。

外食は10%、テイクアウトなら8%という「軽減税率」は、線引きが複雑…。皆さんがよく利用される行楽地でも、対応に頭を悩ませている。東海地方の行楽地を取材した。

違うスペース?動物園の売店と休憩スペース

イケメンゴリラのシャバーニに、愛くるしいコアラ。名古屋を代表する観光スポット・東山動植物園。

広い園内には飲食を扱う施設が7つあるが、このうち動物園本園にある「ZOOASIS」には、売店と休憩スペースが隣接した憩いの場がある。

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売店で売っている食事は中でも外でも食べることができるが、10月以降はどちらで食べるかによって税率が変わる。

きしめんやピザが味わえるウェストと、ハンバーガーやドーナツショップなどが軒を連ねるイースト、2つの飲食施設からできていて、その間にある屋根付きの休憩スペースは、「ZOOASIS」の客席のようにも見える。

ところが10月からは、同じメニューを注文しても、建物の中で食べる場合は税率が10%に上がるが、休憩スペースなら8%と差がつく。

店内利用者(若い女性2人組):
外で食べたほうが安い…でも変わんないじゃん。ちょっと理不尽感あるけど

不思議ですね。そうなったら外が先に埋まるよね、全体的に

利用者(家族連れ母親):
わかりづらいし、何かモメそうですよね、外で食べるなり中で食べるなりで。席が空いてる空いてないで変わってくるかもしれないし

なぜ「一体の施設」のように見えるのに税率に差が出るのか、担当者に聞いてみると…。

東山総合公園管理課 寺田さん:
売店が管理しているわけではなくて、動物園側の施設としての休憩スペースになりますので、そこは飲食店ではないという扱いになると思います。普通に考えれば8%になってくるのかなというところですね

実は飲食店と隣り合ってはいても、休憩スペースは「園が管理する、誰もが利用できる設備」。このため、お店で買った食べ物を持ち出せばテイクアウト、軽減税率の対象になるという理屈だ。

--混乱しそうですが…

東山総合公園管理課 寺田さん:
1回1回声をかけて、店内で食べられるのかと確認するとか、そういうことをあんまり期間はないんですけど考えて行かざるを得ないかなと

「10%か8%か言いにくい…」カフェなのに8%の可能性も

東山動植物園には他にも税率について悩む施設がある。

北園門のそばにある「カフェ ノースガーデン」。「カフェ」なので当然、外食。税率は10%かと思いきや…。

東山公園協会係長 近藤さん:
ちょっと10%、8%は言いにくいのかなと考えております

まだ税率の判断がついていないとのこと。背景にはこんな理由が…。

東山公園協会係長 近藤さん:
そもそも、この場所が無料休憩所となっていますので、家で作られたお弁当を食べていただいてもいい場所ですし、極端に言うと他の動物園内のお店で買われたものをこちらでお食事をしていただく分にも禁止はしておりません

客席は店専用ではなく、公共の休憩スペースという理由から「外食」にはあたらず、税率が8%になる可能性もあるという。

カフェを運営する協会は関係各所と協議して、なるべく早く結論を出したいとしている。

同じ名古屋市営の「水族館」は…「10%です」

一方、名古屋港水族館では…。

館内には、フードコートから食事を運び出せる休憩スペースがある。東山動植物園の例に倣うと「テイクアウトで8%」になりそうな気がするが、名古屋港水族館の見解は…。

名古屋港水族館 課長 柿添さん:
水族館内で召し上がっていただきますから、テイクアウトという形ではなくて、お店と同じような10%の税率をお預かりしようと思っています。食べて頂くところは限定しますので、そこから持ち出してはいけないというのが原則になっています

水族館自体を1つの店舗と見立て「テイクアウトは存在せず、全てイートイン」という考え方をとるという。ちなみに、イルカショーを見ながらつまめる軽食などの売店も10%の対象だ。

動植物園の休憩スペースは8%なのに、水族館は10%…。複雑であることは否めない。

店外でも「8%と10%」のスペース…わかりにくさに悩むSAも

そして三重県四日市市にある高速道路の「御在所サービスエリア」。

取材に訪れたのが朝ということもあってか、フードコートにはテイクアウトの軽めの食事をとる人の姿がちらほら。

こうしたケースは10月以降どうなるか、サービスエリアの支配人に聞いてみた。

EXPASA御在所オフィス支配人 武見さん:
8%、テイクアウトが前提のお店であれば『フードコートで座って食べるんです』ということをお申し出頂ければ10%になりますというような表示をさせていただいて、申告頂くという形を取ろうと思っています

主にテイクアウトする商品も店内で食べれば10%になるが、あくまで「お客さんの自己申告」とのスタンス。

さらに、サービスエリアには建物のすぐ外にテーブルと椅子のセットが置かれているが、こちらについては…?

EXPASA御在所オフィス支配人 武見さん:
私ども中日本エクシスの建物内の椅子やテーブルを設置させていただいたりだとか、一部は建物の外にも椅子テーブルを出させていただいていますので、そういったところはそこで食べると(店内と同様)10%としたいと思っております」

ただ、中には公園の施設として、不特定多数の人向けのベンチもあり、そこを利用する場合は8%にするとのこと。

利用者の女性:
頭に“?”が浮きますね

利用者の男性:
線引きがよくわからないよな。とにかくわかりづらい。それは紛れもない事実だね

EXPASA御在所オフィス支配人 武見さん:
建物の外にある椅子とテーブルで、実際にどのテーブルが8%か10%かというのは、パッと見た目ではわからないものでございますので、工夫しないといけないのかなと思ってはおります

8%のテーブルと10%のテーブル…ここも複雑な線引き。

消費税率の引き上げまで、あとわずか。軽減税率を混乱なく適用するための模索が続いている。

(東海テレビ)

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