「すい臓ガンで教師しています」

いま、沖縄県内の高校教師のブログが注目されている。

そのタイトルは「すい臓ガンで教師しています」。闘病生活の様子や生徒への想いなどが綴られている。

「2018年7月にすい臓がんが見つかった。がんについてのあれこれ、日々の思いなど多くの皆さんと共有できたらとブログにしている。」

「すい臓ガンで教師しています」。このブログを書いているのは上野浩司さん60歳。
沖縄尚学高校で地学を教えている。

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上野浩司さん:
夏休み変わったことありました?上野先生、夏休み…香港で救急車に乗りました。体調崩していて5人ぐらいの香港人に支えられていて、すっごい香港人優しいよ

自身の体調について明るく話す上野さんだが、実は2018年7月にステージ4のすい臓がんと診断された。

すい臓がんは他のがんに比べ進行や転移が早く、自覚症状が現れた時にはすでに手術を受けられない場合が多く、上野さんも肝臓へ転移していた。

上野浩司さん:
(医者が)今のままでは手術できないから抗がん剤をしばらくやりましょうと。抗がん剤やったわけですけど、そしたら先生がおっしゃるには「よかったね、よく効いたね。もしも抗がん剤が効かなかったら、もうどうしようもなかったんだよ」と

抗がん剤と14時間以上の手術によって患部を切除できた上野先生。
当時の心境を1月23日のブログに「私はドクターから手術が成功したあとの5年生存率は30~40%と言われました。そういう状況を踏まえて、乗り越えようとしています、やりたいことをやり遂げるまでは死なないと思っています」と綴っている。

辛い抗がん剤治療に耐え職場復帰

「もう一度、教壇に立つ」。その強い思いで辛い抗がん剤治療に耐えてきた上野さん。

そして、今年5月職場復帰を果たした。

ーー闘病生活ではどのようなモチベーションで闘っていた?

上野浩司さん:
早く学校行きたい。それだけでしたね

生徒も「強い信念を持って授業していらっしゃるので、自分もこういう大人になれたらなと憧れたりはします」と話す。

上野浩司さん:
給食もらいました。なかなか味覚障害で食べられないものが多いんですよ。だから栄養のあるものをちょっとづつ食べてくださいということで

薬の副作用で体調に波がある上野さんは、生徒や同僚のサポートを受けて学校生活を送っている。

上野浩司さん:
調子悪いときに顔見て、「先生きょう授業いかなくていいよ俺が行くよ」と言ってくれる先生がいて、多分やっている方はちょっとした優しさなんだろうけど、そういうので「生きているな」という気がして。美味しくいただきました、すごい完食だよ

同僚の教師:
味は?

上野浩司さん:
ちゃんとわかった。美味しかった。幸せハッピー

2月18日には「5年生存率の壁は絶対にやぶりますよ、みんなの優しさに応えるためには5年では足りませんから」とブログに綴った。

ブログには前向きな言葉が並ぶ一方、「ときどき意味の分からない不安に襲われて突然涙がでることもありました」と再発に対する恐怖も綴られていた。

上野浩司さん:
最初の頃は落ち込みましたね。今死ぬことは考えていないです。再発なんかさせない。その前に、俺はやることがあるからやらなきゃという気持ちで毎日楽しくいきるようにしています

目標は国と国の境を超えた友情を子供たちに伝えたい

ーー上野先生の目標は何ですか?

上野浩司さん:
これは2年後のアイアーン世界大会、これにつきますね

アイアーンとは世界各国の若者が交流する国際教育ネットワークのことで、上野先生は国際交流部の顧問を務めている。

2年後に沖縄で開催される世界大会に向け精力的にワークショップを開き、アイアーンの周知活動をしている。

上野浩司さん:
国と国の境を超えた友情。それを子供たちに伝えたい。彼らにとって一生大事なものになるんじゃないかなと思って

「生徒の為に世界大会を成功させる」。その強い思いで上野さんは自身を奮い立たせる。

上野浩司さん:
病気に負けるというのは、気持ちも大きいんじゃないかなと思うんですよ。だから「気持ちで病気に負けたらだめだよ」と伝えたいなと思いますね

(沖縄テレビ)

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