「小泉にいけよ!」官邸が大混乱に陥ったいまどきの組閣舞台裏

カテゴリ:国内

  • いよいよ「呼び込み」開始 そのとき満面の笑顔で最初にあらわれたのは…
  • 小泉進次郎氏到着でエントランスが動揺に包まれた
  • 最後はSPも半ばあきらめるお祭り状態に

さっそうと“一番乗り”したのは…

今回の第4次安倍再改造内閣では、19人の新閣僚らが入閣。
新閣僚らが官邸に召集される、いわゆる「呼び込み」の取材のために、官邸のエントランスには、新聞社や通信社、テレビ局などマスコミが100人以上集結

そのエントランスには閣僚らの導線に沿ってきちんとラインが敷かれ、さらにエリアごとにムービー(テレビ)と、スチール(新聞社)に分かれ、混乱が起きないよう整理された。

官邸エントランス 通常は青線まで 今回は取材者が多く緑の線まで下がることに

さらに、生スルー(映像がそのまま生で本社に送られる)用のお立ち台も設置され、カメラマンたちも顔と名前を間違えないよう、カメラ本体に新閣僚一覧を張り付けるなど、準備万端のなか、果たしてだれが“一番乗り”するのか記者らが話していたところ…

カメラ本体に新閣僚一覧

満面の笑顔で余裕たっぷりにあらわれたのは麻生副総理。今回も留任。正直、目新しさはまったくない。記者の間からも特に声があがることなく、新聞社のカメラのシャッター音がエントランスに響き渡る。

姿勢よくさっそうと、カメラマンたちの前を大股で歩いて行った。

「これは一番乗りってことなのかなぁ」と記者の間でも疑問の声も。「新閣僚」というわけではないし…ということで、次に来るのはだれなのか待っていたところ、麻生副総理から遅れること約5分。官邸入口に白のエルグランドが横付けされた。記者たちがにわかにさわぎ始める。

「あの車、進次郎じゃないか?」

到着したのは、今回のサプライズ人事の目玉となった小泉進次郎氏。自信たっぷりのいつもの表情で官邸入り。

記者たちからは一斉にどよめきの声があがった。

「進次郎がきたぞ」
「小泉に声掛けいけよ!」
「進次郎はいくべきだろう!」

自分がいけばいいのに、みな勝手である。

確かに、エントランスに集結した何十台ものカメラの前に躍り出て、小泉氏に声掛けするのは多少の勇気がいる(カメラは線より前に出てはいけないが、記者は出てもいい決まりになっている)。それに、このあとまた帰りにエントランスを通過する際、「囲み取材」が発生する予定となっていたため、「あえてここで行く必要があるのか」、というためらいも理解できる

結局、みな誰か声掛けにいかないか様子をみながらも、結局ひとりも小泉氏のもとに駆け寄ることはことなく、彼は安倍首相が待つ上の階へとあがっていった。

このあと続々と閣僚らが入ってきたのだが、後にも先にもエントランスが動揺に包まれたのは小泉氏の到着のときだけであった

“そのとき”が間もなく…緊張感に包まれるエントランス

さて、新閣僚らは安倍首相のもと、一堂に会した後、一斉にエントランスに降りてくる。
ここで「囲み取材」が発生するのだが、撮れる内容は全社一緒だし、あえて競い合う必要もないので、無用な混乱を避けるべく、事前にどの閣僚にどのテレビ局がいくのか、きめてある。いわゆる「代表制」だ。

記者が下りてくる閣僚に声かけをしてカメラの前まで誘導するのだが、もし見失ってしまい、「囲みに失敗」したとなると、全社に迷惑がかかる。となりの記者からも「小泉落としたらやばいよな…」との声が。ちなみに、小泉氏に代表として声掛けすることが決まっていたのはフジテレビ…

「カメラ通ります!」

との声があちこちに上がり、「代表カメラマン」と声掛けのための記者が、前方に集結。

緊張感に包まれるエントランス。

果たして無事に声掛けできるのか…いよいよ訪れたその瞬間、官邸は大混乱に陥ったのだった。

三脚にのった「生スルー用カメラ」以外がすべて「代表」のためスタンバイするカメラ

「さすがにこうなるともう無理だ…」SPもため息の“お祭り状態”に

みな「線からは出ない」約束は守ろうとしたんですけどね…

なんせ20人近い閣僚が一斉に降りてきて、ひとりひとりカメラの前に誘導し、ということをしていると、自然にみな、前に、前にとなってしまうんですよね…

「代表制」の責任から、記者もどんどん前に出ていく。すると隣の記者も出ざるを得ない…ということで、閣僚らが下りてきてものの数分で、エントランスは「お祭り状態」(※各社入り乱れてぐちゃぐちゃになること)に

もはや出入り口すら見えなくなり、各所に配置されていたSPからは「さすがにこうなるともう無理だ…導線だけでも確保を」との声が。横付けされる車にのるための線だけは最低限確保するために方針を切り替えた模様。

「お祭り状態」に陥ったエントランス

ただ、問題は、まだ小泉氏が下りてきていないことだった

焦る担当のフジテレビ…まさか見落としか!?と弊社女性記者に変な汗が流れはじめたその時…

結局「小泉劇場」で終わった呼び込み

いたるところで新閣僚らへの「囲み」が出現するなか、ついに小泉氏が登場。

ある程度、新閣僚らが出て落ち着き始めたところで降りてくるのは、もはや注目を集めるための計算なのではないかとすら勘ぐってしまう。

「囲み取材」に応じる小泉氏

当然、記者らは小泉氏に集中。
通常、10人ほどが新閣僚らの元に集まるのだが、小泉氏の元にはあれよあれよというまに30人ほどの記者が。
さらに、代表カメラ以外のカメラも集結。
エントランスの中央を「小泉氏の囲み」が陣取る事態に。

撮る方も大変です

質問が質問をよび、ほかの閣僚らの倍以上、20分に及ぶ囲み取材になったのだった。

組閣のパターンにはさまざまあり、過去には“サプライズ感演出”などのため当日の呼び込みまで誰が何大臣になったのかすらわからないこともあったのだが、最近の安倍政権は、事前に念入りに各派閥間などの調整をし、決まり次第その情報が数日前から流れてくるようになった。

第一次政権の反省から、“サプライズ”よりも“安定”を重視しているからだろう。

今回は全19閣僚のうち13人が初入閣となったが、顔ぶれはこれまでの安倍首相の側近が目立ち、全体的なサプライズ感はさほどない。

そうした中、当初入閣の可能性が低いとみられていた小泉氏が、戦後3番目の若さで初入閣した“衝撃”は大きく、この日の取材も小泉氏に集中した結果を見れば、そうした「安定型」政権の中でも、少しでも「内閣刷新」のイメージを国民に与えたい安倍政権の思惑は、とりあえずのところ狙い通りになったのだろう。

しかし、注目すべきはこれからの新閣僚らの手腕であることを忘れてはならない。

(執筆:フジテレビ プライムオンラインデスク 森下知哉)