軽減税率に戸惑いの声

消費増税の対応で、大手チェーンが税込価格を統一して割安感をアピールする一方、個人商店が苦慮している。

総菜店:
10%と言われても、年だからどうしていいか分からない…

喫茶店:
レジの打ち方もまだ分かっていないので不安がある。

消費増税の導入まで、あと3週間。商店街では、軽減税率に戸惑いの声が上がっている。

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そんな商店街の人を助けるため、横浜商工会議所が期間限定で行っているのが、移動式の出張相談。
車内には税理士が待機し、軽減税率の対応に頭を抱える商店街の人の相談に、無料で応じている。

移動式の出張相談
移動式の出張相談

早速、相談所を訪れたのは、総菜店「さがみや」を営む、山田恭子さん。
この店では、店内での飲食に加え、持ち帰りの商品を販売していて、軽減税率導入後の客の対応について苦慮していた。

総菜店「さがみや」
総菜店「さがみや」

値札に税率○%を記載、レシート表記は「手書き」でもOK

税理士:
客が「税込みと書いてあるが、8%、10%どうなんですか?」っていう時に、(値札に)※印を書いておくといいかもしれない。

さがみや・山田さん:
あっ、細かくね。この商品は8%と書いておくと、よりわかりやすいってことね。

山田さんは、税理士のアドバイスを受け、商品の値札に税率が何%なのかを記載することにした。

さがみや・山田さん
さがみや・山田さん

一方、商店街でうなぎ店「うなぎ 八舟」を営む久米克治さんは…

うなぎ 八舟・久米さん:
テイクアウトとイートインの消費税の表記は領収書の場合、両方を併記しなければいけないので、レジがあればそれで対応できるんですけど。

うなぎ 八舟
うなぎ 八舟

この店では、軽減税率に対応したレジの設置が遅れているため、8%と10%の税率をどのようにレシートに表記するか相談していた。

うなぎ 八舟・久米さん:
レシート表記は、一応手書きでもいいってことでした。相談所が遠いと、店休んだりとか、誰かに頼まなきゃいけないので、出張相談所はありがたいですね、近くでやってるから。

相談に応じる「ふかざわ税理士事務所」深沢智仁税理士:
大手のフランチャイズとかは上からちゃんと教育が成り立っているが、事業者は個々でやらなきゃいけないので、個人差がすごくある。ただ、客のためにここできちんと事業者側が対応できなければ、客の信頼を失うことになるので、そこはきっちりと対応していく必要がある。

「ふかざわ税理士事務所」深沢智仁税理士
「ふかざわ税理士事務所」深沢智仁税理士

ポイント還元や軽減税率… 対応事項が多く準備が間に合わない

三田友梨佳キャスター :
個人商店はなかなか対応が進んでいないようですね。

キャスター取締役COOの石倉秀明氏:
そうですね。増税だけならともかく、キャッシュレス決済時のポイント還元や、軽減税率に対応しなくてはいけなかったり、対応事項が非常に多いので準備が間に合わない個人商店が多いと思います。

石倉秀明氏
石倉秀明氏

三田友梨佳キャスター :
増税について、石倉さんの会社ではどう対応していますか?

石倉秀明氏:
我々のようなB to Bと呼ばれる企業対企業の取り引きを中心としている会社でも細かい対応は出てきています。過去に出した見積書でも10月以降は税率が変わるので金額が変わりますから一軒一軒出し直す作業が出てきていますし、企業だと担当者の役職によって決済できる金額が決まっていて、8%だと決済できたものが、10%だと担当者の決済金額を超えてしまうので毎回稟議を出し直さないといけないという話は各社から出ています。

三田友梨佳キャスター :
10月までにクリアすべき課題は多そうですね。

石倉秀明氏:
「値決めは経営」という言葉がありますが、個人商店の方たちにとっては価格をどうするかは売り上げにも利益にも直結するので非常に関心事が高く難しいところ。消費増税で消費動向が見えない中、そのまま据え置きにするのか値上げをしていくのか悩んでいる経営者が多いと思います。

(「Live News α」9月10日放送分)