大規模停電の千葉に猛暑が襲来

台風15号の影響で、60万軒以上が停電した千葉県。
9月10日も30度を超える厳しい暑さの中、不自由な生活が続いている。

午後3時過ぎの袖ケ浦市。ガソリンスタンドに長い列を作っていたのは、燃料を求める車だ。

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停電が続く君津市では、携帯の充電設備や支援物資が整っている市役所に長蛇の列。
支援物資として配られた、ブルーシートを入手した男性は...

ブルーシートを入手した男性:
瓦がはがれちゃって...その補修用に。店がどこもやってないしね。食べる物がなくなってきた

君津市役所では、午前中は携帯電話の充電も可能だったが、600人分の整理券に対して約700人が詰めかけ、電力不足が危ぶまれる事態ともなった。

また、市原市のコインランドリーでは、洗濯物を抱えた多くのお客さんであふれかえる様子も。子ども連れの女性が「停電していて洗濯できないので来ました。2時間くらい待っている状態ですかね」と話すと、別の女性は「(午前)6時半くらいに1回来たが、もうすでに並んでいて諦めて、また出直して2回目来たばかり。待つしかない」と疲れた様子を見せた。

エアコンが使えない...住民を襲う猛暑

千葉県を中心とした大規模停電は10日も続き、市民生活を直撃している。
こうした苦しみに拍車をかけているのが、停電で家のエアコンが使えない中の危険な暑さ。
住民の中には、このような対処法を取る人も見られた。

リポーター:
これから出かけるのですか?

車内で涼む女性:
(家だと)暑くていられなくて。車の中で充電しながら体を冷やしています。

君津市では、10日午後2時までの最高気温が33.9度を観測。
平年8月の最高気温が30度に届かないこの地では、異常ともいえる暑さだ。

10日は、東京都心でも最高気温35.6度を観測。
9月に2日連続で猛暑日となったのは27年ぶりという。

自衛隊は、別の病院から木更津市の君津中央病院に搬送され、熱中症を訴えていた患者8人を大型ヘリコプターを使って柏市や松戸市の病院に搬送した。
また、印西市の病院では、9日にたん吸引などの処置を受けた62歳の男性入院患者が死亡。当時、停電により吸引器具は停止していたが、千葉県は「停電と死亡の因果関係は分からない」としている。

停電による交通事故も発生

停電は交通網にも影響を与えた。君津市では正午過ぎ、停電中の交差点で軽乗用車2台の接触事故が発生。75歳と65歳の男性が怪我をして、病院に搬送された。

事故現場となった交差点では、事故発生から1時間余り経った午後1時20分、臨時の発電機をつなぐことによって、交差点内の信号が仮復旧した。

東京電力によると、10日午後4時30分現在、停電は約58万軒で続いている。
住民の中には、病気の子どものためにインスリンが必要で、薬を凍らせるための氷を近隣の店でもらい、急場をしのいでいる様子も見られた。

東京電力によると、停電の解消は徐々に進んでいるものの、全面復旧は明日以降になるという。

もしも東京五輪で起きたら?

木村拓也アナウンサー:
停電以外にも、鉄道の計画運休などさまざまな課題が浮き彫りになってきたという印象がありました。
ちょうど来年の同じ時期には、東京オリンピック・パラリンピックがあります。これもまた大きな課題だと感じますね。

為末大さん:
全く何も問題が起きないというのを目指すよりは、事態が最悪にならないことを想定しつつ、いくつかの段階に分けて考えるのが大事だと思うんですね。
私が行ったアテネ・オリンピックのときにもすごい暑くなったんですけど、体を冷やすようなものが配られて。選手はそれで対応したりしたので、いくつか問題が起きても大丈夫にしておこうと学習するのが、できることなのかなと思いますね

木村拓也アナウンサー:
確かに、来年の同じ時期に台風が来ることを防ぐことはまず無理だと思います。その中で、どうやって対策するか、被害を最小限に食い止めていくのか。こういったところが重要なのかもしれません。

(「Live News it!」9月10日放送分より)