「人類が滅亡した?」客ゼロであの桂浜水族館の投稿が再び話題…“自虐商法”なのか聞いてみた

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  • “土下座ツイート”で有名になった桂浜水族館の新しい投稿が話題
  • 開館したのに誰も来ない状況を「人類が滅亡した以外に考えたくない」
  • 来館者は増えている?実際のところ“自虐商法”なのか聞いてみた

「歩合制なんです」で有名になった水族館が再び話題

皆さんの中に、高知県の桂浜水族館の自虐ツイートを覚えている人はいるだろうか。

昨年5月、水族館の公式Twitterアカウントは、地べたに張り付いて土下座し、こちらに向かって手を合わせるスタッフら3人の画像とともに、「お客さんがいなさすぎてこのままでは給料がでません!!うち、歩合制なんです!!!」という悲痛な悲鳴をツイートし、当時大きな反響を呼んだのだ。
(関連記事:「お客が来ないと給料出ない」水族館スタッフの“土下座”ツイートが話題



編集部の取材に水族館側は、「歩合制」については「ウソ」と告白したものの、お客が来ない状況自体については「本当ですね。(笑) 」とあっさり認めていた。

そんな桂浜水族館だが、9月2日、目が釘付けになってしまうツイートをまたもや発信している。

そのツイートがこちら!



あのすいませんおはようございますお前ら人類、聞こえますか?また滅亡した系ですか??

桂浜水族館開館していますよ??45分経つのにノーゲストって人類が滅亡した以外に考えたくないんですけど??????経営が氷河期ですか???????????????????


という、破れかぶれの叫びにもみえるコメントとともに目に入るのは、 メスのトドをモデルにした、水族館の公式マスコット「おとどちゃん」が、遠くまで広がっている青空と海をバックに、水族館前の桂浜でひとり立ち尽くす姿を捉えた写真。心なしか切なげな雰囲気も醸し出している。

開館時間から45分が経過しているのにもかかわらず、ひとりも訪れていない理由を“人類が滅亡”と表現。来館者がいないことを認めたくない心情がありありと汲みとれる。

このツイートは、たちまち3万4000のリツイートと、7万5000の「いいね!」を集め(9月10日時点)、さらには「Twitterバズらなくていいから現地がバズってくれ」と、Twitterユーザーが思わず頷いてしまうような一言も放っていた。





昨年の投稿があれだけ大きな注目を集めたことから、来場者も一気に増え、勝手に経営も安泰かと思っていたが、苦しい状況が今も続いているのだろうか? それとも、このツイートもちょっとした冗談に過ぎないのだろうか?

桂浜水族館の広報担当者が、おとどちゃんに代わって我々の質問に答えてくれた。

なかなか爆発的な来館にはつながらない

ーーまず、前回話題となったツイートの後、お客さんはたくさん来てくれた?

あのツイートに感化されて「来てみたよ!」と来館された方はいらっしゃいますが、爆発的に増えたということはありません。やはりファンの傾向として県外の方が多く、行きたいけど「遠すぎる」ことがあってか、すぐに来館につながることはないみたいです。

ーー「人類が滅亡してないこと」がわかってどう思った?

逆におかしいなと感じました。滅亡してないなら皆どこへ行った? みな一斉にどこへ行ってしまったのだ…と。

ーーツイートの中にあった「経営が氷河期」って本当?

少々誇張した表現ではありますが、「氷河期寄りの氷河期」です。強欲なので「氷河期」と言い張ります。当館は、主な繁忙期が一年のうち2回(GWとお盆)なので、この期間に稼がないと越冬できません。今日まではなんとかやってまいりましたが、今年の冬は怪しいです。助けてください、「ヘルプ,ウィー」。

ーー 昨年、記事にさせていただいて以来、園の状況で変わったことはあった?

SNS上で熱いファンが増えました。イベントとしてはいつも何か新しいことに挑戦し、いろいろと変わってはいます。

ーー昨年夏の「土下座ツイート」から、来場者数はどのくらい変化した? 「入場者数はサゲリシャス」というのは本当?

昨年の夏から比べると、毎月前年度比100%越えをするようにはなりましたが、まだこの声が枯れるくらいに大声で誇れるほどではありません。

ありがたいことにお盆期間はわいわいと賑わいましたので、それに比べるとやはり夏休み明けは「ハンパねぇサゲリシャス」です。

ーーSNS上を見るととても愛され、知名度も高いようだが…。

先ほども述べたように、ファンに遠い県外の方が多く、なかなかすぐに来館できないという声が見受けられます。

また、「高知県」というだけでも、なかなか来る用事や機会がないのが現状だと思うのですが、当館は市内とはいえ中心地から離れた場所にあり、アクセスが悪い(悪セス)のも原因のひとつではないかと思います。

実際のところ“自虐商法なのか”聞いてみた

ーー 度々こういったツイートで話題になっているが、いわゆる“自虐商法”では…ない?

なんですかあなたは! 失敬な! なにがいわゆる自虐商法だ! そうに決まってるでしょ!!

ーーでは、これからSNS上で打とうと思っている対策を教えて!

練りに練って下心で打ち込んだネタは世間ではほとんど相手にされないので、もう随分前に考えることをやめました。

感覚とノリとテンションと勢いとひらめきと類まれなるセンスだけでやっていこうと思います。

ーー SNSで不特定多数に呼びかけるとき、どのようなことを一番気にしていますか?

なにも気にしていません。
気にしていたら「お前ら人類」なんて言葉は使いません。

愛される水族館…台風被害を心配する声が続々

このように客の不入りをたびたびネタにする桂浜水族館だが、一方で根強いファンの存在も見逃せない。それが明らかとなったのは、今年、台風10号が日本列島を直撃した際の出来事だ。

8月、超大型となった台風10号が、14日に高知県の四万十市を、翌15日には水族館のある桂浜を襲った。

水族館の公式アカウントは8月14日の時点で、「史上初の"前日"休館宣言」をしていた。しかし、急なタイムテーブルの変更や休館の報告に一件の苦情もなかったばかりか、逆に「掃除を手伝いに行こうか?」「桂浜水族館は大丈夫か?」「おとどちゃんは無事か?」という、気遣いの言葉が多く寄せられたというのだ。



水族館側はこうしたファンたちをどう思っているのだろうか? 率直な声を聞いてみた。

ーー 8月の台風では、「桂浜水族館は大丈夫か?」という声が多かった。ファンの存在をどう感じた?

かけがえのない「愛」だと思いました。「愛」にもいろんなものがあり、ひとくくりに「ファン」といっても皆それぞれに愛情表現の仕方が違います。毎日本当にいろんな愛をいただいております。

「片付けの手伝いに行こうか?」とメッセージをくださった方や、励ましの手土産を持って様子を見に来館された方、台風が接近している時、襲来中、台風がいき去った後に「大丈夫か!」「大丈夫だったか!?」とSNS上で声をかけてくださった方がたくさんいて、そのすべての言葉に大変励まされました。

皆様の愛なしでは、スタッフの力だけでは、この乱世は生き抜けません。この感謝を表現しきる言葉がありません。“ありがとう”では足りません。心苦しいほどに、支えていただいております。

ーー 支えてくれる人が前より増えていると感じる?

確実に増えていると感じています。ファンであってくださる方の多くの愛に包まれて心を支えられています。

ーー桂浜水族館は、ある高知県の人気ランキングでも週間月間1位になった。なぜだと思う?

ひとつはツイッターと連携して情報発信しだしたこと。

もうひとつは、飼育展示しているいきものだけでなく、「飼育員」「スタッフ」を「見どころ」にして推しだしたからだと思います。

他に私どものように「人」を全面的に推している観光施設はないと思います。だって愛しいんですもの。仕方ないでしょう。好きなものは好き。みんな見て。この愛くるしさを!!ってスタンスでスタッフを紹介しています。



ーー最後に、この記事を見ている読者に伝えたいことを一言でお願いします。

もっと愛してくれ。もっと。もっとだ。


今回の取材で、自身を支えてくれるファンや、一緒に水族館を支えるスタッフに対する熱い想いがひしひしと伝わってきた。

そして、「経営が氷河期」とは言っていたものの、ファンの心はしっかりと掴んでいるようだった。また新たな“自虐ツイート”を、あったかい気持ちで待つとしよう。