“ダメな所”を可愛いぬいぐるみに
子供の発想には驚かされることがよくある。編集部ではママを救う献立スロットマシーンやレゴブロックで作られたカラクリ箱など以前にも小学生が作ったモノを取り上げた。
今回は小学5年生の女の子が作った、可愛いだけではない、なかなか深い作品が話題になっている。
それがこちら。
これは小学5年生の女の子が自由研究で作ったぬいぐるみだ。
黄色い体でつぶらな瞳がとても可愛らしく、何かの人気キャラクターをモチーフにしたものだろうか。
と思いきや、実はこのぬいぐるみにはあるメッセージが込められたオリジナル作品だった。
五年生三女の自由工作 [ダメなわたしのぬいぐるみ]自分のダメをキャラ化してぬいぐるみにして付き合っていくっていうもの。今のところ三体。みんな可愛い。これからもふえるかな。これは[ひとりゴット]という神様ですって。
投稿者のleona tamura(@leo_kitten)さんの小学5年の娘さんが作ったもので、自分の欠点をキャラクター化して、ぬいぐるみにしたものなのだ。
写真のぬいぐるみ「ひとりゴット」は「ずっと独り言を言っていて、愚痴が多い」という娘さん自身が思う欠点から来ているそうで、独り言にかけているので、顔全体が唇なのだそう。
確かに唇だと言われると、顔が唇に見えてくる。そして唇の横に持っているのは“吹き出し”のようだ。
小学5年にして、その発想と自分で描いた絵の通りのぬいぐるみにした再現力には驚かされる。
Twitterでは、「可愛くてユーモアがあってアイデア満載ですね」や「ひとりゴットほしい」などのコメントが寄せられ、1万1000超のいいねが付いている(9月9日時点)
もう一体ぬいぐるみを紹介しよう。
こちらは「メンドリアン」。特徴はずっと寝っ転がっていて、口癖は「めんどっ」。甘い物が好きで、たまにやる気が出るのだそう。
見るからに、寝っ転がっていてめんどくさそうな様子がしっかりと表現されていて、こちらもハイセンス。
3体目は「なみだ虫」で特徴は、ある程度は我慢できるけど一度泣くと止まらなくなることだという。
誰しも欠点の1つや2つあると思うが、 それにしても、なぜ自分の欠点をぬいぐるみにしようと思ったのか。母親で投稿者のleona tamuraさんにお話を伺った。
はじめは「自分のダメなところなんて恥ずかしい」
ーーなぜ自分のダメな所をぬいぐるみとして作ることになったのか?
ダメな所をぬいぐるみにしたら?と提案したのは母親のわたしです。
はじめは「自分のダメなところなんて恥ずかしい。知られたくない」という気持ちの方が強く、取り掛かるまで悩んでいましたが「やっぱりやってみる」と自己申告。デザイン画を書き出してからは本人の意志や意向に全て任せています。
私は普段から自分自身にイラつく三女をよく目にしていたので、欠点をぬいぐるみにして一生付き合って向き合って可愛がれる存在にしたら彼女が和らぐのではと思ってのアイデアでした。 本人は作りながらもちゃんと自分の欠点と向き合っていたように思います。
ーーどのようにして作った?
私が要らない布や服ををたくさん袋に入れたものを渡し、そこから布を選びました。「なみだ虫」のボンボンはヘアゴムを分解して作っていました。ぬいぐるみの大きさをイメージしてはじめに粘土でその形を作り、そこに布を貼り付けて型紙を作り、作りたいイメージを再現していました。絵が好きなのでイメージに忠実に再現することを頑張っていました。縫い方もノートに全て書いていました。ネーミングはかなりこだわっていましたよ。
ーーキャラクターデザインは何か参考にしたのか?
全て本人の独断でオリジナルです。
ーー制作期間は?
制作期間は一体につき4~5日から一週間くらいです。再現が難しい部分は少し時間をかけて悩んだりやり直したりしていました。
欠点から目をそらさないで上手く付き合っていく
ーー娘さんはどのような子?
一度決めたら頑固にやり抜くタイプですし、学校でも一匹狼タイプ。自分との会話をぬいぐるみを通して楽しんでくれたらと思います。
ーーぬいぐるみを作ったことで娘さんに変化はあった?
ぬいぐるみを作ってすぐには欠点は克服されないでしょう。ただ、作る過程で既に欠点を突き付けられ、泣いたり文句を言ってけんかしたり、面倒になってほっぽりだしたりしながらも最後まで完成させたことで、欠点は消してしまうのではなく、目をそらさないで上手く付き合っていくことがやっぱりポイントなのかなぁと親の私自身も気づきました。
今回成し遂げたことに反響があったことで自信がついたと思います。次回作も考えているようでした。
ーー次回作は?
次回作予定はどこにでも落書きしたくなる「らくがキング」と、乱暴な「ラン坊」だそうです。
自分の欠点が表現されている3体のぬいぐるみ。ダメな所をぬいぐるみにするという発想は、母親のleona tamuraさんの提案ではあったが、制作過程で泣いたり、めんどくさがったりしながらもちゃんと作り上げたこと、そして、このぬいぐるみたちと今後もつきあっていくことで、欠点との向き合い方を娘さんが学ぶことにもつながっているようだ。