消去されたLINEの「殺害計画」復元したデジタル捜査とは? 【23歳養子男性保険金殺人】

カテゴリ:国内

  • 養子縁組した23歳男性保険金殺人…LINE上に生々しい「殺害計画」
  • 男性は殺害直前 焼き肉店やキャバクラへ連れ回され飲酒させられる
  • 消去されたLINEでの殺害計画…警察はどうやって復元したのか?

焼き肉店やキャバクラに連れ出し酒を飲ませる

2019年1月千葉県富津市の海に落とされ、殺害されたとみられる宍倉拓也さん(23)。

この事件では拓也さんを養子にしていた宍倉靖雄容疑者(48)ら3人が、長期にわたり犯行計画を練っていたことが明らかになっている。

更に、FNNの独自取材で、犯行前に焼き肉店やキャバクラへと連れ回し、拓也さんに酒を飲ませていたことが分かった。

殺害計画が実行に移されたのは1月27日の早朝。

1月26日午後10時ごろから千葉市内の焼き肉店で新年会が開かれ、内装会社社長の宍倉容疑者と従業員の佐中佑輔容疑者)(31)、金子栄司容疑者(50)、拓也さんらが参加した。

拓也さんは当時栃木県内の現場で働いたが、宍倉容疑者は自ら現場監督に連絡し、拓也さんを千葉に帰すよう求めたという。焼き肉店で会合の後、拓也さんと宍倉容疑者らはキャバクラに行き、その後、富津市方面に向かった。

現場に向かう車を運転したのは酒を飲まなかった金子栄司容疑者(50)。千葉市内から富津市の港までは直線距離で約60kmで、館山自動車道を使えば約1時間の道のりだ。

4人は、1月27日午前5時過ぎに犯行場所となる金谷港に到着。宍倉容疑者は1人車に残り、金子容疑者と佐中容疑者、拓也さんが釣りに向かった。そして、隙を見て、拓也さんを背後から海に突き落としたとみられている。

殺害後に拓也さんの携帯に電話し隠ぺい工作

実行役について宍倉容疑者は去年12月、金子容疑者に「拓也を落とすのはお前がやれ」と指示。しかし、実際に拓也さんを突き落としたのが金子容疑者だったのか佐中容疑者だったのかは確認できていない。

犯行後、2人が車に戻ると、宍倉容疑者は釣りをしているところを電話で呼び戻したことにしようと提案。実際の着信履歴を残すため宍倉容疑者ら3人は拓也さんの携帯に電話した。

そして、佐中容疑者が110番通報。その後、現場に駆け付けた警察官に対し宍倉容疑者は「拓也と釣りをしていたが、中断しようとして携帯に電話したがつながらず、姿が見えなくなった」などと説明したという。

保険金目的で23歳の若い命を奪ったとみられる今回の事件。

逮捕された佐中容疑者の父親が「息子に対しては怒りしかない。もしもかろうじて生かされるとしたら、被害者さんへの気持ちを忘れずに、一生悔やみながら生きてほしい」とFNNにコメントを寄せた。

LINEで「拓也を殺す夢を見た」

宍倉容疑者は2018年春ごろから佐中容疑者に「拓也と養子縁組を交わして、保険金をかけて拓也を殺してしまおう」と持ち掛けていて、無料通信アプリLINEでもやり取りをしていたことがわかっている。

佐中容疑者(LINE)
拓也を殺す夢を見た

宍倉靖雄容疑者
(LINE)
あと2ヵ月だからね

しかし、LINEでのこの会話は容疑者らの携帯から消去されていた。警察は一体どうやって、このLINE上の殺害計画を復元できたのだろうか?

LINEの復元はできる?

スタジオでは埼玉県警捜査1課元刑事でデジタル捜査班長だった佐々木成三さんに、デジタル捜査について話を聞いた。

加藤綾子キャスター:
今回、容疑者特定の鍵になったのが殺害計画のやり取りに使ったLINEの記録でした。例えば「拓也を殺す夢を見た」「あと2ヵ月だからね」といったやり取り。これは容疑者が削除したLINEを警察が復元したということですが、LINEの復元というのは簡単にできるものなんですか?

埼玉県警捜査1課元刑事 佐々木成三さん:
実は私は埼玉県警でデジタル捜査班長として捜査をしておりました。今、スマートフォンのユーザーがかなり多いので、各都道府県警にはスマートフォンを解析する機械が導入されています

加藤綾子キャスター:
これはどうやって使うんですか?

埼玉県警捜査1課元刑事 佐々木成三さん:
これはスマートフォンのデータを抜く機械でして、この機械とスマートフォンをつないで、あとハードディスクもつなぎます。そしてスマートフォンのデータをこの機械を使ってハードディスクに全て移していく。ハードディスクに抜いたデータを、今度はパソコンの専用ソフトを使って文字化して解析するための機械です。

加藤綾子キャスター:
携帯端末上では消されたように見えても、データは残っていて、それを可視化できると?

埼玉県警捜査1課元刑事 佐々木成三さん:
残っているデータは全て可視化できます

加藤綾子キャスター:
今回の容疑者は2018年の春ごろから殺害計画を立てて、用意周到に準備をしてきたとみられています。それでも発覚した保険金殺人。どうやって発覚したんでしょうか?

埼玉県警捜査1課元刑事 佐々木成三さん:
実は私も保険金殺人の捜査の経験がありまして、必ずこういった保険金殺人にほつれがあるんですね。今回、いろいろ策を考えて実行しています。でもそこに必ずほつれがあるんです。今回、事故を装ってるわけですから、事故の可能性を全て打ち消す捜査、地道な環境捜査(=現場周辺を調べる捜査)を行って事故の可能性を打ち消していくんです。そのためさまざまな捜査をしていると思います。関係者から聴取したり、スマートフォンの捜査もそうなんですが、状況捜査や環境捜査を1つ1つ積み上げて、そこから犯行を立証していく。かなり地道な捜査を千葉県警はしていたと思います

加藤綾子キャスター:
環境捜査をしていくと矛盾点が見つかってくるということですね?

埼玉県警捜査1課元刑事 佐々木成三さん:
1つの策が暴かれると、別の策も暴かれてしまうので芋づる式に(ほつれが)出てくるんです

(Live News it! 8月30日放送より)

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