深刻化する飲食業界の人手不足
東京ビッグサイトで、今週行われた外食ビジネスウィーク。
飲食業界の人手不足は深刻なようで、多くのブースで“人手不足対応”を謳った看板が目立った。
特にラーメン業界の人手不足は深刻のようだ。
会場にはラーメンスープを売る店が非常に多かったが、中でも来年4月からの働き方改革を強く意識していたのが「天辺ダッシュカンパニー」。
セントラルキッチンで大量に作ったものを2キロごとに分けて冷凍保存。ラーメンの麺を茹でる場所などで解凍してそのまま使用できる。
濃縮しているわけではないので薄める手間もないが、美味しさを保つために、解凍したらその日のうちに使い切るように勧めている。
これだけだと他のスープを売る店と変わりが無いように思われるが、他の店と大きく違うのは、スープと麺とタレで多様な組み合わせができることだ。
組み合わせ次第で何万通りも!既製品を使って“ウチの店の味”
「天辺ダッシュカンパニー」では 麺60種類、スープ13種類 、タレ8種類を販売しているので、それだけで6240通りのラーメンができる。
麺の種類はパプリカを練り込んで赤くしたものなども含め種類豊富で、さらにスープに少し手を加えたり具材を変えることで何万通りにもなると言う。
代表取締役の芝山さんは「業務用のスープは完成され過ぎているものが多く、そのままだとみんな同じような味になる 。我々はスープもベースだけにして、お店でひと手間加えることでオリジナルになるよう提案している」と話す。
外食ビジネスウィークの3日間の間に110件ほど相談が寄せられたが、新規店よりも既存店からの相談が多く、人材不足や来年からの働き方改革に関するものが多かったということだ。
また、自分で組み合わせを悩んでしまう場合はアドバイザーの派遣を行っている。
スープを購入することで光熱費削減、更にスープを作る手間がなくなり、人件費削減にもなるだけでなく、そこにオリジナリティも出せるようにする、一歩進んだ人手不足対策となっていた。
調理技術の向上で原材料費ロスにも
このほか、 1台でオーブンの機能と電子レンジの機能を同時に兼ねる業務用マイクロウェーブコンベクションオーブン(パナソニック)が登場。
人手不足と人件費削減を狙った商品だ。
これを使うと冷凍のワッフルが40秒で「外がカリッ、中はモチッ」とした食感の“焼きたて”に仕上がるという。
冷凍であれば在庫として長く置くことができるので原材料費のロスも少なくなる。
人手不足で人件費が上がる中、材料費ロスが減るのは飲食店にとって非常にありがたいことだろう。
人手不足が叫ばれて長いが、単なる人手不足解消策でなく、それぞれの店舗にあったオリジナリティが出せる方法や、手間がかからず本格的な味が出せる方法が更に求められていくだろう。