ゴルフ場にあった安倍首相の改造人事の法則 政権安定の源泉は人脈と信頼か

リアル首相動静

カテゴリ:国内

  • 安倍首相が人事構想に着手した別荘での夏休み
  • 休暇中のゴルフ相手や会食相手は3つのタイプに
  • 休暇を共にした政治家はもれなく要職に?

注目の内閣改造人事まで1週間 ヒントは夏季休暇に?

自民党役員会(9月3日)

安倍首相が9月11日に行うと明言した内閣改造と自民党役員人事まで1週間を切りました。政治家たちが「大臣になりたい」「党役員になりたい」とギラギラするのは、出世を目指す伝統的なサラリーマンと同じのようで、各派閥の幹部たちが連日首相官邸を訪れるなど、ポスト獲得への動きも大詰めを迎えています。

今回の内閣改造について安倍首相は、「与党は老壮青、人材の宝庫だ。よく検討し安定と挑戦の強力な布陣を整えたい」と述べていますが、その構想を検討し始めたのが8月16日~21日まで山梨県鳴沢村の別荘で過ごした夏休みだとされています。

実際、休暇中にゴルフを終えた安倍首相は、「内閣改造の構想は順調ですか」という記者団からの問いかけに対し「…(笑)ご苦労様!暑い中!」と笑顔でかわしました。それから約20日がたった今、今回の人事と夏休み中に安倍首相が共に時間を過ごした人々を振り返ると、興味深い法則が見えてきました。私も取材した安倍首相の夏休みを振り返ります。

8月16日~21日まで山梨県鳴沢村の別荘で過ごした夏休み

人事構想を始めた首相の夏休み 面会相手は?

安倍首相の夏休みは8月16日~21日までの6日間。ゴルフを4回にわたって楽しみ、温泉につかり、バーベキューなどをして過ごし、私たち番記者たちはそれを追いかけました。

総理の“ゴルフ取材”と聞くと、ゴルフ中継で目にするギャラリーのように、比較的近くで取材ができるかというとそんなことはなく、基本的にはゴルフ場の敷地外からの取材です。それだけに安倍首相のゴルフ中の調子や表情をとらえたくても、木の葉が邪魔してうまくいかないこともしばしばです。

この日は午前6時半に別荘を出発し早起きの安倍首相=19日、富士ゴルフコース

それでも必死に安倍首相を目で追うと、時に見事にパットを決め笑顔を見せ、時にはダフったりパットが入らなかったりと悔しがる姿がうかがえました。

パーだったのか、すぐさまスコアを記入する安倍首相=19日、富士ゴルフコース
わずかにパットインならずクラブを上に持ち上げる安倍首相=20日、富士桜ゴルフ倶楽部

こうしてゴルフを懸命に取材するのも、安倍首相が誰とプレーし、どんな人間関係で、どんな会話をしているのかを探るためです。そしてそれは昼や夜の会食もまた同じで、この夏休みに安倍首相がゴルフや会食を共にした相手をまとめると以下となります。

昭恵夫人、秘書官、御手洗冨士夫経団連名誉会長、渡文明JXTGホールディングス名誉顧問、小林喜光前経済同友会代表幹事、岸信夫自民党衆院議員、北村内閣情報官、本田悦朗前駐スイス大使、増岡聡一郎鉄鋼ビルディング専務、成蹊大の友人ら、籔本雅巳錦秀会グループCEO、安倍寛信三菱商事パッケージング社長、松崎勲森永商事社長、「IMAGICA GROUP」長瀬文男会長、長瀬朋彦参与、河野雅治外務省中東和平担当特使夫妻ほか

ゴルフ相手は「身内」「財界人」「政治家」

これらの人物たちを大別すると、友人や身内と財界人に分けられます。

成蹊大学時代の友人や自らの秘書官たち、そして弟の岸信夫議員をはじめとする家族・親戚は、首相にとって気の許せる身内であり、リラックスして英気を養える存在であることがうかがえます。

そして、御手洗経団連名誉会長をはじめとする財界人ですが、「アベノミクス」を生命線とする安倍首相にとって、時に「賃上げ」をお願いしたり様々な政策で連携するなど、安定政権を築く上で大事な存在であり、ゴルフや会食を通じて定期的に親交を深める意義のある相手だと言えます。

さらに、今回こそ安倍首相が台風の対応にあたるため中止となってしまったものの、会食しゴルフをする予定だったのが「政治家」たちです。

笹川陽平・日本財団会長の別荘で談笑する安倍首相ら=2018年8月、笹川氏のブログから

去年は、森喜朗元首相や小泉元首相、麻生副総理といった首相経験者や、岸田政調会長、茂木経済再生相、加藤総務会長、萩生田幹事長代行、西村官房副長官らと会食あるいはゴルフを共にし、今年も同じメンバーの集合が予定されていました。

安定した政権運営を行っていくうえで、首相経験者などからの助言は大事であり、小泉元首相が「反原発」を訴え安倍首相を時に批判しても、決定的な対立姿勢はとらないのも、こうして良好な人間関係を維持しているからかもしれません。そして、このメンバーの中の現役国会議員の今回の人事での位置づけを見てみましょう。

9月5日時点で、麻生副総理と岸田政調会長は留任が内定し、茂木氏も最重要閣僚の1つである外務大臣への起用が固まりました。安倍首相が貴重な夏休みを共にするメンバーをいかに重要視しているかがわかります。この法則に従えば、残る加藤氏や、萩生田氏、西村氏も、今回の人事でそれなりの要職に起用される可能性は高そうです。

留任が内定した岸田政調会長(手前)と二階幹事長(中央)
外相への起用が固まった茂木経済再生担当相

次期NSC局長に浮上の「北村情報官」との面会も・・・

北村滋内閣情報官(情報保全諮問会議 5月16日)

さらに注目したいのが、安倍首相の別荘滞在中、唯一、秘書官以外の官邸関係者で首相と面会した北村内閣情報官の存在です。「内閣情報官」という役職は、国内の治安や政局から外国の機密まで、ありとあらゆる情報の収集を行う内閣の中枢ともいえる重要なポストです。その北村氏が今回、外交も含めた安全保障の司令塔となるNSC=「国家安全保障会議」の次期局長に浮上しているのです。

実は北村氏は第一次安倍政権時代の首相秘書官でもあり、このところも毎年、安倍首相の別荘まで足を運んで面会し食事を共にしています。北村氏のNSC局長への起用が実現すれば、安倍首相にとって「信頼」が人事の重要な要素になっていることが改めて裏付けられることになるかもしれません。

(政治部 首相官邸クラブ 総理番担当 阿部桃子)

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