悲願の初優勝!履正社高校野球部と監督に聞いた“自主性を重視した指導法”とは?

  • 23日、夏の甲子園で優勝した履正社高校が母校に凱旋した
  • 履正社高校野球部と岡田監督が中継で生出演!
  • “岡田流指導法”とは?

悲願の優勝…ホームランの瞬間は?

令和初となる夏の甲子園で、悲願の初優勝を果たした大阪代表・履正社高校。
注目の的となっているのが、岡田龍生監督のユニークな指導法だ。

「直撃LIVEグッディ!」には、母校への凱旋を終えたばかりの履正社高校野球部と岡田監督が中継で生出演。チームを日本一に導いた“岡田流指導法”に迫った。

広瀬修一フィールドキャスター:
皆さん、優勝おめでとうございます!一夜明け学校に戻ってきましたが、生徒たちの素晴らしい出迎えがありましたね。

岡田龍生監督:
本当に優勝したんだな、という気持ちで花道を歩いてきました。

広瀬修一フィールドキャスター:
キャプテンの野口選手、優勝旗を持って歩かれていましたが、あの重み、いかがでしたか。

野口海音選手:
すごく重かったです。皆さん喜んだ顔をしてくださって、日本一になったという実感がわきました。

広瀬修一フィールドキャスター:
決勝でスリーランホームランを打った井上選手、23日は女性生徒に囲まれてサイン攻めにあっていましたね。少し驚いた様子でしたが、どうでしたか?

井上広大選手:
まさかここまで人気になってるとは思わなかったので、びっくりしました。

広瀬修一フィールドキャスター:
改めて一言お願いします。

井上広大選手:
自分たちの力だけではなく、たくさんの人たちに支えてもらっているんだなと感じました。

立本信吾フィールドキャスター:
夏の甲子園決勝、実は“リベンジ戦”だったんですよね。

<決勝の舞台で星稜高校にリベンジ!>
・春のセンバツ1回戦では、星稜高校の奥川恭伸選手に3安打17三振を奪われ、0-3の完封負け…
・22日の決勝では11安打6三振、5-3で星稜高校に勝利!


広瀬修一フィールドキャスター:
星稜高校はセンバツで敗れた相手でしたが、どのような対策を立てて決勝に臨んだんでしょうか?

岡田監督:
3月に対戦したときは17奪三振、まったく手も足も出ずという状況でした。それが終わってから、高校生のトップレベルの投手、奥川くんを打てないと全国優勝はできないということで、子供らといろんなことに取り組み出したんです。コーチや記録員たちが一生懸命ビデオを見て「こういう対策をすればもしかしたら対応できるんじゃないか」ということで、高めのボールをどんどん積極的に打っていこうと。低めを狙うと低めの変化球に振らされてしまうので、高めを打っていこうということで試合に臨みました。

広瀬修一フィールドキャスター:
井上選手、スリーランホームランは高めのスライダーをとらえたと思うんですが、あのあたり、狙い通りでしたか?打った瞬間どんな感触だったか聞かせてもらえますか。

井上広大選手:
1打席目は高いスライダーで見逃し三振を取られたので、相手バッテリーはタイミングの合ってない高い変化球で入って来ると思ったので、狙って思いきって振ってみました。打った瞬間は芯にも当たって、フルスイングもできていたので、感触は良かったです。

“岡田流指導法”に迫る!

立本信吾フィールドキャスター:
岡田監督の著書『教えすぎない教え』より、岡田監督のユニークな指導法について迫っていきたいと思います。

<生徒・保護者 別々に2者面談>
・オフシーズン中、岡田監督は約1カ月かけて全選手の保護者と2者面談を行った
・進路の話や指導方針、家でやってほしいことなどを伝える
・その後、選手と監督で2者面談
→家庭がどういう状況なのか、選手はどう思っているのかを知った上で、それぞれの選手に合った指導法を選択した


広瀬修一フィールドキャスター:
保護者の方とも細かく面談する、その大切さについて教えてください。

岡田監督:
私も長男・次男が野球をしていましたが、私の職業柄、子供の様子を見に行ってやることはできませんでしたので、どんな風にしてるのかな…と父親として思うことも多くて。学校や練習の様子、普段の子供の様子をお父さんお母さんに伝えてあげることで、保護者の方も「そういう状況なのか」と分かるかなと。「私の現場はこういう指導方針、こういう考え方で子供たちを指導しています。ご家庭でもひとつ、そういう意向に沿ってご協力いただけませんか」という話をすることで、保護者・指導者・子供たち、一体となって取り組むのが一番子供の力を伸ばしてやれるんじゃないかなと。

広瀬修一フィールドキャスター:
履正社高校は全寮制じゃないですよね。選手の皆さんは家に帰って夜と朝に自宅でご飯を食べますが、そのあたりはどう考えてらっしゃいましたか。

岡田監督:
食事の面に対しては栄養講習をしたり、食事の重要性を保護者の方に分かっていただいて、ただ子供の好きなものばかりを出すのではなく、子供の体を大きくする、子供のための必要な食事をさせてほしいということで、そういう協力はお願いしています。

小林信也氏(スポーツライター):
教育って考えると当たり前のように見えますが、高校野球の現状は違うんです。高校野球はあまり親御さんに口を出してほしくない。野球を知っている熱心な親御さんは多いじゃないですか。そうするといろんなことを生徒に言うもんだから、親御さんはグラウンドに入ってはいけないとか「子供たちにも野球のことは一切言わないでください」という傾向が割と主流なんです。

安藤優子:
「きちんと指導してますから、お父さんお母さんは黙っていてください」というのが主流なんですね。

小林信也氏:
その中で、履正社の岡田監督の「親御さんもチームメイトなんだ」というやり方は、これからとても大事になると思います。あと、ほとんどの強いチームが寮で暮らしていますが、家庭とグラウンド両方あるという環境も、これから大事になってくるのかなと。

安藤優子:
ごく当たり前なものかと思っていましたが、履正社の岡田監督のやり方は特殊なんですか?

小林信也氏:
野球界では特殊ですね。でも、これからはこちらが主流じゃないかと、投げかけているように感じます。

立本信吾フィールドキャスター:
これから新しいものを履正社が作っていくのかなという感じがしますね。昔の高校野球というと、根性!というイメージがあるかもしれませんが、今回、それを覆したのが履正社の高校野球だといえますね。とにかく考える力を養うというものなんです。

<自分で“考える力”をトレーニング>
・岡田監督がバッティング練習を指導している間、他の選手は監督の見ていない場所でランニングや筋トレを行うサボろうと思えばサボることができる環境!自分で必要な練習を考え実践する力を養うことができる。

<ベンチ入りメンバーを選手で投票>
・全選手が監督になったつもりでベンチ入り18人を選考し投票、集計。実際にベンチ入りに反映させる
・結果は監督とほぼ同じ考えになることが多いという
・選手同士がお互いをよく見るようになり、さらに他の選手から見られていると自覚することができる


広瀬修一フィールドキャスター:
自主性を重視した指導法はどのようなきっかけで発案されたんでしょうか?

岡田監督:
私が高校時代は完全なスパルタ方式で、本当に厳しく指導されたんですけど、すべてにおいてやらされている野球だったんです。自分で考えることはほとんどなく、監督さんの言うがままという状況だったものですから、大学、社会人と上のレベルに行った時に非常に困ったところがありました。やはり自分で考えながらいろんなことを試行錯誤して取り組んでいく、失敗する、そしてまた何か試みる、それで何かを見つけていく。こういうことが非常に大事なんじゃないかなと。いろんな情報提供やアドバイス、ヒントは与えますけど、それを自分でどう考えて取り組んでいくのか。それぞれ個性もありますし、そういう取り組みをさせていくのが良いのかなと思ってさせています。

広瀬修一フィールドキャスター:
試合でも、その時その時考えてプレーしなきゃいけない場面が多いですから、そういうところにもつながっているのかもしれませんね。私もこれまで多くの高校野球の取材をしてきましたが、試合メンバーを投票で決めるというのは本当に不思議に感じました。

岡田監督:
やはり、指導者の見ている前でしかやってない、見てなければサボるという子もいます。子供同士がお互い、総合評価で客観的に評価した方が、メンバーに選ばれた子も頑張る、外れた子も納得して応援する。そういうチーム全体の一体感を生むためにもお互い、みんなの評価を集約するのがいいかなということです。

人間性”が野球にもつながる

広瀬修一フィールドキャスター:
選手間投票をするなど、かなり奇抜なアイデアを取り入れている岡田監督。野口選手は、どのように監督のことを見てらっしゃいますか?

野口海音選手:
野球だけではなくて、まず僕たちの野球は人間性という部分も大切にしているので。野球以外の部分を教わることが多いです。

広瀬修一フィールドキャスター:
監督、人間性というと?

岡田監督:
表裏のない、常に安定した気持ちで何事にも取り組む。そうすると野球の結果もある程度安定した結果が出てくるものですから。普段の生活は間違いなく野球のプレーにも出るものですから。

安藤優子:
実践を重んじる。人が見ていようが見ていまいが、やるべきことをやる。それを選手自身に選択させるというのは監督として勇気のいることなんじゃないかなと私は思いました。

木村太郎(ジャーナリスト):
履正社とか星稜なんてすごいところは別ですけど、今ね、高校で野球部に人が集まらないんですよ。今までの根性主義でやっているともう集まらなくなって、どんどん合理化していってるの。投球制限もしようとかそういう話になっている時に、甲子園で優勝したチームがこういう合理的な練習をしていたんだということは、高校野球としてはすごく勇気づけられることになるんじゃないですかね。

小林信也氏:
おっしゃる通りで、高校野球って今まで従う力を着けるのが主だったんですよ。監督の言うことをいかに忠実に実践するか。そうじゃなくて、いま世の中で求められているのは自分で判断して自分の才能をどう開くか。岡田監督は、いろんな紆余曲折の中でここにたどり着いたんじゃないでしょうか。

安藤優子:
誰も見ていないところでも、必要と思ったらやる。その力を養う指導法が、見事に開花した初優勝だったように思います。履正社の岡田監督はじめ、今回見事優勝を果たされた生徒の皆さん、本当におめでとうございます!

(「直撃LIVE グッディ!」8月23日放送分より)

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