SNS大手のLINEが8月19日から始めた新サービス「OpenChat」に問題点が次々浮上し、ネット上で騒動になっている。
スマホが延々と通知を繰り返し、退会したくても辞められず、不健全な画像が投稿され、出会い系のグループもできている…。
一体なぜこんな事態に陥ってしまったのか。
“匿名”の5000人が1つの部屋で会話
この記事の画像(6枚)そもそも「OpenChat」は大人数で会話ができるサービスで、次のような特徴がある。
・トークルームは誰でも作れる
・1つのトークルームに最大5,000人が参加できる
・トークルームごとにプロフィールが変更できる
・トークルームへの参加条件は、自由・管理人の承認・パスコードが必要な3種
・トークルームのURL・QRコードが発行できる
プロフィールが変えられるということは、どんな名前でも名乗ることができ、実質「匿名」と変わりがない。
つまり「OpenChat」は、最大で5,000人の匿名の何者かが自由に参加・拡散できるグループトーク、だとも言える。
LINEアプリには、最大500人で会話できる「LINEグループ」という類似サービスがあるが、これはすでに「友達」になっているユーザーを「招待」する必要があるので、「OpenChat」とは大きく異なる。
このような「OpenChat」のメリットについてLINEはプレスリリースの中で下のように説明している。
今「LINE」で使用しているプロフィールとは別のプロフィールを設定してトークに参加したい場合や、趣味やライフスタイルの共通点についてグループトークをしたいけれど「LINE」で友だちになる程ではない場合に最適です。
通知が止まらない!退会できない!
参加人数の多いトークルームは、もちろん投稿数もそれだけ多い。
それだけならまだしも「OpenChat」は匿名性が高いためか、サービス開始早々、様々な迷惑行為が横行した。
無意味な言葉やスタンプを何度も繰り返す、いわゆる「荒らし」行為によって投稿数は爆発的に増加。
その結果「スマホの通知が止まらなくなった」という報告がネット上に相次いだ。
こうなると、ただでさえスマホの使用に支障が出るが、問題はこれで終わらなかった。
さらにトークルームの退会処置に問題が発生。
一部のユーザーは、トークルームを辞めたくても辞められない状態に陥ったという。
この事態に対して運営は20日、アプリそのものの設定ではなく、スマホの設定を「機内モード」にして解除すると退会できると案内。
加えてトークルームに参加したとき、通知を標準でOFFにするよう設定を変更した。
出会い系やわいせつ画像が横行…
もともと「OpenChat」は、「出会い系」と呼ばれる交際相手を求める行為をはじめ、わいせつな表現、営利目的の活動、権利侵害などを禁止していた。
しかし、サービスを開始すると「出会い系」や「わいせつ画像」の投稿が相次いだ。
トークルームの検索機能を使えば、不正を行っていそうなグループがいくらでも見つかったという。
そこで運営はサービス開始同日に、次のような不正行為を24時間監視すると発表した。
・みだりなスタンプの連打
・わいせつな表現や画像・動画の投稿
・LINE ID(QRコード含む)の投稿
・交際相手を募集する投稿
これら重大な違反行為に対しては、投稿の削除・強制退会・OpenChatの利用停止・LINEアプリの利用停止を行うという。
翌20日にはトークルームの検索機能を「メンテナンスのため」停止。
さらに運営側で定めたNGワードを自動的に削除する機能を導入し、スタンプを連投すると一時的に「OpenChat」が使えなくなる仕様に変更したという。
加えて「OpenChat」のメイン画面でトークルームへのリンクを表示していた「ピックアップ」も停止した。
悪意あるユーザー・書き込みは「通報」して
22日には「だれでも安心して楽しめるオープンチャットを作るために守るべき5つのルール」が掲載されたが、LINEは「OpenChat」で相次いだトラブルをどう捉えているのか?
また、18歳未満(と年齢未確認)のユーザーは、「トークルームの検索」や「非公開トークルーム」の参加・作成ができないといった制限がかけられているが、子供でも安心して使えるサービスだと言えるのだろうか?
担当者に聞いてみた。
――「出会い系」が多い問題をどう思ってる?
LINEは面識のない異性との出会いや交際を目的とする行為を禁止しており、OpenChatも同様に禁止しています。
違反行為にはLINE IDなどの個人を識別する情報(QRコードを含む)の投稿も含まれており該当の投稿は削除対象となります。
――「検索機能」は何を改善しているの?
現在、大多数の方は有用に楽しく使用されていますが、一方で、利用者数が増えると一定の割合で不適切な利用をする方もいます。
検索により、一部不適切なトークルームが表示されるため、安心安全な環境を整備する一環で一時的に非表示としています。
――「検索機能」はいつ復旧する?
22日昼頃に予定していましたが、現在、再表示時期調整中の状況です。
――悪意あるユーザーを見たらどうすればいい?
「通報」によって、一定期間OpenChatの利用を停止する機能が既に実装済みです。
不適切な投稿やトークルームなどを発見した場合は「通報」ボタンをご活用ください。さらに安全にOpenChatをご利用いただけるようになります。
また、NGワード自動削除や、管理者が不適切なメンバーを強制退会をする権限を持っている等、悪意あるユーザーに対する機能を複数備えています。
【通報のしかた】
・メッセージを通報する場合:通報したいメッセージを長押し
・メッセージ送信者を通報する場合:アイコンの写真 >「通報」をタップ
・トークルームを通報する場合:上部トークメニュー > 設定 >「通報」をタップ
――「みだりなスタンプの連打」ってどういうこと?
今は自動で判別し連続投稿もできないようになっていますが、機能開始当初は無制限に送る方もいました。
健全なユーザーにとっては会話の妨げになっていました。
OpenChatだけ禁止にすることはできない
――本当に、スタンプ連打しただけでLINEアプリが利用停止になる?
スタンプを一定数以上連打で投稿した場合、OpenChatを一時的に利用できなくなる仕様となっています。
――18歳未満は検索できないけど、URLなどで招待されてしまうのでは?
不健全なトークルーム自体を削除するなど、OpenChat自体の違反行為を取り締まり、健全な環境づくりに努めています。
――子供のスマホを「OpenChat」だけ禁止にすることはできる?
OpenChatそのものを使えなくすることはできません。
「大多数の人は楽しく使っています」
――「匿名」で使えるから「荒れやすい」と言われていることをどう思う?
匿名性の高さで一部それを悪用する方がいることも事実ですが、現在、大多数の方は有用に楽しく使用されています。
――マイナス面が話題になってしまったことをどう思っている?
大多数の方は有益に楽しく利用されているのに、一部の不適切な使い方にフォーカスがあたっていることを残念に思っています。
現在、違反行為への取り締まり強化や環境整備など、OpenChatを安心・安全にお楽しみいただけるよう努めています。
OpenChatを有益に楽しく利用している皆さまは、当初想定していたユースケース以上に多様な利用方法を生み出しています。
傾向としては、テーマの絞り込み方がピンポイントかつ明確だと、活発にトークと情報交換がなされている印象があります。
利用者全ての皆さまに、OpenChat本来の価値を体験いただけるよう、尽力してまいります。
「OpenChat」の開始以降、LINEは怒涛の勢いで新たな対策や機能の増強を行っている。
担当者の話では、大多数は楽しく使用しているということだったが、果たして「OpenChat」は安心便利なサービスとして根付くのか。
某「ペイ」サービスのように、鳴り物入りで始めたものの出足でつまづき、突然撤退とならないようにしていただきたい。