落下で都市壊滅?直径160mの小惑星が接近中

もうもうと煙をあげながら地球に迫る塊。

 
 
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衝突した途端、地球は一面真っ赤に…近い将来、こんな恐ろしい光景が現実のものとなってしまうのだろうか。

 
 

実は、「8月28日に直径160mの小惑星が地球に最接近する」とNASAが発表したのだ。もし100mクラスの小惑星が地球に衝突すると、どれほどの被害が出るのだろうか?

国立天文台 山岡均准教授:
直径100m前後っていうのがそのまま地表まで到達すると、地上に直径1kmくらいのクレーター、隕石孔口ができ、さらに、落下してくる時の大気との衝突による衝撃波が、周り数十km範囲くらいの建物などに大きな被害を及ぼします。

 
 

また、7月25日には、地球のすぐそばを直径130mの小惑星が通過していたことがわかった。
地球までの距離は約7万2000km。これは地球と月の距離のわずか5分の1。あわや衝突も考えられる事態だった。

国立天文台 山岡均准教授:
今回、月よりも近いところを地球に近づいてくるもの中では、比較的、大きいものが通ったということで話題になっています。

 
 

幸い衝突することはなかったが、驚くべきは、天文学者たちがこの小惑星の存在に気付いたのが通過する数日前だったということ。

地球に迫る小惑星を一体誰が見つけ、監視しているのか?日本スペースガード協会の浅見敦夫副理事長に聞いてみると…

ーー発見するのは難しい?

日本スペースガード協会 浅見敦夫副理事長:
そうですね。小さい天体ですから、近寄ってこなければ明るくならないし、動く方向も地球の方向に向かってくる場合には、移動が少なくなります。なかなか見つけづらいんですね。

小惑星といえば、2013年にロシアのチェリャビンスク州上空で大爆発を起こし、約1500人が負傷した。

 
 

国立天文台 山岡均准教授:
ロシアに落ちたのは、天体としては発見されずにいきなり衝突したんですね。発見されてから地球に衝突した例は4例ありますが、それ以外はすべて発見されずに落ちています。

地球のすぐそばを通過しながら気付かれない小惑星がたくさんあるというのだ。

これは、アメリカ航空宇宙局・NASAが公開したこれまでに発見された小惑星のCG映像。オレンジや青の点は、すべて小惑星を表している。

 
 

地球の周りには、これだけの小惑星がひしめきあうように存在している。

そして、8月末に最接近するという直径160mの小惑星。果たして地球は大丈夫なのか?
 

「地球防衛会議」4つの対策&NASAは小惑星の存在把握に注力

山﨑夕貴キャスター:
小惑星は、地球に落ちてくると「隕石」と呼ばれます。その隕石が地球に落下するかもしれないということで、その対策について調べました。

まずは、小惑星の大きさを見ていきましょう。スタジオには、直径1mの地球の模型を用意しました。
6600万年前、恐竜を絶滅させた原因になったとみられる小惑星がありました。推定直径は10kmですが、地球の模型と比較して再現すると、約1mmと大変に小さかったんです。

 
 

山﨑夕貴キャスター:
この小惑星がメキシコのユカタン半島に衝突し、気候変動が起きて恐竜が絶滅したといわれています。これだけ小さくても、地球に甚大な影響を及ぼします。

 
 

山﨑夕貴キャスター:
ではこれ以降、小惑星によって起きた被害には、どのようなものがあるのか。

1908年、ロシアのツングースカ川上空で小惑星が大爆発し、半径30~50kmの森林が炎上しました。この時の小惑星の推定直径は、約60mです。
そして2013年、ロシアのチェリャビンスク州上空で小惑星が爆発し、衝撃波による爆風などで約1500人がけがを負いました。

深澤真紀:
この時の映像はよく覚えています。

山﨑夕貴キャスター:
この小惑星の推定直径は約17mです。小さく感じますが、大きな被害がありました。
では、衝突の可能性が高いとわかった場合に、それを回避する手段はあるのでしょうか?

 
 

笠井信輔キャスター:
映画の世界では、地球と小惑星の衝突は何度も描かれています。『アルマゲドン』もそうですし、東宝特撮映画では、地球を動かして隕石を回避するというものもありました。
では、実際にはどうなのか?国立天文台の山岡均准教授に伺いました。

「地球防衛会議」というNASAも参加している世界中の有名な研究家が集まった会議が2017年から開かれ、小惑星の衝突回避策を話し合っているといいます。SFチックな名称ですが、真剣に検討した対策がこちらです。

【対策1】核を使って破壊:放射能などの危険も伴うため、これは最終的な手段だとされています。
【対策2】宇宙船をぶつける:飛ばした宇宙船を小惑星にぶつけて、その軌道を変えるというものです。
【対策3】宇宙船の引力を利用:小惑星と同じ質量の宇宙船などをそばに飛ばすと、引力が発生します。これによって小惑星の軌道を変えていくといいます。
【対策4】ソーラーセイル(帆)を利用:最も科学的な対策として、いま研究が進んでいます。ソーラーセイルという反射板のような帆を大きく広げると、太陽光エネルギーで推進力が発生する。これを小惑星に取り付け、軌道を変えます。

ただ、どれもすぐにできるものではありません。

 
 

小倉智昭キャスター:
今回の小惑星には間に合わないんでしょう?

笠井信輔キャスター:
はい、準備には時間がかかるということです。

伊藤利尋キャスター:
映画のように、ブルース・ウィリスが必要ですね。

深澤真紀:
恐竜絶滅の時には、ひとつの小惑星が落ちたのではなくて、複数の“小惑星群”が衝突したんですよね。

山﨑夕貴キャスター:
小惑星というのは本当にたくさん存在していて、日本スペースガイド協会の浅見敦夫さんによると、現在、太陽系に約79万個あるといわれているそうです。
また、地球の近くにあり、存在を把握できている数は約2万個です。これに関しては分析が進んでいて、地球には衝突しないだろうとされていますが、把握できていない小惑星もあります。

気になるのは、8月末です。地球に衝突することはないのかと不安ですよね。
浅見さんからは、「8月末に最接近する小惑星を含め、把握できている小惑星の中に、地球に衝突する危険があるものはない」という答えをいただきましたが、これは現時点での分析ですから、もしかしたら明日、衝突の可能性がある小惑星が確認されるということもあり得ます。

 
 

小倉智昭キャスター:
「把握できている小惑星の中に」という前提条件があるわけだから、把握できていない小惑星が突然、姿を現したら…

笠井信輔キャスター:
そのためNASAでは、地球の近くに存在する小惑星のうち、140m以上のものについては、2020年までに9割は確認できるようにしようと作業を進めているそうです。

小倉智昭キャスター:
なんとか間に合うといいね。
 

(「とくダネ!」『NEWSヤマサキ調べました』8月21日放送分より)

とくダネ!
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