「頭が良くなりたい」という願望は誰もが一度は抱いたことがあるはず。

では、「頭が良い人」とはどんな人なのか。勉強ができる人、有名大学に進学した人、難関資格を持っている人…。

しかし、だからといって「こういった人たちが頭が良いとは限らない」と話すのは、高IQ団体「メンサ(MENSA)」の会員で『高IQ者が考えた 解くだけで頭がよくなるパズル』(集英社)の著者である関口智弘さん。そこで、関口さんに「メンサ」とはどんな団体なのか、「頭が良い」とはどんなことなのか聞いた。

高IQで良かったこと、失敗したこと

この記事の画像(5枚)

まず、メンサは人口上位2%のIQ(知能指数)を持つ人たちが参加し、世界100カ国以上、10万人以上の会員を持つ国際的グループ。

“高IQを持つこと”がメンバー入りの条件であり、その他の条件は一切なく誰でも入ることができる。メンサ会員になるには、日本在住の15歳以上で、JAPAN MENSA主催の入会テストを受け、全人口の上位2%以内のスコアであると認められれば会員になることができる。

関口さん自身のメンサという団体への認識は「高IQの人たちの社会人サークルみたいなものです。高IQの人たちはコミュニケーションのペースが違うので、日常の会話にストレスを感じている人が自分を出せて交流できる場だと思っています」とのこと。

だからこそ、「コミュニケーションが卓球の高速ラリーのように繰り広げられるさまは、心地よいと感じます。高IQの人たちは学生時代になかなか会話がかみ合う人に出会えることが少ないため、メンサ会員同士で集まるとうまい具合に会話が進むのでうれしくなります」と話した。

そんな関口さんは「社長や仕事のできる人たちはIQが高い方が多いので、すぐに打ち解けられます。営業マンをやっていた頃は、『見込みのある若者だ』とかわいがってもらいました」と、IQが高いことでよかったこともある。一方で「失敗したことも山ほどあります。一番はネットでよく炎上します(笑)。文章にまつわるトラブルはよくあり、行間や背景を省略して“分かるだろ”という感覚で発信すると誤解をされやすいです。自分にそういった落ち度があると自覚してからは、気を付けるようにしています」と明かした。

2017年9月に入会テストを受け、メンサ会員となった関口さん。そのきっかけは「自分が高IQであるのかどうかハッキリさせるため」だったという。

幼い頃から勉強をしなくてもテストで点が取れ、何をやっても飲み込みが早かったことから、自身の中でも「自分のIQは高いのではないか」と感じていたという。それは社会人になっても、「入社から一週間で、仕事の要領をつかめるほど、人より習得が何十倍も早かったです。ただ、自分が特別なビジネスの才能があるとは思っておらず、単に飲み込みだけが早いというのは感じていました」と明かした。

「記憶脳」に頼りすぎている

この「飲み込みの早さ」こそが、IQの高さを示す一つの基準でもあるという。

関口さんいわく、頭の良い人という表現を、純粋に「脳の動き」として考えた場合、「物事の処理速度が速い人」のことを指す。一般にIQは記憶力や分析力、思考力に作用すると言われ、高学歴や資格職などの世間一般に頭が良いとされる人の属性は、「記憶脳」に重きを置いたものだという。

しかし、世の中には「分析脳」や「思考脳」の比重が大きい人もおり、そういった人たちは必ずしも高学歴であったりするわけではないようだ。

そして、日本の教育の中では「記憶脳」を使うことが多い。「分析脳」や「思考脳」を使う習慣が少ないと、過去の経験やどこかで聞いたような価値観に左右され、合理的な判断や行動を取れなくなってしまうという。だからこそ、この著書の中では「分析脳」や「思考脳」を刺激する問題を掲載し、“脳を切り替える”ためのきっかけを作りたいとしている。

では、どうしたら脳の切り替えはできるのだろうか。「EQ(心の知能指数)が高い方は自然にできていると思います。EQは物事に対してどれだけ総合的に考えられるかです。EQとIQは別物で、IQが高くてもEQが低い人は普通よりも大変な日常を送っているかもしれません」と話した。

「私の考えでは、IQはエンジンでEQはブレーキやハンドル。一直線を走るのであれば、IQが(EQの意味合いとして)高ければいいのかもしれませんが、突然コーナーが来たときにそのまま走っていたらクラッシュしてしまう。そこで、分析脳や思考脳が働く人はスピードを緩めたり、ハンドルを切ることができる。そういう意味で、しっかりと切り替えができなければ、IQと上手く付き合うことは難しいと思います」

それなら、『高IQ者が考えた 解くだけで頭がよくなるパズル』を何度も解けば、記憶脳に偏った自分の脳を思考・分析脳へと切り替えられる、と考えるのはまた違う。

何度も繰り返したとしても、脳の使い方を変えると言うよりは、解き方を覚えてしまうだけ。この本の使い方として関口さんは「記憶脳に頼っていることに気づき、分析脳と思考脳の大切さを知ってもらえたらと思います」とした。

子どもであれば、脳の切り替えも容易かもしれないが、長年、無意識に使い続けてきた“脳力”はどう、鍛えられるのか。

関口さんは「常日頃から、“昨日と違う行動をすること”を心掛けている」といい、「同じ店でご飯を食べない、などを意識している」と話した。

ビジネスパーソンには毎日違う行動をすることは少し難しいかもしれないが、話し相手を変えてみたりすることから始めてみるのもいいかもしれない。ただ、人間は楽をしてしまうので、まずはストレスの少ないところから、いつも見ているネットサイトではなく違うサイトを見てみるなど、小さいことから変えていくのが続けるコツだという。

関口さんの周囲にいるメンサ会員にとっても著書に出題されているパズルは難しかったそう。もし、このパズルがすらすらと解けたら、“脳力”アップにつながり、さらにあなたもメンサ会員になれるかもしれない。


関口智弘
成蹊大学卒業後、3年間で5社での勤務を経験。広告会社・IT企業を経て独立。マーケティングシステムリース、ウェブサイトアクセスアップツール開発を本業とし、海外で馬主業にも参入。著書に『これからの「稼ぎ」の仕組みを作ろう』(ごま書房新社)、『群れない力 「人付き合いが上手い人ほど貧乏になる時代」における勝つ人の習慣』(経済界新書)がある。

『高IQ者が考えた 解くだけで頭がよくなるパズル』(集英社)

https://yomitai.jp/book/puzzle/

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。