ド派手!魔法のような料理動画が話題に…

あなたの得意料理は何だろうか。
きちんとレシピを見てじっくり…という料理が得意な人も、あるいはインスピレーション重視の“創作料理”が得意な人もいるだろうが、そんな人でもおそらく思いつかないだろう、斜め上の方向に凝ってしまった料理の動画が話題となっている。



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「家庭的なのでテスラコイルで料理をしています」

これは、シャポコ(@shapoco)さんが投稿した“手料理”の動画。

何やら金属の棒に突き刺さったソーセージが鎮座しているが…その銀色の土台はテスラコイル
テスラコイルとは、エジソンのライバルといわれるニコラ・テスラが開発した「高周波・高電圧を発生させる装置」のこと。
強い電圧をかけることで空中にバチバチと稲妻のように放電する映像を見たことがある人も多いと思うが…そもそもなぜそんなものが家にあるのか、ということは今は一度置いておきたい。

装置の先に繋がっているのは子ども用?のキーボード
装置の先に繋がっているのは子ども用?のキーボード

動画が開始するなり流れ出したのは、NHKの料理番組「きょうの料理」風の「♪テッテレテレレレ…」という曲。
コイルの先に繋がれているちいさなキーボードで放電時の音を制御してメロディにするようだが…演奏されると同時に、ソーセージの両端から紫色の光がほとばしる!

こんなの見たことない
こんなの見たことない

メロディに合わせてソーセージがビカビカと発光する光景はかなりの異常事態だが、とにかく「ソーセージを熱している」という点では料理には違いない。

美しい紫色の光
美しい紫色の光

“料理”は視聴者がポカンとしている間にわずか12秒ほどで終わってしまうのだが、すぐさま「家庭的とは一体…」「スパイシーな味になりそう」「ソーセージが何をしたっていうんだ」と興味津々のコメントが寄せられ、120万回超の再生数、5万件以上の「いいね」を獲得している。(8月27日現在)

しかしこの動画、その衝撃のビジュアルだけでおなかがいっぱいではあるものの、おいしくいただくシーンなどは映されていないところがどうにも気になる……
魔法のような放電のメカニズム、そして舌がしびれそうなお味について、色々と気になってしまった点を投稿者のシャポコさんにお聞きした。

「その後、普通に焼いて食べました」

――なぜこの“謎装置”を作ってしまった?

大きなテスラコイルを制作して派手に放電したり音楽を演奏する人たちは結構いて、それに憧れて真似しようと思ったのですが、あまり大きなものを作ると置き場所に困りそうだったので自分なりに工夫して小型のものを作りたいと思いました。


――ソーセージの両端からバチバチ…この現象はどうして起きる?

凄く大雑把に書くと、放電現象は導体の表面のうち周囲よりも突出した場所(特に尖った場所)で起こりやすい傾向があります。ソーセージの場合、最も突出しているのはその両端の部分なので、そこから吹き出すように放電が起きるだろうと考えて試したところ、実際にそのようになりました。

見た目はほぼ魔法
見た目はほぼ魔法

普段は情報関係の設計業務をしているというシャポコさん。
電子工作は子供の頃、父親の趣味の関係で家に工具や部品があったり、はんだ付けを教えてもらったりしたことから自然に興味を持つようになったといい、現在も趣味として楽しんでいるのだという。

今回の“家庭的な料理”は、ソーセージの形状からどのように放電が起きるか試したところ、予想通り「尖った両端から光が噴き出る」という結果が得られたもの。
しかし、ド派手な割に“料理”としては失敗だったようで、光が噴き出していた端の部分だけが真っ黒に焦げているものの、中身に火は通っていなかったということで…

――気になるお味は?

特に変な味はしませんでした。


動画に映っていなかったソーセージのその後は、「端っこがちょっと焦げる以外何の変化も無いので普通に焼いて食べました」とのこと。
ド派手な演出があった分、ある種驚きの結果だが…サーモグラフィーで見てみたところ、1分ほど放電を続けてもコイルばかりが熱々になってしまい、ソーセージは常温のままなのがよくわかる。

ソーセージはヒエヒエなのにコイルはアツアツ
ソーセージはヒエヒエなのにコイルはアツアツ

調理し続けても炭になるのが先かも…

――電流で焼けなかったのはどうして?

ソーセージを温めるにはそれなりに大きな電流が必要ですが、今回製作した駆動回路の能力不足であまり大きな電力を連続で投入できないのと、その投入した電力もソーセージ自身を温めるためではなく表面で放電を起こす方にほとんど使われてしまったんだろうと思います。


――1分ではダメだったようですが、このままじっくり調理し続けたら…

放電の規模を大きくしていけばソーセージに流れる電流も大きくなるので温まるとは思いますが、もしかすると表面の放電のせいで炭になるのが先かもしれません。


――大きな反響がありましたが…

ちょっと不穏過ぎるかなと思ったのですが思ったよりウケたので良かったです。今後も作ったものを通じて多くの人に楽しんでもらえたらいいなと思います。


どうやらこの装置は料理には向かなかったようで、このまま温め続けても最終的には炭になってしまう可能性が高いという。
自作テスラコイルを使った今後の実験や“料理”のアイデアなどについては未定だというが、「折角なので人とは違った新しい遊び方を見つけられたらいいなと思っています」とコメントしてくれた。

夏休みもあとわずかとなり自由研究には少々ハードルが高いが…好奇心をかき立ててくれるサイエンス動画、次はどんなアイデアが飛び出すか注目だ。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。