フランス発のアプリで「食品ロス」から世界を救う 

カテゴリ:ワールド

  • 7月29日は何の日?資源の「前借」とは?
  • 日本の食品ロスへの取り組み
  • フランスのアプリで「食品ロス」に挑む。どんなアプリ?

7月29日で地球上の資源が枯渇?

冷蔵庫をのぞいて、食品を見ると「賞味期限が切れている!」。
そうして食材が無駄になってしまった、という経験は誰しもあるのではないだろうか。限りある地球上の資源を利用する上で、この「食品ロス」の解消に取り組むことには大きな意味がある。

アメリカのNGOグローバル・フットプリント・ネットワークによると、7月29日の時点で、すでに1年間に地球上で再生産できる分量の資源を使い切ってしまったという。つまり、残りの4ヵ月はこれから資源を「前借り」しないといけない状況であり、このままいけば確実に資源の枯渇が待っているということだ。

毎年資源消費量は増え続けていて、その日付が早まっている(Source: Global Footprint Network)

日本でこの資源消費を減らすためにできる大きなことが食品ロスの削減だ。日本での資源消費のうち30%が食料で、食料ロスをゼロにすれば資源消費全体の約9%を減らすことができるのだ。

2030年までに食品ロスを半減へ

日本のフットプリント図面(Source: Global Footprint Network)

(上図:人類が地球環境に与える「負担」の大きさを示す「エコロジカル・フットプリント」 )

2016年度の日本政府の推計では、国内で「食品廃棄物」として捨てられている食品のうち、年間643万トンがまだ消費が可能だとしている(※農林水産省及び環境省「平成28年度推計」)。

農水省と環境省は、2012年にすでに食品リサイクル法に基づき、廃棄物を減らすための目標値を設定したが、その効果は見られず、まずは消費者の「ムダ」に対する認識を高めることが食品ロスの削減に必要だと分析した。

2018年6月、環境省は「家庭由来」の食品ロスを2030年度までに半減させる目標を初めて発表した。しかし家庭内の食品ロスが原因ではなく、事業者側に非があると主張する一般市民も多い。その打開策は今後どこにあるのだろうか?

コンビニや食品業者による対策はすでに始まっている。賞味期限の表示を「年月」単位に変え、日持ちの幅をつくることや納品期限を延ばすことなどにより、成果も出始めている。

しかし、この問題は日本だけではなく世界的に取り込む必要がある。国連食糧農業機関(FAO)によると世界で食品ロスは年間13億トンにも及ぶためだ。

実は、毎年1000万トンもの食品を廃棄するフランスでは、政府が先頭に立ち、この問題に取り組んでいる。

さかのぼること3年前。2016年、待望の食品ロスについての法案が可決された。400㎡以上のスーパーは食糧援助団体と提携を探し、賞味期限間際の食品を寄付するように義務付けるもので、売れ残りを寄付しなかった場合は3750€の罰金までがつく。目標は2025年までに食品ロスを半減させることだ。

パリ市内のスーパー

また、2018年の食品法では、学校の給食や老人ホームで残ったものを 食糧援助団体へ寄付することも義務付けられた。このため、自治体や食糧援助団体は、フードバンクを通して貧しい人たちに食品提供を行っている。

国連食糧農業機関(FAO)のレポートによると、ヨーロッパでは食品廃棄物の1/3が一般市民から出されている。だからこそ、一般市民の意識を高めることが必要なのだ。

「TooGoodToGO」アプリが貢献

TooGoodToGoアプリのキャプチャー

フランスでの食品ロス法の可決を受け、あるベンチャー企業が食品ロスを無くすべくアプリを開発。その名も「TooGoodToGO」(捨てるにはまだ早い)。2016年にフランスで登場してからわずか3年で、11ヵ国でサービスを拡大し、今では1200万回のダウンロードを突破した人気急上昇のアプリだ。

利用者は安く食品を購入でき、店側は廃棄するはずの物を販売できる「WinWin」なコンセプトだ。

アプリを開くと、位置情報を元に近場で賞味期限間際の売れ残りを1/3の値段で提供している店のリストが表示される。

アプリ利用者のクリストフさん

「簡単で気楽に使えるのがこのアプリの強み」と話してくれた利用者の一人、クリストフさんは「何が出てくるかわからないのも一つの楽しみ」と話す。

ワンクリックで予約したのち、回収時間が提示され、「びっくり箱」(Paquet surprise)としてあらかじめ中身が分からない仕組みとなっている。普段買わない食品も含まれることから、発見や楽しみも味わえるのが特徴で、環境問題に関心のない人々でも安く買うことができ、結果的に食品ロス対策に貢献できるのだ。クリストフさんは「環境問題に関心を持っていなくても、利用したい気持ちにするこのアプリはいいコンセプトだ」と話してくれた。

アプリを利用して購入した食品

青果店やパン屋も、アプリのおかげで食品ロス削減に貢献をしている。これまで、法律上で廃棄することが決められていた食品を売ることができ、しかも歓迎される。

アプリを利用しているパン屋は「アプリのおかげで、もう売り残りを廃棄することがない。もったいないと思っていたのでありがたい」と話した。

「モンブラン」で有名なパリのパティスリー「アンジェリーナ」が、実はアプリを活用している。「お持ち帰り用で」850円のケーキが、アプリを使うと250円で買うことができ、かなりお得になる。

アプリを利用して購入したパティスリー・アンジェリーナのケーキ

「食品ロス」だけでなく「製品ロス」も禁止へ

アプリの認知度が高まる一方、果たして十分に成果はでているのか?

アプリの開発者は「3年で1700万食を救うことができた。今後より多くの食品ロスを防げる」と期待感を示した。重要なのは、店側が正直に、まだ食べられる食品を明らかにすることだという。そのため、もし腐ったものが販売されている場合は、管理者が利用者の報告をいち早く察知し、店側に問い合わせることが可能なシステムになっている。

利用者が安全に食べられてこそ、食品ロスへの継続的な貢献が可能なのだ。

フランス政府はさらに、「食品ロス」だけではなく、食べ物以外の「製品ロス」を2年から4年以内に禁止する方針を発表した。売れ残りを廃棄することを禁止し、寄付またはリサイクルを義務付ける内容だ。

果たして、先進国フランスが、無駄の削減に成功するのか今後を見守りたい。

【執筆:FNNパリ支局 小林善】

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