“最上級ブランド”の次の新品種は…

味も価格も「あきたこまち」を超える最上級のブランドを目標に、県が新たに開発した新品種「秋系821」。

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2022年度の市場デビューを目指し、県内13ヵ所で試験的に栽培されている。
2019年度は種を採る原種(げんしゅ)の前段階「原原種(げんげんしゅ)」の栽培のほか、作付けに適した地域の検討や育成マニュアルの作成などが進められている。

その一方で、秋田県農業試験場では次なるプロジェクトが始まっている。

秋田テレビ 杉卓弥アナウンサー;
「秋系821」の試験栽培が進んでいますが、試験場では早くも次の品種を目指して開発が進んでいる。
TVカメラが入るのは初めてかもしれない、貴重な作業を見せていただきます。

明かりをつけずに暗くした部屋から取り出されたのは、田んぼからバケツに植え替えたイネの株。
開花間近に暗室で保管すると、その状態は保たれたまま。

そして、イネを明るい部屋で43度の湯に6分漬けると花粉の生命力がなくなり、開花させることが出来る。

秋田テレビ 杉卓弥アナウンサー;
小さくて分かりづらいと思いますが、イネの花に別の品種の花粉をつけて交配させます。

通常イネは自らの花粉で受粉し、米粒となる実を付けるが、それでは同じ品種のコメしか生まれない。
別の品種を作るためには、別の品種の花粉で受粉させる必要がある。

秋田県農業試験場 川本朋彦上席研究員;
(Q.ここから新しい品種はどのくらいの確率で生まれる?)
計算しないと分からないが、年間100種類くらい交配して2~3年に1品種くらいしか出ないので、確率としては相当低い。

母となるイネの花に、別の品種の花粉を降りかける。意外と作業はアナログだ。
最上級ブランドである「秋系821」も同様で、800種類のかけあわせを試した研究員の粘り強い努力の結晶と言える。

今度は「エコノミー」品種に狙い

秋田県農業試験場 川本朋彦上席研究員;
良食味米(りょうしょくみまい)」は一段落した。これから先はエコノミーな品種を狙っていく。
(Q.たくさん採れる品種ということ?)
たくさん採れて、食味も伴うようなものができれば良い。

2015年の県産米の主食用米を用途別で見ると、外食や弁当などに使う業務用は22%に留まった。

しかし需要が高まっているため、県は2021年以降、4割まで引き上げたいとしている。
そのため県農業試験場は、業務用のエースとなりうる品種の開発を目指し、「たくさん採れて しかもおいしい」という、イネのかけあわせに挑戦している。

秋田県農業試験場 川本朋彦上席研究員;
品種改良は一発逆転がないので、日常の業務を根気強く続けていきたい。

(秋田テレビ)

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