日本が向き合うべきは文在寅大統領にあらず 次期駐日アメリカ大使候補が提案する日韓関係

韓国に広がる文大統領への批判、安倍政権が今できる事

  • 安全保障の観点から文大統領の言動は建設的ではない
  • 日韓の歴史問題は本当の意味で解決できるのか分からない
  • 困難でも韓国と日本が前進する道を見つけることは重要

次期駐日アメリカ大使有力候補

アメリカ上院選に出馬するため駐日アメリカ大使を辞任したウィリアム・ハガティ氏の後任選びが本格化している。日米関係筋によると、有力候補として浮上しているのが、トランプ政権と近いハドソン研究所の所長、ケネス・ワインシュタイン氏だ。

FNNはトランプ政権と太いパイプを持ち、安倍首相とも7月24日に官邸で面会するなど親交のあるワインシュタイン氏に日韓関係について話を聞いた。

8月14日ハドソン研究所のワインシュタイン所長のオフィスにて

ホワイトハウスから車で5分

目抜き通りのペンシルベニアアベニューに面するハドソン研究所のオフィスを訪ねた。
部屋には、ペンス副大統領とのツーショット写真が飾られていて、トランプ政権との近さを改めて印象付ける。

日本と韓国の対立について

本棚にはペンス副大統領とのツーショット写真が

アメリカの同盟国である日本と韓国の対立について単刀直入に質問をぶつけてみた。

ーー日韓関係について先日トランプ大統領は当事国同士での解決を望むと発言した。日韓間の問題はどのように解決すべきか。

ワインシュタイン氏:
「この問題は解決できるものなのか、よくわからない。韓国にとって過去の(歴史の)記憶の問題はとてもセンシティブなものだ。また感情的であり、根深い。ただ、私は個人的に、韓国の文大統領があのような形で、また、公の場でこの問題を取り上げるようなことはして欲しくなかった。朝鮮半島が置かれている現状を踏まえて、建設的な行動ではなかったからだ。現実問題として、韓国はこの数週間で立て続けにロシア軍と中国軍の爆撃機の脅威にされされた。今後、中国とロシア、さらに北朝鮮に立ち向かっていくうえで、アメリカ、日本、韓国が情報面で協力することが、3カ国の安全保障においては死活問題となっている。そういう意味では、困難があっても韓国と日本が前進する道を見つけることは重要だと思う。」

8月24日に更新期限を迎える日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について日本政府は「延長が望ましい」と明言しているが、韓国側は「破棄」の可能性をちらつかせている。ワインシュタイン氏は日米韓の協力関係にほころびが出ることに強い懸念を示している。

まずは日韓の産業の安全を保障する協力を

ーー日韓関係解決の妙案は?

ワインシュタイン氏:
「そのためには、今の時点では、捉え方に大きな隔たりがある難しい問題(歴史認識)について解決を図るのではなく、まずは、日韓の産業の安全を保障する協力から始めるべきだと考える。すでにその動きは始まっていて、日本政府は韓国に対して強化した輸出管理品目のうち、一部に許可を出している。韓国は日本が提案しているように、検査官の雇用を増やし、「無法国家に製品が輸出される」ということが無いようにして、協力実績を積み重ねることが歩み寄りの最善の方法だと思う。それは、韓国の企業の安心にもつながるでしょう。」

ワインシュタイン氏の発言は、韓国に対して、日本の指摘に耳を傾けるよう求めるものだ。「輸出管理は安全保障の問題だ」という日本政府の主張に対し、韓国政府は「これは徴用工問題への報復だ。歴史の問題だ」と反発している。ワインシュタイン氏は、日本の指摘を踏まえて自らの輸出管理体制を見直し、日本との協議を重ねることで、早期にグループA復帰への道筋をつけることが、韓国企業の不安感や日韓双方の経済に与える不確定要素を取り除くことに繋がると指摘する。

日本が向き合うべきは文大統領にあらず

ワインシュタイン氏:
「先日、韓国を訪問した際、文大統領に対する批判がひどく多く耳に入ってきた」
「 文大統領は自分の支持層のために振舞っているが、彼の政策について国民の間で懸念が広がっている。そうした文大統領の政策に賛同していない人々に、日本が建設的な日韓関係の前進を望んでいることを発信し、安心させることはとても重要だと考える。北東アジア全体が前例のない危機に面している今は、特に重要になっている。」

ワインシュタイン氏は次期駐日アメリカ大使候補に名が挙がっている

最後に、ワインシュタイン氏に肝心の質問を投げかけた。

ーー駐日本アメリカ大使の候補に名が挙がっているが?

すると。一瞬ぎょっとしたような顔をして、静かに答えた。

ワインシュタイン氏:
「トランプ政権からは何も知らされていない。しかし、日本大使に任命される人は誰であろうが、その人はとても幸運な人間だ。」

ワインシュタイン氏が実際に駐日大使に任命されるかどうかは分からないが、北朝鮮をめぐる諸懸案の解決や中国への対応など、日米の協力がこれまで以上に重要となっていることは確かである。その中において、予測困難な言動が多いトランプ大統領率いる現政権と安倍政権双方の良き理解者であるワインシュタイン氏の視点は、冷静な判断の基準を提供してくれるに違いない。

【執筆:FNNワシントン支局長 ダッチャー・藤田水美】