「こんな色をしたものは初めて」

静岡・富士宮市で撮影された、美しい色をしたある生き物の写真が、FNNビデオPostに届いた。

8月8日夕方、園児が帰宅したあとの保育園にやって来たのは、日本全域に生息する「ニホンアマガエル」。
しかし、見慣れた緑色ではなく、鮮やかな水色をしている。

体長2cmのこのカエルを発見した同園の園長は、「保育園は、田んぼや畑に囲まれた、自然豊かな場所にあります。カエルの姿はよく見かけますが、こんな色をしたものは初めて」と、話した。

なぜ、このニホンアマガエルは水色をしているのだろうか?
カエルの生態にくわしい「あわしまマリンパーク」館長の伊藤裕さんにお話を聞いた。

青色から緑色に戻ることもある

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ーーなぜ水色をしているの?

ニホンアマガエルには3つの色素細胞があり、皮膚に当たった光が「黄色素胞」、「虹色素胞」、「黒色素胞」の順に細胞を通り、わたしたちの目に反射します。
色彩は、光の成分を吸収・反射させることにより変化させています。

まれに色素異常個体が生まれることがあり、黄色素胞が欠損し、下層の虹色素胞(青色の光を反射させる色素細胞)の反射光がそのまま見えることで、「青色のアマガエル」が誕生します。
また、黒色素胞が欠損すると、黄色味がかった「金色のアマガエル」になります。


ーーこのカエルは、成長しても水色のまま?

青色のアマガエルは、緑色に戻ることもあります。

はっきりとした原因はわかっていませんが、水族館業界では、寄贈された時は青色のアマガエルでも、数カ月でまったく普通のアマガエルになることがよく起きているそうです。

色戻りの現象の見解は、完全に黄色素胞が欠損している個体と、通常より少ない個体がいると考えています。
通常より少ない個体は、完全に欠損していないため、栄養をたくさん摂取し成長することで、黄色素胞の数が通常値に回復し、元通りになるのではないかと考えています。
この回復するケースは、一時的な症状(何らかの病気)が治癒して、正常な体色に戻るわけなので、遺伝の話ではなくなります。

ーーニホンアマガエルは色素異常が起きやすい?

ニホンアマガエルが色素異常が起きやすいというよりは、この種類のカエルが人と近いところに生息しており、青色や金色のアマガエルが見つかりやすいと言った方が適切かと思います。
また昨今、青いアマガエルなど、珍しい生き物の発見報告が多く見られるのは、スマホの発達・所持率が上がり、SNSも盛んになり、情報共有が増大したためだと思われます。


現在、お盆休み中の保育園では、職員さんたちが必死にクモを捕まえて、「水色のカエル」の世話をしているという。
休み明けの園児たちの喜ぶ姿を思い浮かべながらがんばる職員さんに、青い鳥ならぬ、青いカエルが、幸せを運んできてくれたらうれしいですね。

(執筆:清水智佳子)

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