猛威を振るう台風10号

お盆のUターンラッシュを直撃しそうな“超大型”の台風10号。これを受けて、JR西日本が異例ともいえる、山陽新幹線の計画運休を検討していることが明らかになった

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防波堤をはるかに越える白波が舞い散るなど、次第に猛威を振るい始めている台風10号。13日、神奈川・茅ケ崎市の海岸では、台風による高波で遊泳禁止に。海に近づく人にはライフセーバーが駆け寄り、その都度、注意を促していた。

徳島市では、13日から阿波おどりが始まったが、祭り最終日の15日に台風が接近するとみられている。開催も危ぶまれているが、現時点では安全に配慮したうえで開催する方向だ。

こうした中、気象庁は13日午後、臨時の記者会見を開いて厳重な警戒を呼びかけた。

気象庁予報部予報課・黒良龍太主任予報官:
台風10号が、明日14日から15日にかけて、暴風域を伴って西日本に接近上陸し、西日本を縦断する恐れがあります。降り始めからの降水量が多いところでは、1000ミリを超える大雨となる恐れがあります

JR西は「計画運休」の可能性を示唆

高波や高潮に加え、猛烈な大雨をもたらす恐れのある台風10号。時期が重なるUターンラッシュにも影響が出そうだ。

JR西日本は13日、台風の接近に伴い、あさって15日の山陽新幹線の運転を終日見合わせる可能性があると発表した。詳細は、14日午前11時にホームページやツイッターで公表するとしている。

また、JR九州も鹿児島県、宮崎県そして大分県南部を走る在来線について、14日の夕方から運転を見合わせる可能性があると発表した。
国内外からの観光客でにぎわう広島市では、帰りを16日に延ばそうとする声が。
JR岡山駅では、移動手段に苦慮する人もいた。
山陽新幹線と九州新幹線では、明日以降の運転を見合わせる可能性もあり、お盆の帰省の足に影響が出そうだ。

「計画運休」とは?

台風10号はUターンラッシュにどのような影響を与えるのか。JR西日本が検討している計画運休から考えてみる。

福原直英アナウンサー:
計画運休とは、あらかじめ利用者に告知をしたうえで列車の運転を取りやめることです。列車が立ち往生することなどによる、混乱の防止や乗客の安全確保のための対策として、近年注目されています。今回は山陽新幹線の新大阪~博多間が計画運休の対象になるとみられています

福原直英アナウンサー:
この計画運休ですが、初めて大規模に実施されたのは、2014年のJR西日本でした。台風19号の接近に備えての措置だったんですが、このときは午後4時過ぎから、近畿地方を走る全ての在来線で運行を取りやめ、およそ48万人に影響が出ました。
そして、2018年9月30日から翌10月1日にかけて列島を縦断した、台風24号のときには、JR東日本などが実施。ただ、このときJR東日本は実施8時間前に運休を発表したことから、運休を知らない利用者が家に帰ろうとターミナル駅にやってきたものの、すでに運転が終わっていたなどの混乱もあったんですね。
このため、国土交通省では鉄道各社に対して、計画運休の発表をどの時点までに行うかを定めた、いわゆる「タイムライン」を作るよう要請しています

福原直英アナウンサー:
今回、JR西日本が計画運休を検討しているのは15日です。2日前、まだ検討段階の13日に発表したのも混乱を避けるため。
というのも、この日はUターンのピークと重なって多くの人が移動します。影響も大きいことは間違いないからです。
そこで、JR西日本はすでに12日から16日までが有効期間に含まれる、JR西日本内の在来線および山陽新幹線、北陸新幹線の各駅を発着、またはこれらの路線を通過する切符については、払い戻しや有効期間の変更を手数料を無料で行う対応をすでに始めています

最新情報のこまめな確認が必要

加藤綾子キャスター:
仕事のある方はやっぱり戻れないと困ってしまいますからね。これ、ほかの移動手段はあるんですか?

福原直英アナウンサー:
JR西日本は振り替え輸送の予定はないということなんです。
また、先日このコーナーで「こういうときは高速バスがねらい目」とご紹介したんですが、台風10号はやはり超大型ということで、大阪と九州を結ぶ高速バスを運行しているバス会社に問い合わせたところ、すでに14日分から一部の路線で運休を決めているところもあったんですね。
ですから、鉄道、バス、道路など最新情報を各社のホームページでこまめに確認することが必要と思われます。

(「Live News it!」8月13日放送分より)