改札を出ると…そこはホテル

人口約3万人。静岡県浜松市の天竜区。

天竜浜名湖鉄道・通称「天浜線」の無人駅・二俣本町駅を降りてすぐ横にあるのは、「INN MY LIFE(インマイライフ)」と書かれた看板。ここは駅舎を改装したホテルだ。

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若山悠介記者:
お~すごい!入ってみると駅舎っぽくなくておしゃれな空間ですね

INN MY LIFE・中谷明史支配人:
元々の躯体は残していますが、基本的には壁を一回取り払って断熱材を入れて張りなおして、塗装も床うちもすべて直しているので、他にはないと思います

1泊1組限定。宿泊料金は2人で2万5000円から。特注の天竜杉を使った床材にテーブル。
遠州織物を使った枕など地元のものにこだわっている。そして、窓からは天浜線を間近に見ることができる。

ホテルの支配人、天竜区出身の中谷明史さん(28歳)。

中谷明史さん:
いろいろな人の目に、ここのエリアの素晴らしいものが伝わってほしい。宿泊施設があったらいいと思って始めました

4年前まで都内でリノベーションの仕事をしていた中谷さん。
二俣本町駅には蕎麦屋がありましたが廃業すると聞き、お金を援助してもらい何とかオープンした。

ホテルの準備は基本一人。休む暇はなく、宿泊客が帰ると、急いで次の支度だ。

ーー2日連続でお客さんが入るとこんな感じ?

中谷明史さん:
こんな感じです。明日もそうなのでやばいです。間に合うかどうかひやひやしています

食べ物は地元産にこだわり

忙しくても、宿泊客に食べてもらうものにはこだわりがある。
朝食の野菜には天竜で取れるトマトや水菜。県外から来る宿泊客も多く、なるべく地元産にこだわる。

中谷明史さん:
モッツァレラチーズとマッシュルームとトマトのマリネです。これにホーリーバジルを、最後にお客さんに添えてもらって完成です。今ホーリ―バジル入れちゃうと色が変わって見た目が美しくないので

ここ10年で約8000人が減った天竜区。一人でも多くの人に足を運んでもらいたい一心だ。

中谷明史さん:
思い出の場所がなくなっている。シャッターを閉めているのを見て、少子高齢化とか人口減少が自分のふるさとでも起きていることを実感しました。地域の魅力も知ってもらって『またここに来たい』『あそこの店の店主に会いたい』と思ってもらいたい

ホテルだけにとどまらず昼はカフェ、夜はバーを開き、地元の農家や経営者と天竜について語り合う。

地元の養蜂家:
3人くらいいるんじゃないかなって。サイボーグみたいな感じで。よくそんなにいろいろできるなと

中谷明史さん:
やりたいと思ったら全部やっちゃう

地元の養蜂家:
徹底的にやりまくるよね。それはすごいと思う

目標は人集め

さらに、カフェの2階を改装してシェアオフィスを始めようと考案中。ベンチャー企業を誘致して、人を集めるのが中谷さんの目標だ。

中谷明史さん:
『夜のあそこの場所が明るくなってすごくうれしい』とか、『次の世代につながっていくのがすごくうれしい』と言われるのでうれしいです。住んでいる人の笑顔が少しでも増えて、田舎の風景が時代に最適化されて続いていくようにというのが私の願いです

ふるさとの良さを知ってもらうために。
ここで暮らす人たちが誇りを持てる場所にしたい。

ホテルはまだ出発点。これから一歩一歩、進んでいく。

(テレビ静岡)

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