大富豪の自殺が残した謎
この記事の画像(6枚)この事件は「死人に口なし」で終わるのだろうか。
その事件というのは10日、未成年の性的搾取などの罪で起訴されていた米国の富豪ジェフリー・エプステイン被告(66歳)がニューヨークの拘置所で自殺したことだ。房内で首を吊ったとされているが、大衆紙ニューヨークポスト電子版は房内のシーツは紙製で紐にしても大人の体重に耐える強度はなく、また紐をくくるような突起物もなく自殺するのはほとんど不可能だという拘置経験者の談話を紹介している。
また同被告は先月24日にも房内で意識を失っているのを発見されて「自殺監視」対象になっていたが、なぜか一週間後に監視体制が解除されていたという。
性的搾取の訴え
さらにエプステイン被告はユダヤ系米国人だが、ユダヤ教では自殺は禁止されているので同被告は自殺を装って殺害されたのではないかという陰謀説が巻き起こってきた。
というのもエプステイン被告が死亡する24時間前、連邦控訴審が同被告に性的に搾取されたという二人の女性の訴えを公表していた。訴状は2000ページ余にも及び、エプステイン被告が二人に性的関係を強要した相手として著名な有力者の名前が列挙してあったのだ。
その中にはエリザベス英女王の第三子アンドルー王子の名前もあり、英国の大衆紙が大々的に報じたが英王室は事実無根と否定している。
また米国では、ジョージ・ミッチェル元上院院内総務(民主党)やビル・リチャードソン元ニューメキシコ知事(民主党)などの名前も挙げられているが二人とも事実を否定している。
さらに訴状では、女性たちがエプステイン被告から「別の王子」や「外国の大統領」「名前の知れた首相」それに「大きなホテル・チェーンのオーナー」と性的関係を持つよう強要されたと供述しているが、その相手は明らかにされていない。
エプステイン被告はトランプ大統領とも交友関係があったようだが、トランプ氏は同被告の性犯罪容疑が浮上した2015年にフロリダのクラブを除名処分にして関係を絶ったとされる。またビル・クリントン元大統領は引退後は同被告の自家用機を頻繁に借用していたと言われるが、二人共性的問題では名前が上がっていない。
陰謀説の根拠
エプステイン被告はいわゆる「叩き上げ」の実業家で、ファンド投資で財をなし資産は10億ドル(約1060億円)以上と言われるが実体は明らかではない。ニューヨークの一等地に7700万ドル(約82億円)の邸宅を構え、カリブ海の島を所有して城のような別荘を持ち少女たちを囲って性的関係を強要していたと言われる。
有力者への性的なサービスの提供にはそれに見合う見返りあったと考えるべきだが、それが何だったのかを秘匿するためにエプステイン被告の口を封じたのではないかというのが陰謀説の根拠だ。
この陰謀説は興味本位のマスコミだけでなく当局も関心を持っているようで、バー司法長官は連邦捜査局(FBI)に加えて司法省検査官による捜査も行うとこう明言した。
「エプステイン被告が収監中に自殺する形で死亡したと知ってショックを受けた。この死亡をめぐっては深刻な疑問があり解決されなければならない」
議会内にもエプステイン被告の死をめぐって徹底調査を行うべきだという声が多く、この事件まだまだ米政財界を騒がせることになりそうだ。