乳幼児「ベビーカー熱中症」のリスク…“日よけカバー”の扱いにも注意 医師に対策を聞いた

カテゴリ:暮らし

  • 乳幼児は体温調節機能が未発達のため、熱中症にかかりやすい
  • 小児科医「日よけカバーは風通しが悪くなるので注意」
  • 乳幼児の熱中症を見分けるサインと対策を聞いた

乳幼児は大人よりも熱中症にかかりやすい

連日、厳しい暑さが続く日本列島。
総務省消防庁によると、7月29日から8月4日までの1週間に、熱中症で救急搬送された人は全国で1万8347人に上っている。
これは集計開始の2008年以降、2番目に多い数字だ。

このように暑い日が続くと、熱中症に対する注意が必要だが、大人以上に注意が必要なのが乳幼児。
体温調節機能が未発達のため、大人よりも熱中症にかかりやすいのだという。

では、乳幼児と外出するときには、どのような点に注意し、どのような対策をとればよいのか?

「ベビーカーでの外出は、より注意が必要」と指摘する、サニーガーデンこどもクリニックの首里京子院長に、ベビーカー利用時に熱中症にならないための対策を聞いた。

「ベビーカーは地面の熱などの影響を受けやすくなる」

――「ベビーカーでの外出は、より注意が必要」。これはなぜ?

なぜならベビーカーは、大人よりも地面に近い位置に子どもがいる状態となり、地面の熱や照り返しの影響を受けやすくなるからです。

環境省熱中症予防サイトによると、大人の背の高さ(150センチ)で32℃とすると、地面に近い子どもの高さ(50センチ)では35℃以上になると言われています。

アサヒ飲料「ベビーカー熱中症予防プロジェクト」

――ベビーカーに乗っている子どもの熱中症を見分けるためのサインは?

水分調整機能が未熟な乳幼児は、体の外に水分が出ていくのが早いため、大人よりも早く水分を摂取しなければなりません。
しかし、小さな子どもの場合、自分で喉の渇きを訴えることが難しいです。
そのため、『いつもと違う』サインを見過ごすことがないよう、親が注意する必要があります。

次のような様子がみられる場合は、水分が足りていない可能性があるサインです。

・顔が赤い
・息が荒い
・元気がなく、バテているように見える
・呼びかけても、いつものように反応しない
・尿の量や回数が少ない
・尿の色がいつもより濃い
・水分を飲む量が少ない
・水分を飲むのを嫌がる

アサヒ飲料「ベビーカー熱中症予防プロジェクト」

「日よけカバー」は風通しが悪くなるので注意

――ベビーカーに乗った子どもの熱中症を防ぐためには、どのようなベビーカーを選べばよい?

なるべく背の高いベビーカーやメッシュ素材や、通気孔のある素材を使っているベビーカーを選ぶとよいでしょう。


――熱中症を防ぐため、ベビーカーで外出するときにはどんな点に注意すればよい?

直射日光を避けようと日よけカバーで覆ってしまうと、風通しが悪くなりベビーカー内に熱や湿気がこもり、熱中症のリスクが高まります。

私も経験がありますが、着替えやおもちゃなどの荷物を、ベビーカーの下につめこんでしまうこともあります。
余計に風通しが悪くなるため、暑い日に長時間外出するときは、工夫が必要です。

また、最近直射日光を避けるため、ベビーカーの上にタオルなどをかけている光景を時々見ますが、風通しが良くないので、薄めのものにし、スヤスヤ眠っているときにも、大量に汗をかいていないか、顔色は大丈夫かなど、こまめに確認することが大切です。

雨が降っている場合、雨よけのビニールは熱や湿気がこもるので、より細かい注意が必要です。

最近では、ベビーカーに装着できるようなハンディー扇風機などもありますし、保冷剤も準備しているといいかもしれません。

お出かけの際には、水分補給のための飲み物も忘れないようにしてください。

「ノンカロリー・ノンカフェインのお茶かお水がおすすめ」

――外出時、どのような飲み物を飲ませればよい?

水分摂取の習慣としては、ノンカロリー・ノンカフェインのお茶かお水がおすすめですが、たくさん汗をかく外出時には塩分も補給する必要があります。

より身体に吸収しやすい飲料として、経口補水液なども市販されています。


――今年の猛暑の特徴は「7月は気温が低かったのに8月に急激に気温が上がったこと」。このような状況で子どもが熱中症になるのを防ぐためにはどうすればよい?

急に暑くなると、暑さに順応すること(暑熱順化)ができずに、熱中症になりやすいと言えます。

暑さに体を慣らすことも必要ですが、外出する際には、こまめな水分補給と休息を必ず取り入れましょう。

「ベビーカーでも立ち寄りやすいクールダウンスポット」を紹介

ベビーカー熱中症を防ぐための企業の試みも行われている。
その一つが、アサヒ飲料が実施している「ベビーカー熱中症予防プロジェクト」。

「『アサヒ十六茶』子育てサポート事業」の一環として「ベビーカー熱中症予防プロジェクト」を実施し、「ベビーカー熱中症予防・レスキューMAP」を提供している。

これは、新宿、渋谷、銀座、横浜という4つの街を対象に、授乳やおむつ替えもできる百貨店や商業施設、カフェなど、都内近郊の「ベビーカーでも立ち寄りやすいクールダウンスポット」を紹介しているもの。

アサヒ飲料「ベビーカー熱中症予防プロジェクト」

なぜ、このようなプロジェクトを実施したのか?
アサヒ飲料の担当者に話を聞いた。

――このプロジェクトを実施しようと考えた理由は?

ベビーカー熱中症を防ぐためには、こまめな水分補給と適度な休息がどちらも大切だと言われています。

自分でのどが渇いたと言えないお子様にはご両親がこまめに水分を与える意識を持つこと、そして炎天下に居続けるのではなく適度に涼しい環境で体をクールダウンさせることが重要です。

しかし、ベビーカーだとなかなか気軽にお店に入れない、授乳室やおむつ交換台があるか分からないので利用しづらいなど、ベビーカーでのお出かけだと思うようにクールダウンできないのだとお母さん達の声から知り、それが今回のプロジェクト内容のきっかけになりました。

お子様の熱中症を防ぐために飲料メーカーとして水分補給の情報だけでは不十分。
そのため、十六茶はベビーカーでも気軽に利用できる「クールダウンスポット情報」を提供することに決めました。

ベビーカーに乗っているお子様が熱中症になることがないように、そんな願いを込めて1店1店交渉し、首都圏4都市合計40箇所の協力を得てこのプロジェクトがスタートいたしました。


「ベビーカー熱中症予防プロジェクト」のWebサイトには、新宿、渋谷、銀座、横浜、それぞれの「クールダウンスポット」が示されている。
まだまだ暑い日が続くが、乳幼児は自分の体調をうまく伝えられないので、しっかり対策をとって、熱中症のサインを見逃さないようにしよう。

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