幸せって何だっけ?政府が初調査した日本人の「生活の満足度」の源

カテゴリ:国内

  • 「満足度・生活の質」について政府が初調査
  • 満足度につながるのは、お金よりも「楽しさ」や「趣味」?
  • 生活の楽しさがアップの必須アイテムはスマホか

「満足度・生活の質に関する調査」を初めて実施

果たして人間の生活の満足度や幸福度はどのように計ればよいのだろうか。さらには、幸せとは何か?何が満たされれば幸せなのか?という根源的な問いへの答えにつながる興味深いデータが、最新の政府の調査で明らかになった。

人間の豊かさに関しては、過去にはGDP(国内総生産)で表される経済的豊かさなどを通じた分析が中心だった。一方で近年は国連やOECD(経済協力開発機構)といった国際機関において、「幸福度指標」を作成し、GDPだけでは表せない「幸福度」や「生活の満足度」を描き出そうとする試みが活発化している。ちなみに国連の最新の世界幸福度ランキングで日本は、G7では最下位で台湾や韓国よりも下位の58位とされている。

国連の世界幸福度ランキング

そうした中、日本政府でも内閣府を中心に、経済社会の構造を、「満足度」という質的・主観的観点から多面的に「見える化」し、政策運営に活かしていくための検討が進められている。

そしてこのたび、国民生活を向上させるべく「満足度・生活の質」を示す指標のまとめを作成すると決め、初めてとなる「満足度・生活の質に関する調査」を15~89歳の男女約1万人を対象に行った。

「生活の満足度」はどこから来る?

内閣府のこの調査ではまず、「今の生活全体への満足度」と、「生活分野別の満足度」を調べ、その相関度を分析している。生活分野については、OECDが設定している「よりよい暮らし指標」(Better Life Index)に基づく10分野をベースとしている。
① 家計と資産
② 雇用環境と賃金
③ 住宅
④ 仕事と生活(ワークライフバランス)
⑤ 健康状態
⑥ あなた自身の教育水準・教育環境
⑦ 交友関係やコミュニティなど社会とのつながり
⑧ 政治・行政・裁判所への信頼性
⑨ 生活を取り巻く空気や水などの自然環境
⑩ 身の回りの安全

(各国の「より良い暮らし指標」を比較するOECDの特設ホームページ)

さらに今回の調査では、この10分野に加え、日本の経済社会において重要な課題である少子化・高齢化と密接に関係する⑪「子育てのしやすさ」⑫「介護のしやすさ・されやすさ」、さらには前向きな要因としての⑬「生活の楽しさ・面白さ」を加え、分析を行った。

そして、これら13の要素について、どれが最も「今の生活全体への満足」と関係が深いかを分析したところ、「生活の楽しさ・面白さ」が最も「今の生活全体への満足」に寄与することがわかった。2位以下は「家計と資産」、「仕事と生活」と続いている。報告書では「生活が楽しい・面白い」という要素が、「家計・資産」のような金銭面の満足度よりも大きく効いていることは注目に値すると分析している。

では、その「生活の楽しさ・面白さ」とは何なのかを他の分野との関連性で探ったところ、「社会とのつながり」や「仕事と生活」との相関が高くなった。ここでも、人間は金銭面よりも、他人や社会とのつながりにこそ楽しさや面白さ、満足を感じることがわかる。

「生活の楽しさ・面白さ」と、今回の調査での個別設問内容との関係性を分析したところ、「趣味や生きがいの有無」との関連が最も大きかった。すなわち、趣味や生きがいがある人ほど生活に「楽しさ・面白さ」を見出しているということだ。何を趣味や生きがいとするかは、人や地域、さらに時代によって様々だが、その趣味や生きがいの対象を持つことが、人々の生活を楽しく、面白くさせているのは明らかだと報告書は指摘している。

一方で、「政治・行政・裁判所への信頼性」については、年代や地域ごとに分けて分析しても「今の生活への満足」に貢献すると感じられていないことが判明した。内閣府の担当者は、この点が日本の特徴であると強調し、「日本の三権は安定しており、生活するうえで当たり前の前提条件になっているからではないか」と分析する。

「生活全体の満足度」重視するものは年齢や地域で変化

さらに、その他の指標についても、性別や年齢、地域によって興味深い特徴が浮かび上がっているものがある。
雇用環境・賃金を重視するのは若い男性のみ!?
生活全体の満足度に対する分野別の関係を調べたところ、「雇用環境・賃金」の分野が満足度に明確につながっているという数字を示したのは15~44歳の男性のみだった。
男性が「住宅」を重視するのは35歳以上!?
住宅の延べ床面積、家賃地代(収入に占める割合)、住宅保有率といった「住宅」の分野が生活全体の満足度に明確につながっているという数字を示したのは、女性はほぼすべての世代だが、男性の場合は35歳以上だけという結果が明らかとなった。
「子育てのしやすさ」は女性の生活満足度につながらず!?
保育所待機児童数、育児休業取得者割合、幼稚園から高校までの子供の学習費総額が指標となる「子育てのしやすさ」が生活全体の満足度に明確につながっているという数字を示したのは、男性の35~44歳だけという結果となった。内閣府の担当者は「女性の生活満足度に有意な結果がみられないのは驚き」だとして、結果の解釈が難しいと漏らしている。
「空気や水などの自然環境」重視は北海道・東北のみ!?
全国を地域ブロック別に見た際、「自然環境」と「生活全体の満足度」に有意な関係性がみられたのは北海道・東北だけであった。

こうした結果をもとに、報告書では「人々の生活の満足度を高めるための政策運営を行う上で、ライフステージや地域ごとに焦点を当てる分野を選択するなど、きめ細やかな対応が必要であると考えられる」とまとめている。

スマホ重視派は高い生活満足度!?

今回の調査においては、スマートフォンの所持者に対し「スマートフォンが生活の中でどのくらい重要か」も質問しているが、スマートフォンを重要と考えている人ほど生活の楽しさ・面白さの満足度が高いことが判明した。そして、このうち、重要と考えている人とそうでない人の満足度は、若年層(15~24歳)で最大となった。これらの結果から、スマートフォンが生活の満足度を左右する重要なアイテムとなっていて、若者の生活にスマートフォンが大きな影響を与えている傾向が明らかとなった。

初の実施となったこの「満足度・生活の質に関する調査」について、政府は国民生活の満足度向上に向けた政策立案に活用する方針だ。それに向け、生活の質・満足度に関する各分野の関連指標をまとめた一覧=ダッシュボードを作成・公開している。

国民の多くがより大きな幸せを感じられるような政策につなげられるかは、簡単ではないだろうが、せっかく調査したのだからこそ、これを生かして、日本が幸福度ランキングで上位に躍り出るような、常識に縛られない政策立案に期待したいところだ。

(フジテレビ政治部 首相官邸担当 山田勇)

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