いま「飲食店×サブスク」が普及するワケは? 実は、これまで店とお客は繋がっていなかった

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カテゴリ:テクノロジー

  • 「串カツ田中」全国141店舗にサブスクを導入するfavy
  • 月額500円で「毎日一杯無料」の「nomocca(のもっか)」
  • デジタルマーケティングが変える「飲食×サブスク」の未来とは?

「サブスク」の呼称も一般化しつつある「サブスクリプション(月額定額制)」サービス。

いま、飲食店にもこのビジネスモデルが普及しているという。

AmazonやNetflixのようなインターネットサービスを飛び出し、リアルな世界にまで拡がる「サブスク」。

一体どんなメリットがあるのだろうか?

「飲食×サブスク」の領域でサービスを展開する、favy代表の高梨巧氏、TRIBE代表の高橋史弥氏に話を聞いた。

複数の「キャッシュポイント」

ーーなぜ「飲食×サブスク」の領域に進出しようと考えたのですか?

favy代表取締役社長 高梨 巧 (以下、高梨):

そもそものお話からですが、飲食店ってお金の稼ぎ方が一つしか無いんですね。料理や飲み物を提供して、対価をもらう、と。

でも世の中のビジネスを見渡してみると、「キャッシュポイント」すなわち「お金のもらい方」って通常は複数あって、しかも単発とストック型(定額制)が組み合わされています。

たとえばテレビ業界を例にとっても、まずCMがあり、DVDなどのパッケージ販売や映画、イベントなど、収益軸が拡がっていますが、飲食には通常営業以外にそのような展開がない。

それで、飲食にも何かストック型や通常営業以外でお金が動く仕組みを取り入れられないかと考えた時に、一番ハマるなと思ったのが、このサブスクリプションでした。「お客さん=自分たちのファン」をきちんと囲い込んでいくようなビジネスです。

favy代表 高梨 巧

favyは2016年からサブスクリプション型の飲食店を自社で運営。そのノウハウを元に「飲食店のためのサブスクツール」を提供している。2019年7月には「串カツ田中」全国141店舗に導入された。

TRIBE代表取締役 ⾼橋 史弥(以下、高橋):

私はもともと毎日100%外食なのですが、その中で飲食店の方とお話をしていると「販促費をかけているが、その割にお客さんが来店しているのか不透明」と聞きました。

そこで、販促費が必要なく、かつ、ユーザーにも来店メリットがあればサービスとして成立するのでは?と思い、月額500円で毎日一杯目が無料になる「nomocca(のもっか)」というサブスクリプション型のアプリを立ち上げました。

TRIBE代表 高橋史弥

「リピーターが大事」と言うが…

ーーこれまでのキャリアで経験されてきた「デジタルマーケティング」は、「飲食×サブスク」の領域で、どのように生かされていますか?

高梨(favy代表):

飲食店の方とお話をすると「リピーターを大事にしています、ファンになってもらう、常連になってもらう事がとにかく重要なんです」とおっしゃいます。

ただ、私はこれまで大手の通販やECサイトの仕事もしていたのですが、彼らが行なっている「顧客を大事にする活動」を飲食店は何一つやっていないのですね。まず、お客様の連絡先を把握する。そして、お客様の誕生日にメールをする、お客様の購買行動に合わせてサポートをしていく、など。

そのような状況で本当に「お客さんのことを考えている、大事にしている」と言えるのかなという疑問はありました。

これまでやってきたデジタルマーケティングやアドテクはものすごくベースになっています。たとえばリターゲティング広告(ユーザーの購入履歴に応じて広告を表示する技術)は、飲食店にこそ必要なものです。1ヶ月前に来店してくれた方に「最近お見かけしてないですね」という広告を打つ、それはやった方がいいに決まっていて、(飲食業界で)そこを変えて行けたら面白いんじゃないかなという思いはあります。

ーーサブスクを利用するお客様には、どのような反響がありますか?ユーザーは何を求めているのでしょう?

高橋(TRIBE代表):

我々が提供する「nomocca」は、クーポンアプリのようなものではなく、コミュニケーションを生むためのツール、という位置づけなんです。「nomocca」を使うことで飲みに行く機会が増える、同僚や友人と話す機会が増える。

今後、どんどん余暇が増えて時間が出来ると思うので、その中で人と人とのつながりを作って行きたいという想いが僕たちの根底にあります。

「nomocca(のもっか)」アプリ画面

ーー最近、若い人たちは飲みに行っているのですか?

高橋(TRIBE代表):

私の周りの人たちですけど、めちゃくちゃ飲みに行っていますよ。渋谷で、この辺りで(笑)。

メディアでは若者が飲みに行かなくなっているとか、(男子が)女子と飲みに行くのを面倒くさがっているといった露出も見かけますが、もちろんそういう方も一定数はいると思うのですが、飲みに行ってコミュニケーションをするのが大好きという人たちが多いですし、そのような人を増やして行くサービスになればと思っています。

「コミュニケーション」に威力を発揮

ーーfavyさんは定額制を提供するだけでなく、ユーザーのデータも蓄積されていると思いますが、それにはどのような効果があるのでしょう?

高梨(favy代表):

我々は「coffee mafia(コーヒーマフィア)」という定額制のコーヒースタンドを自社で運営しているのですが、定額制なのでそもそも来店頻度が高いんですね、月〜金営業のお店で、平均22回/月の来店があります。

そうなると顔は見かけた人ばかりになるのですが、それでもさすがに何を注文したかまで全て覚えられる訳ではありません。

これらの店舗では、来店時にバーコードを読み取り、お客様の購買履歴や傾向をシステムで表示してから、スタッフは接客を開始します。

システムを利用する事で、たとえば、朝はあっさり、夕方になると濃いしっかりとしたものを注文されるお客様に対して「いつも通りあっさりにしますか?」と話しかけることで、お客様は注文をしなくてもいいし、しかもストライクゾーンなので気持ちの良い体験となります。

さらに「時間の短縮」も大事なポイントで、コーヒー店で何分も待たされてしまう経験があると思いますが、我々の店舗では1分以内にお手元に届けられる事もあり、これらもサブスクの効果ですね。

「coffee mafia(コーヒーマフィア)」

ーーサブスクは「コミュニケーション」に威力を発揮している?

高梨(favy代表):

はい、実は飲食店とお客様って、これまで、繋がっているようで、繋がっていなかったんです。

たいていの飲食店ってお客様の連絡先、すなわち、住所、電話番号、メールアドレス、SNSのアカウントを知らないのですが、サブスクの場合はこれらの情報を把握した上でサービスをしています。

お客様にオススメしたいものがあれば、簡単にご連絡出来るというのが、とてもいいポイントですね。

ーー今後「サブスク」に限らず「デジタルのテクノロジー」×「飲食」にはどのような可能性がありそうでしょうか?

高橋(TRIBE代表):

私自身がお店を探す時もですが、まだまだ面倒だなと感じる事が多いんですね。そういった、お店探し、お店予約、メニューの選び方まで、一通りのプロセスを勝手にやってくれる、そのような未来になって行くでしょうし、「nomocca」にも機能として取り入れて行ければと思っています。

高梨(favy代表):

いわゆる「トラッキング」の要素、いくら広告を出したら、どれだけのリターンがあったか「わかる」という世界観が、デジタルマーケティングではとても重要なことでした。

飲食の業界も同様で、どのように新しいお客様に知ってもらって、定着化して、コミュニケーションが生まれ、さらに言うとお客様同士のコミュニティが出来上がって行くか。

ECサイトであれば、お客様の情報や購買履歴を把握するシステムが既にあるのですが、飲食の業界もこのようなテクノロジーを許容して活用していく、今はそんな未来への「入り口」にいるのかな、と思っています。

(進行:FNN.jp編集部 寺 記夫)

(2019/07/30オンエア「渋谷のラジオ・渋谷社会部」より)