1泊2日、親子で「虫取り合宿」
大阪の自然のなかで行われた「虫取り合宿」。
都会ではなかなか見られない「未知の世界」に多くの親子が飛び込みました。
松本吏樹郎 学芸員:
ここにくっついてます。下向いてついてるのわかる?
子どもたち:
えー!?
松本吏樹郎 学芸員:
さわらずに見つけてみて。
よく見てみると…スバカゲロウの幼虫(アリジゴク)が、 緑にまぎれて獲物となる虫を待っている。
大阪府能勢町で行われ、約20組の親子が参加した1泊2日の『虫取り合宿』。
虫の世界に…親もドキドキ?
――普段虫取りするの?
男の子:
あんまり。
男の子の母親:
(大阪市内の家のまわりには)あまり虫がいないので。 今日はいっぱい取れます。
「好きな昆虫」を聞かれた男の子は…
男の子:
マダラバッタ、ミンミンゼミ…
――なんでそんなに虫が好きなの?
男の子:
かっこいいから!
一方で、そんな「虫が大好き」な男の子のお母さんは…
母親:
(虫とんできて)うわ~!
――お母さん虫は…?
母親:
苦手です…でも子どもが大好きなんで一緒にやってます!
多様な昆虫の世界を楽しむ
松本吏樹郎 学芸員:
ジャノメチョウっていう、草原っぱにいる蝶で。蛇の目みたいだから“ジャノメ”。
子どもたちを教えるのは、大阪市立自然史博物館の学芸員・松本吏樹郎(りきお)さん。松本さんは虫を知りつくす専門家だ
松本吏樹郎 学芸員:
何を探している?
男の子:
クワガタ!
――いそう?
男の子:
ちょっと…ここらへん針葉樹が多いから…。
子どもたちのお目当ては…クワガタやカブトムシ!
でも、松本さんには、この合宿でもっと伝えたいことがあるという。
松本吏樹郎 学芸員:
いろんな虫がいると思うんですけど、それぞれ見てあげると、暮らしぶりが種ごとにあって、それがものすごく多様なんですね。誰も見たことないような、自分だけが知っている場面に出会うことも結構あって、そういうのは山歩きながら虫みてると楽しいところでありますね。
初めて見る光景に…目が輝く
午後9時。
日が暮れても、終わりではない。
白い布にライトを当てた”ナイトトラップ”だ。
光に引き寄せられた虫に、子どもたちが引き寄せられる。
子どもたち:
―うわすごい、ミンミンゼミ羽化してるとこ初めてみた。
―ほんまやな。
子どもたち:
―これはモリアオガエル。
―うわ、ほんまやカエルおった。
―きれい~。
翌朝は別のトラップへ。
前日に仕掛けておいたこのテントは、ハチやハエの採取に使うものだという。
閉じ込められると、上に上にあがる習性を利用して…天井の隅にあるボトルに、虫をおびきよせる仕掛けだ。
ボトルにはエタノールが入っていて、落ちた虫は動かなくなってしまう。
普段絶対に触ることのできないスズメバチもこの通り。間近で観察することができる。
(※注:専門家の指導のもと行っております)
学芸員:
ここに新種のハチが入っています。これだけいれば、確率的には絶対入っています。
ハチは研究者が少ないため、まだまだ知られていない「新種」がたくさんいるという。
男の子:
新種のハチってどうやって認定されるんですか?
松本吏樹郎 学芸員:
えー、こんなのいましたよっていう論文にして、この標本を基準にしますっていうのをしてあげて、その論文が世の中に出ると…難しいかな?
男の子:
・・・・(苦笑い)
虫取りをきっかけに、発見の喜びを
松本吏樹郎 学芸員:
ものすごく元気に虫を探してくれて。面白いの見つけたときにはすごい喜んでいるし、実際にそういうのが見れてよかったなと思う。どんどん自然環境が変わっていっていると思うんですけど、虫が好きだったら変わっていく様子も見えてくるし、知らないと気付かないこともたくさんあると思うので。虫だけに限らず、色んなものに目を向けられるようになって欲しいなっていう風には思います。
間もなく夏本番。
皆さんも、自然の中で新しい発見をしてみませんか?
(関西テレビ)